ゲンロン4 現代日本の批評III
ゲンロン4 現代日本の批評III / 感想・レビュー
たばかる
現代日本の批判Ⅲを読む。かいつまんで要約すると0年代前半批評ではストリート批評からネット批評が優位になる。ただしホリエモンでネット側の自由さが鎮圧したのも相まって個別化・実存主義化・(70年代への)ロマン主義化する。2011年周辺から当事者中心・現場参与型が増進するもこれも個別化の成長。故に若手の保守化、そして左派の不在といった状況だそう。 僕みたいな者(20代)からすると、批評に価値を全然見出せないですね。SNS離れに由来するネットコミット薄弱層ゆえ、いまいち現状理解に乗れてない。
2021/12/14
またの名
安部さんには悪いけどシュミットの友敵理論のように「安部は敵なんだ!」とやってみた、という載せていいのか不安な告白をするリベラル論者(鼎談現場では歓迎ムード)。現実の成果を出せないたびに「~だったら実は勝っていたのだ」式の否認に走る左派の精神論を叩きつつリベラル再起動などとも唄う書は、東浩紀史観だけでなく袂を分かった批評空間派やSEALDsに至るストリート思想の系譜、その他様々な同時代の流れを大総括。単なるごった煮の雑誌という性格を越えて情報量とその整理分類の比類なさのために、必読書指定されてもいい内容。
2017/10/29
ヤギ郎
特集記事は2015年安保闘争を中心に「ストリートの思想」をまとめている。東関東大震災と2015年安保闘争を経験した日本が,それらを体験したうえで今後どのように進んでいくかを考えるためにも,それらを分析する必要があろう。その意味で,本書はそれらをうまくまとめている。連載記事の一つ,速水健朗「独立国家論」は興味深い。連載小説は,途中から読んでいるので,当然だがよくわからないね。
2018/02/27
ころこ
アカデミズムが先行研究を参照する様に、批評は過去の批評を担うことがその議論の根拠でしょう。その点で、「現代日本の批評Ⅲ」は、批評の歴史が一旦終焉した後に、現在の批評が成立し得る基礎を修復している座談会になっています。座談会の2005年以降の議論で、よく『線が引ける』という表現が出てきます。これは、その時点で批評の系譜は途切れつつあり、それらを繋ぎ直して批評のインターフェイスとしての補助線を、新たな読者と書き手に対して提示しようとして出てくる問題意識です。今回の座談会は、まさに『ゲンロン前史』といえ、新たな
2017/09/02
なっぢ@断捨離実行中
戦後啓蒙の生き字引きともいえる浅田彰のインタビューとゼロ年代批評を通覧する座談会が目を引く。本書に通底する東らの危機感も正直「ある世代のそのまたある島宇宙でしか通用しない内輪論議では?」と思わないでもないが、批評自体が読まれなくなっている今、この疑問は何の意味をなさないだろう。消えるか生き残るかの瀬戸際で彼らは批評の再生を試みているわけで、夏目漱石がロンドンで神経症を患って以来続く、日本と西洋との間に引き裂かれた我々の自己意識=歴史を取り戻すために我々は再び病者にならなくてはならない、と東は説いている。
2016/12/24
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