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人魚姫

人魚姫

人魚姫

作家
アンデルセン
清川あさみ
金原瑞人
鈴木 理策
出版社
リトル・モア
発売日
2007-06-26
ISBN
9784898152126
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人魚姫 / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

私のかわいいあの娘は、はかない薔薇の花びらのよう。純粋な、すべてのひとの心を慰める美しいあの娘を、私たちがまもってやらねばならなかった。初めての恋というものが試練のほどに燃え上がり、かなしい自己犠牲すら選びとるものだと知っていたというのに。 髪をささげたところで、泡になる未来をどこか知っていた。あの娘を知る人間たちが、いつか自分の都合のよいように記憶を変えるときが来ても、私たちは忘れないだろう。あの泡となったはかない娘が、どんなに美しく、どんなに世界を慰めたか、たとえ私たちが泡になって消えても。

2019/11/09

報われない愛は美しい自己満足なのだろうか。原作者は違うが、挿絵が同じ清川あさみによるテキスタイルだったせいもあって、先日再読した『幸せな王子』と比較してしまった。そしてこの物語の自己犠牲も悲しくせつない。子どもの頃に別の絵本でこの話を読んだ時は、言葉が喋れないなら筆談すればいいのになんて思ったけれど、人魚にそんな能力備わってなかったんだった。そして何かを得ようとする時、その引き換えのように何かを失うという現実が、日常のさまざまなシーンの中で確実にあるよな~っと、あらためて納得させられた。

2013/10/18

夜間飛行

布やビーズによる画は糸の一本一本が波や光となり、ビーズは泡や石となり、見ているだけで切なさが込みあげてくる。人魚は十五になると陸を見るそうだ。四女の見た海豚と鯨、五女の見た氷山と稲妻…いずれも生まれた時に遭う光景のように懐かしい。六女は命を救った王子を好きになるが、彼の心は別の娘にある。消滅するか、王子を殺すか、決断を迫られた娘はナイフを捨てて泡になる。そこは透明な非在の場で、空の娘達が現れて三百年耐えれば不滅の魂を得られると励ます。身を切るような群青の海が赤く染まっていくのは、人魚の愛の色なのだろうか。

2015/02/13

yanae

清川さんの刺繍が挿し絵になっている絵本。銀河鉄道の夜がとても素敵だったので、こちらも手に取りました。いやぁ、素敵だった♥️物語も子供向けの人魚姫は絵本で読んだことがあったけど、アンデルセンの人魚姫をきちんと読むのは初めてで、こんなに長いお話だったのね。悲しいけど、終わりは少し希望がある。挿し絵がとても素敵で。お話をしっかり彩っています。銀河鉄道よりも個人的には好み。美しさ、嬉しさ、そして悲しみが伝わってくる挿し絵でした。他にもいくつか挿し絵の絵本があるようなので探してみたい。

2018/05/02

絹恵

(再読)声が無くなればあなたを傷付ける言葉を言わずに済むのだろうか。あなたの記憶を泡沫の夢にすることは出来るのだろうか。いや全部違う。自分のためのことを考える隙なんてないくらい、人魚姫はひとりのひとを愛していた。私は人魚姫にはなれないし、ならない。涙をこぼしても好きなものを好きだと言って、自分から逢いに行きたい。

2015/04/02

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