病と障害と、傍らにあった本。
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なにも信じられなくなっても、本によって“生きる”ことができると知った【読書日記33冊目】
2019年12月某日
目を覚ます。外が白んでいるからどうやら朝だ。目だけで辺りをおそるおそる見渡す。私はどうやら生きていて、私はギリギリ「私」であるようだということに安心する。
ある時間の記憶がブツッと切れていることに後から気づくならば、まだいい。ハッと気がつくと知らない場所にいることも増えた。どうして、どうやって、ここに来たのかも思い出せない。シラフなのに。ましてやクスリをやっているわけでもないのに、目の焦点が合っていなくてフラフラしているという理由で、道端で職質されることも増えた。
こちらが“黒”だと決めてかかってくる警官に「大丈夫ですか」と詰め寄られて、いっそ「大丈夫じゃないです」と言いたくなる。大丈夫かどうかなんて、自分にだってわからないのだ。たとえば、激昂した瞬間に意識が飛んで人を刺したらどうしようと思う。本当に、何も覚えていないのだ。私が「私」ではない。知人は私の名前を呼んで、私のPCには私宛のメールが来るから私は「私」をギリギリ繋ぎとめていられるけれど、私は連続していない。非連続の私。お前は誰だ。
10月頃に起きた出来事が決定的な要…
2020/12/14
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病と障害と、傍らにあった本。 / 感想・レビュー
アキ
人は病や障害と出会い、失われてはじめて知ることがある。体験した人にしか経験できない本の世界。12人の著者はみんな病と障害とで、本を知り、本が導き、本が読めなくなり、本と暮らしと、本を傍らに生きた。巻末に本書で取り上げられた本のリストが載る。どの本も生きることを再認識させてくれる。病や障害は、誰にいつ起こってもおかしくはない。そんな時に傍らに本はあった。おススメ本。
2021/05/11
現在葬送のフリーレンのコスプレ中・寺「葬送のフリーレンて何や!」
この里山社は、いつもいい本を出している出版社のひとつである。今はこういういい出版社が他にもあったりして、そのおかげで良い本が増えている。本書もありそうで無かった企画の1冊。良いメンバーが集まっているとも思う。医療や福祉の本にも思えるが、立派な文芸書でもある。どれを読んでもそれぞれに辛い。しかし微笑ましかったのが頭木弘樹の文章。入院した大部屋でドストエフスキーを読んでいたら流行って、6人の患者全員がドストエフスキーを読んでいてナースがびっくりしていた話。吉田松陰が獄中で合牢者と学校を開いた話を連想した。
2020/11/07
けんとまん1007
改めて、人にとって本とは何だろうと考える。本という言葉の響きは、書物という言葉の響きと異なるものがある。どこか、人に寄り添ってくれているように感じるのは、自分だけだろうか。自分の考えかたとして、人は病である時間もあるし、何がしかの障害と言われるものを持っているというのがある。その時に、本があり、その世界に触れること、その時間の意味は、同じということはない。自分も、どれだけ本があることで救われただろうかと思う。
2023/05/13
ネギっ子gen
この出版社面白し。巻頭に掲げられた文章。【病や障害の名でひとくくりにできない、固有の症状や想い。誰かと分かち合うこともできず。そんなとき、傍らには、どんな本があったのか】。病や障害の渦中にいる人は、心身の辛さのみならず、その想いを、誰とも分かち合えない哀しみに、孤独に陥りがちになる。そんな時、外の世界と自分の内とをつなぐ「窓」となるような本は、あったのか――。12人の当事者、介護者による、本と病と障害と、生きることにまつわる書き下ろしエッセイ集。巻末に「本書に登場する本」の一覧あり。以下、それを紹介――⇒
2021/01/23
有
現在病も障害も傍らには無いが、弱っている今に寄り添ってくれるエッセイ集だった。読めない書けない、うまくいかない時の薬みたいな本でもある。まだ知らない本の魅力が、可能性がここにあった。ささくれ立った心にじんわりと温もりが浸透していく。つらさや苦しさをただ見つめ、そこから学び、それでも生きる、だからこそ生きる人々の気概が私の肩を叩く。本は読まなくなる、読めなくなる日が来ても、それまでと違う形でまた寄り添ってくれるのだ。これは手元に置きたい。おすすめしてくれた読友さんに感謝。そして私もこの本をおすすめしたい。
2021/11/12
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