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増補版 街場の中国論

増補版 街場の中国論

増補版 街場の中国論

作家
内田樹
出版社
ミシマ社
発売日
2011-02-25
ISBN
9784903908250
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増補版 街場の中国論 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

「街場の」としているのは、彼ら(内田樹氏と大学院ゼミの皆さんたち)の誰もが中国の専門家ではなく、逆にそうした立場から中国について語ろうという趣旨から。しかも、およそ中国の専門家の言はバイアスがかかっている上に面白くもない。それならばと、自分で語ったのがこの本。本書では確かに中国が語られているのだが、同時に同じくらい日本が語られている。中国については「中華思想」がキー・コードになっている。説得力に富む考察だ。要は現象ではなく、その構造なのだ。日本論としても面白く、日中(日米も)関係の分析は示唆に富む。

2016/12/30

おさむ

かねて読みたかった内田センセイの中国論の増補版。最近の地政学本ブームの先取りだったんですね。中国を理解するには国境線が確定されず曖昧なままグズグズしていることを良しとする華夷秩序に基づく王化戦略とを先ず理解する必要がある。中国が反日をやめられないのは、毛沢東を抜きにした成功体験がないから。たった10年西洋化が早かった日本が中国よりもうまくいったのは、日本に270の藩があり、治国の訓練を受けた人が多かった事、英仏が牽制しあって日本に関与した事、日本の文化が高かった事など鋭い指摘に頷きっぱなしでした。

2017/03/03

Tui

自称、日中関係の素人であるウチダ氏による、中国論。お題が中国でも何でも、ウチダ氏のスタンスは不変かつ一貫している。事実への客観性、冷静さ、相手への想像力、自身への問いかけ。クールかつシビアな視点への礼賛。この本のおかげで、中国が近い国になった。親しみが増したわけではないけど、無理解からくる怖れや偏見が弱まり、心理的距離が近くなった。扇動的な要素も時にあるウチダ本だけど、お題となっている対象への視界と認識を、確実に大幅に拡げてくれる。だから多少のウチダバイアスは承知の上で、また読みたくなるのだ。

2017/08/29

たかやん

そう言えばアメリカと違って中国とは卑弥呼のときからのお付き合いだった。中華思想という無自覚に陥りがちの統治行動原理が今回新たに著者から授かった視座。中華思想とはなにか?ヨーロッパ的な未開人を教化する義務を持ち合わせず、周縁国の朝貢による実質統治無しの精神的主従関係を形成するという王化戦略。ただしそれはかつて琉球王国、今は台湾という帰属関係の曖昧なエリアを生み出す起因となる。中国からアメリカへ周縁国として鞍替えしただけ、いう中国論の中の日本論は見逃せない。『阿Q正伝』は要チェックの文献として記憶しとく。

2017/03/20

Gatsby

増補版が出たので、たった3章分だけでも読みたくて購入した。「国の規模という量的ファクターを勘定に入れ忘れて国家を論じることの不適切さ」が指摘される。日本の10倍以上の人口を抱える国と日本を全く同じ尺度でもって考えるのがおかしいことは言われてみればもっともである。しかし、日常ではすぐにそういうことを勘定に入れずに反応してしまうものだ。私も自分の物の見方にはもう少し注意し、なぜその人はそういうことを言うのか、またそういう振舞い方をするのか、という点から考える習慣を身につけたいものだ。

2011/03/02

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