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冥途

冥途

冥途

作家
内田百けん
金井田英津子
出版社
エフ企画
発売日
2002-03-01
ISBN
9784894192508
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冥途 / 感想・レビュー

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ケイ

すけべ心で怖い思いをしてるじゃないか。ふらふらついてくんじゃないよ。むかし、捨てた女に呪われてるよ。出されたものを、安易に口にするんじゃないよ。まったく、書き手をどこか思わせる男たちばかり出てくるね。あっ、一つは、室生犀星の金魚みたいだった。そして、最後は…お盆だったのかな。おとうさ〜んって、ついていきたくなるね。せつないな。

2021/09/06

めしいらず

まるで夢の中を当て所なく歩むかのような、うなされてしまいそうなその世界の居心地悪さが、何だか味わい深い。各話の表題の下に掲げられた風景画が、少しずつ奥へ奥へと私たちをいざなう。その先に現れるのが、茫とした「冥途」の風景。表題作を最後に持ってきた配置の妙。夢を見ている間、人は少し死に近づいているのだろうか。その中で巻き起こる、寂しいような、懐かしいような、形容し難いけれど、どこか愛おしい感情。そして意識は夢から現へ、また最初の場所へと戻ってゆく。著者の物語世界と金井田氏の絵が絶妙に絡み合って、実に見事。

2015/07/13

♪みどりpiyopiyo♪

内田百閒の不思議なお話6篇を、金井田英津子さんの版画と造本で。■前後不覚、見果てもない景色、面妖な女、何時まで行っても尽きぬ道… ふわふわと ひたひたと 明けぬ夜の夢の如く。冥途の旅の如く。■百閒は 朧な光の散りばめ方が効いてます。作中の人物と共に途方に暮れながら。分からない事が分からないままなお話って、なんか好いよね。金井田英津子さんの、陰のある画と どこまでも奥行きのある造本が、より心にひたひたと触れる読み心地でした。(文 1922年。画と造本 2002年、パロル舎)(→続

2020/02/08

がらくたどん

さて、内田百閒⑤キリがないので最後は「冥途」で♪福武の94年版を底本に金井田恵津子氏が版画を添えた豪華な一冊。収録は謎の女性に草原を超えて連れて行かれる「花火」、馬にお灸を据える医者の弟子にされる「尽頭子」、遍路の途中の不穏な一夜を描く「烏」、予言をする物の怪になってしまった困惑と恐怖が迫る「件(くだん)」、色に惹かれてまさかのドン引きの「柳藻」に、こちらとあちらの境の土手での別れを描く「冥途」の百閒怪異6作。因果のない恐怖ほど恐ろしいものはない。「件」の群衆の挿絵に見知った「あの」顔があるのも一興。

2023/10/12

mii22.

これは、夢の中の世界?意識が霧のなかに導かれるようにゆっくり手探りで進んでいくと、懐かしいような古い日本の情景が現れる。何だか怖い..そこから早く逃げ出したい..しかしその場から動けない、ゾッとする、と次の瞬間見たものは..一瞬のうちに暗闇に突き落とされ「はっ」とする。いつから夢を見ていたのだろう、そんな思いで読み終える。金井田さんの版画が懐かしい日本情緒の中に潜む恐怖を引き出している。

2016/07/13

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