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胎児のはなし

胎児のはなし

胎児のはなし

作家
最相葉月
増崎英明
出版社
ミシマ社
発売日
2019-01-29
ISBN
9784909394170
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「胎児のはなし」のおすすめレビュー

胎児のふしぎを解き明かす“楽しくて、役にたたない本”!

『胎児のはなし』(最相葉月、増﨑英明/ミシマ社)

 楽しくて、役にたたない本。『胎児のはなし』(最相葉月、増﨑英明/ミシマ社)の著者2人は、自身で本書のキャッチコピーをそのように表現する。

 本書は産婦人科歴40年以上の増﨑英明氏と、科学系のトピックを得意とするノンフィクション作家の最相葉月氏の対談形式だ。「赤ちゃんが早朝や夜中に生まれやすいというのは本当か?」というような一般人目線の素朴な疑問も織り交ぜながら最相氏が質問を投げかけ、増﨑氏が産婦人科医として、父として、男性としてそれに答えていくというキャッチボールが愉快に展開されていく。

 本書で繰り返し驚きとともに語られている事実を一つ紹介しよう。これは、父親・男性にとって朗報だ。(以下の引用は、増﨑氏が性教育の現場で、生徒に話している最中に得た気づきを語っているという文脈である)

そういえば、胎児のDNAって半分は父親由来だよなって。父親って母親の妊娠中は外にいてなんにも関係ないって思ってたけど、考えてみると、胎児を介して母親にいってるやん、父親のDNAが。えー、って!

 胎児のDNAには父親と母親…

2019/2/26

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みんなスゴくてカワイイ存在だった! 役に立たないけどためになる『胎児のはなし』――著者のお2人に聞いてみた!

 考えてみれば、経験していない人はいない。それなのに、その実態を詳しく知る人もほとんどいない──それが、赤ん坊になる前=胎児だったときのこと。『胎児のはなし』(最相葉月、増﨑英明/ミシマ社)は、すべての人類に関係が深い一冊だ。

 ノンフィクションライターの最相葉月氏が、胎児が“見える”時代の産婦人科界を牽引した元病院長で長崎大学名誉教授の増﨑英明氏に、「胎児とはなんぞや!?」という胎児のイロハや最新医療を聞き尽くした本書が生まれるまで──いわば本書の“胎児”時代を、おふたりに語ってもらった。

■「胎児、スッゲー!!!」という感動

──増﨑先生と最相さんは、どのように出会われたのでしょう?

最相葉月(以下、最相) 下北沢に、「ダーウィンルーム」という博物館ショップがあるんですが、そこで毎年、ダーウィンの誕生日の2月12日に至る数日間、「DARWIN DAY」というイベントを開催しているんですね。2018年の初日に増﨑先生が、翌日、私が登壇しまして。当時はおたがいの講演を聞けなかったのですが、イベントのコーディネーターである渡辺政隆さんに、増﨑先生が私の本…

2019/4/12

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胎児のはなし / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

鉄之助

胎児の”不思議”を対談形式でわかりやすく解きほぐした1冊。『絶対音感』の最相さんが、産婦人科の専門家から”おいしい”話をグイグイ引き出していく。母親は胎児を介して父親のDNAを、体の中に取り入れている、という。だから、段々似てくる夫婦が、いたりするのかと納得してしまった。まさに、子はカスガイなのだ。妊娠期間・十月十日(とつきとおか)は嘘!とか、お母さんが赤ちゃんを左側に抱くのはなぜ? など興味深い謎が次々と解明されて面白かった。

2022/11/05

mukimi

楽しくて役に立たない本との前書き通り診療ガイドラインや周産期マニュアルなどの実践的知識から離れた、そして離れれば離れるほどに面白い、命の誕生の神秘を追体験する読み物。筆者は超音波の黎明期、魚群探知機(!)や子宮内視鏡で胎児が見え始める時代に産婦人科医となり、臨床的意義よりも命の神秘への好奇心に端を発するような興味深い研究をされてきたようだ。好きを仕事にされているようで、胎児は宇宙飛行士、臍帯はロープ、胎盤は宇宙ステーションなんてドラマチックな例え、妊娠子宮というブラックボックスへの敬意を感じて嬉しくなる。

2023/12/24

ちゃちゃ

二人の娘を出産したとき、夫と相談して事前に我が子の性別は尋ねないことにした。不鮮明な白黒の超音波画像であっても、小さな心臓の鼓動が確認できて胸が熱くなった。けれど、それも今は昔。近年、産婦人科の医療技術はめざましい進歩を遂げた。母胎内の未知なる胎児の世界。その謎が次々と解明され、今では胎児の治療まで行われているという。でもその一方で、出生前診断などの重い問題もある。増﨑先生のユーモアたっぷりの温かいお話に引き込まれつつ、最後に心に残った言葉は「親と子も一期一会」。授かった命の尊厳を大切にできる社会に。

2019/06/27

しいたけ

私も学生時代に課題で読んだ『胎児の世界』にオマージュを込めたタイトルになっている。当時に比べ格段に解明が進んでいるが、大きな部分ではやはり謎は謎のまま。そこにたまらなく惹かれる。この本で一番驚いたのは、胎児を介して父親のDNAが母親にいっちゃってるということ。他人であるはずの夫婦が生物学的につながっているという衝撃。レビューで夫をディスる愚を犯すのはナンなので話を先に進めるが、胎児が羊水の中で泣いているということにも感動した。そして羊水はコバルトブルーなんだとか。ああ、空に癒されるのはこのせいだったのか。

2020/01/08

ぶち

凄い!"私は何も知らなかった"と思うくらい衝撃的な事実がたくさん!産婦人科の増崎英明教授と科学ライターの最相葉月さんが対談形式で、科学的に胎児を解き明かしてくれます。妊娠や出産、胎児について、衝撃的な科学的発見や最新医療について教えてくれます。しかしながら、科学的にいろんなことが解明されるようになっても、まだまだ胎児のことは分からないことが多い。でも、この先生が仰るように、"お産って、おまじないみたいなものですよ。科学的に証明されなきゃいけないものでもない"ということに、いたく納得いたしました。

2020/04/23

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