バルザック人間喜劇セレクション 第8巻
バルザック人間喜劇セレクション 第8巻 / 感想・レビュー
みつ
『幻滅』に続く大長編の上巻。「シビレエイ」という物凄いあだ名を持つ娼婦エステルのリュシアンへの愛と、辣腕の老銀行家ニュシンゲン男爵のエステルへの恋慕が交錯する一方、相変わらずどうしようもないリュシアンは公爵家令嬢との結婚を目論む。ここに彼らを手玉に取るヴォートランと配下の女、敵対する密偵たちが絡み、悪人たちの画策と暗躍は複雑を極める。終わり近くは怒涛の展開。エステルの思わぬ係累が明らかになり、悪人たちの運命も加速する。前作でリュシアンの蕩尽に散々な目に遭わされた妹夫婦も再登場。先の読めないまま下巻に続く。
2022/04/09
saeta
幻滅に続けて。文才もそこそこあろうかと思うリシュアンであったが、詩人及びジャーナリストへの道は断ち切り、浮世離れした優柔不断な暮らしぶりで、どうにも感情移入がしづらいキャラだ。幻滅のラストで出て来た謎のスペイン人神父、既視感を感じながら読んでいたが、随分と昔に読んだゴリオ爺さんに出て来た奴だった。色々な作品と繋がっているようだ。
2023/08/04
秋良
【G1000】相変わらずリュシアンはクズで、詰めが甘かったり虚栄心に負けたり小物感が半端ない。クズのロミジュリよりも不死身と元警察の暗闘が楽しい。
2016/11/03
ラウリスタ~
前半はとにかく長々しく、全く物語が進まない。娼婦エステルが、主人公リュシアン(金持ちになってパリに凱旋)と付き合っている。それがリュシアンの将来の障害になるとして、ヴォートラン(神父に変装)が彼女を修道院に送ってお淑やかな聖女にする。リュシアンはクロチルド嬢と結婚するためにお金が必要、聖化したエステルを再び娼婦に戻しニュシンゲン男爵から搾り取る作戦。(ホストとキャバ嬢カップルかな?)ところが上の最後の10ページで、一行ごとに一人が死ぬくらいのあっけないドタバタ。これ正直相当完成度低いと思うんですけど。
2020/04/11
qoop
パリの巷で暗闘する稀代の悪漢と秘密探偵たち。表舞台の糜爛した華やかさと裏社会の不穏な暗さが入り混じった犯罪(というか、その周辺にスポットを当てた)小説。しかしそんな無残な物語の奥に無償の愛がある。若い恋人たちの愛、子を想う親の愛、ミソジニーに由来する(プラトニックな?)同性愛。愛憎渦巻く物語を多量の解説が彩る濃密さに、いつの間にか引き込まれていく。
2016/12/13
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