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冥途

冥途

冥途

作家
内田百けん
金井田英津子
出版社
パロル舎
発売日
0000-00-00
ISBN
9784894192508
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冥途 / 感想・レビュー

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めしいらず@春眠中

まるで夢の中を当て所なく歩むかのような、うなされてしまいそうなその世界の居心地悪さが、何だか味わい深い。各話の表題の下に掲げられた風景画が、少しずつ奥へ奥へと私たちをいざなう。その先に現れるのが、茫とした「冥途」の風景。表題作を最後に持ってきた配置の妙。夢を見ている間、人は少し死に近づいているのだろうか。その中で巻き起こる、寂しいような、懐かしいような、形容し難いけれど、どこか愛おしい感情。そして意識は夢から現へ、また最初の場所へと戻ってゆく。著者の物語世界と金井田氏の絵が絶妙に絡み合って、実に見事。

2015/07/13

手を洗う♪みどりpiyopiyo♪

内田百閒の不思議なお話6篇を、金井田英津子さんの版画と造本で。■前後不覚、見果てもない景色、面妖な女、何時まで行っても尽きぬ道… ふわふわと ひたひたと 明けぬ夜の夢の如く。冥途の旅の如く。■百閒は 朧な光の散りばめ方が効いてます。作中の人物と共に途方に暮れながら。分からない事が分からないままなお話って、なんか好いよね。金井田英津子さんの、陰のある画と どこまでも奥行きのある造本が、より心にひたひたと触れる読み心地でした。(文 1922年。画と造本 2002年、パロル舎)(→続

2020/02/08

mii22.

これは、夢の中の世界?意識が霧のなかに導かれるようにゆっくり手探りで進んでいくと、懐かしいような古い日本の情景が現れる。何だか怖い..そこから早く逃げ出したい..しかしその場から動けない、ゾッとする、と次の瞬間見たものは..一瞬のうちに暗闇に突き落とされ「はっ」とする。いつから夢を見ていたのだろう、そんな思いで読み終える。金井田さんの版画が懐かしい日本情緒の中に潜む恐怖を引き出している。

2016/07/13

yn1951jp

ここには失われた日本の情念が描かれている。漱石は『夢十夜』を、漱石門下の百閒は『冥途』を書いた。芥川は『冥途』を「『夢十夜』のように夢に仮託した話ではない。見たままに書いた夢の話」としたが、どちらも夢と現(うつつ)の境界に漂う情念の世界を描き出す物語である。 『夢十夜』にはモダンな美しさがあり、『冥途』には土着的な得体のしれなさがある。芥川も『冥途』に「西洋じみない、気もちの好い pathos が流れている」と言った。金井田もそれを描き分けていると思う。どちらも今では「失われた日本」である。

2015/01/10

キジネコ

「西日の光りが雲の裏ににじみ渡り、坂や屋根や町のなかの森に赤い影が散っていた。その影が薄くなったり濃くなったりして、しきりに動いた。風が坂の上から吹き下りた。私は風を嚥みながら坂を上った。」本文より抜粋。6つの悪夢。嫌味なく言葉を編む百閒先生に至芸を感じます。金井田さんの絵も先生と互角以上の良い勝負。表紙に登場する不気味な牛男は「件」の主人公、知り合いに良く似た男がおりますが・・皆さんの周りに、奴はいませんか?読書最中に、再々居眠りをした朦朧の中で物語が一人歩きする不思議を経験。迷宮へ誘う仕掛けか知ら?

2014/03/17

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