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スリップの技法

スリップの技法

スリップの技法

作家
久禮亮太
出版社
苦楽堂
発売日
2017-10-31
ISBN
9784908087073
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「スリップの技法」のおすすめレビュー

“スリップ”って、知ってますか? 113枚のスリップから読む「書店を楽しむノウハウ」

『スリップの技法』(久禮亮太/苦楽堂)

 皆さんは書籍の“スリップ”をご存じだろうか。本に挟んである短冊上の紙片である。知っているあなたは書店員か元書店員だろうと思う。そんなあなたにおすすめの書籍がある。「スリップって?」と興味を持ってくれた、あなたにもおすすめしたいのが、『スリップの技法』(久禮亮太/苦楽堂)だ。情報が印字されている紙片「スリップ」が、書店業と書店をより楽しむきっかけになるという。

■意外と活用されていないスリップ  著者の久禮亮太(くれりょうた)氏はキャリア18年のベテラン書店員である。本書にはタイトル通り、書店業におけるスリップの活用方法が書かれている。ちなみに個人的な話だが、本稿のライターである私も複数の書店で計10年近くアルバイトをしていた。そのためスリップのことは知ってはいた。ただ色々活用する、と言われても正直ぴんとこなかった。

 そもそもスリップの大きな目的は2つ。“発注”と“入金の申し込み”である。スリップは2つ折りにして書籍に挟んであるが、後ほどその折り目から切る。片方は“注文カード”といい、冊数を書いてトーハンや…

2018/5/10

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スリップの技法 / 感想・レビュー

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あじ

束ねられた“スリップ”を日々チェックしてきた元書店員が、スリップの最大利用方法を提案する一冊。著書曰く【スリップに書き込むメモは仮説ときに妄想】実際に書き込んで利用したスリップを例に、解説を繰り広げるのだがこれが面白かった。まとめ買いのスリップがあれば(小川洋子、江國香織)、その傾向で雰囲気が似ている作家の棚を作ろうとか。棚挿しが三回も売れた理由に気付き、お客の選書眼に脱帽するなど、スリップの情報から連想が連想を呼ぶ様を楽しませて頂いた。書店員には発想を仕掛け、一般読者には選書開拓の一助になると思います。

2017/12/08

鱒子

当方、集◯社も講◯社みたいに版元でシュリンクしてくれたら良いのにーーと思っている あまちゃん書店バイト。だってうちの店シュリンカーないんですよぅ。手作業ビニールなんですよぅ。POSとハンディによる書籍管理が当たり前の私には、スリップというのは旧時代の遺物かと思っていました。特に雑誌スリップを作るという発想にはビックリ!仕事というものの根本を見つめる本。本っ当に とっても勉強になりました。

2017/12/26

よっち

以前スリップ中心からPOSへ移行しつつある時期まで書店員だった身としては、今はいろいろ手法も変わってきているだろうなとも感じつつ、でもこの本に出てくるのはかつてのスリップに対する懐古の想いではなくて、スリップから見えてくる情報を今の現状に即した形でいかに活用していくのかという姿が描かれていました。著者さんのストイックで無駄のない仕事ぶりにも驚かされますが、積み重ねた経験に裏打ちされたその着想やメッセージが凄まじいです。自分も本の仕入れの仕事をするようになってわりと長いですが、とても刺激を受けた一冊でした。

2017/12/24

ユメ

スリップから得られるデータをいかにして活用するかという解説。実際に著者が書きこみをしたスリップが多数掲載されており、眺めていてわくわくした。まとめて買われた本のスリップの組み合わせから、読者像を推理したり、並べて仕掛けたら売れそうな本を考えたり、様々な読み解き方が可能なことがわかる。スリップから著者がいくつものキーワードや類書を連想し、平台のアイディアを出していくのに感嘆した。とてもクリエイティブな仕事だ。本と本に繋がりを見出し、アイディアを広げていく姿勢は、書店員でなくとも、本を読む者として見習いたい。

2018/04/13

ステビア

書店員は購書空間の編集者

2022/11/05

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