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ゲンロン0 観光客の哲学

ゲンロン0 観光客の哲学

ゲンロン0 観光客の哲学

作家
東浩紀
出版社
株式会社ゲンロン
発売日
2017-04-08
ISBN
9784907188207
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ゲンロン0 観光客の哲学 / 感想・レビュー

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夜間飛行

好奇心の赴くまま本を読むのは楽しい。本書のテーマである観光はまさにそうした偶々出会う人や物に惹かれ交流する行為である。トランプ政権の誕生やヘイトスピーチの横行など《他者とつき合うのに疲れた》時代に、なぜ観光客が注目されるかといえば、まじめ(政治)の境界を乗り越えるためである。「観光客」論は「不気味なもの」論と結びつき、コンピュータの画面に我々の同一化する二つの主体が並ぶ現状の分析や、ドストエフスキーの作品から《子供たちに囲まれた不能の父》という誤配された主体を導き出す論考に、家族のあり方を考えさせられた。

2018/04/26

harass

「弱いつながり」に面白さを感じたのでこの著者の本格的な思想本を探して読む。『ありがちな』難解さが無いのに驚く。この明快さが読まれる要因かと。はじめにあるように、既存思想の「他者」論を「観光」で置き換えたものだとあり、いろいろ膝を打つ。付論の「二次創作」にもいろいろ納得。まあ自分はここあたりでも充分満足。良いものを読めたという気になった。んまあ、ほかは個人的にそこまで興味がないせいもあって軽く流す。というか、こんなに読みやすいことに再度驚く。彼のデビュー作を読んでみようかという気になった。

2018/03/16

ころこ

早いもので4年経ちました。一般的な人文書と比べて一つの論点をじっくりと掘り下げるといよりも、様々な論点をあちこち移動しているというのが再読しての印象です。文章の読み易さとは別に、読者は幅広い知識に対応する柔軟さが問われます。実は観光客とは読者のことで、著者の巧みな言葉でルソー、ヴォルテール、コジェーヴ、ネグリ、ハート、柄谷行人、ウィリアム・ギブスン、フィリップ・K・ディック、ドストエフスキー…と様々な知識人に触れ、注から読了後に参照する本が増殖していく。それらの本を実際に読み、また本書へと戻って来ると、ま

2021/03/12

シッダ@涅槃

【未読部あり】東日本大震災前後のころに“若手論客ブーム”というのがあったが、そのさきがけとなっている東浩紀氏。しかし、凡百の若手論客たち(東氏はもう若くはないが)の論に比べ、骨太で、曖昧さを許さない迫力を感じる。後者に関して言えばおそらく本論では“ある種の”と言う言葉を使ってないと思われる。しかし、分析哲学のようにいちいち定義づけにこだわってもいない。そうじゃなければ、多く感想にあるように“驚くほど読み易い”書にはなってはいないだろう。東浩紀氏は大文字のアカデミズムとは手を切っているのだ。

2018/03/28

ひろし

難しい。観光の話でもあるのだが、それよりも、大きな現代社会に個人がどう関わっていくかということを論じているようだということは想像できた。しかし観光、動物、「帝国」、郵便、家族、AI、ドストエフスキーなど題材が多彩で脈絡がわからない。部分的に理解できたのは、福島第一原発観光地化計画とドストエフスキーのくだり。でもこんな本を出版して経営が成り立っていること自体すごいと思う。

2017/08/25

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