名文を読みかえす―夏目漱石からプロジェクトXまで
名文を読みかえす―夏目漱石からプロジェクトXまで / 感想・レビュー
風見鶏
この本は小説を見る目に客観性などというものが存在しないことを再認識させてくれた本になった。「これが名文である」と、芸術の価値基準を押しつけられることの不快ほど辛いものはないらしい。結局のところ、世間でいくら「名文だ」と騒がれた小説だろうと、自分自身が好きになれなければ名文もケータイ小説のそれと変わらない。だから小説を読むときに主観以外を適応することは不可能である。とはいえ、個人的にはこれぞ名文と思うものもいくつかあった。著者の分析に異を唱えたいものもかなりあった。審美眼は作品に触れることでしか磨かれない。
2013/02/11
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