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吟醸掌篇 vol.1

吟醸掌篇 vol.1

吟醸掌篇 vol.1

作家
志賀 泉
山脇 千史
柄澤昌幸
小沢 真理子
広瀬 心二郎
栗林 佐知
江川 盾雄
空知 たゆたさ
たまご猫
山﨑 まどか
木村 千穂
有田 匡
北沢 錨
坂本 ラドンセンター
こざさ りみ
耳湯
出版社
けいこう舎
発売日
2016-05-09
ISBN
9784990886202
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吟醸掌篇 vol.1 / 感想・レビュー

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タカラ~ム

『ほかでは読めない作家たち、集まりました』と表紙にあるように、知る人ぞ知るというか全然知らない(すいません!)作家の短編アンソロジー。どんな作家のどんな作品がよくわからないまま読みはじめて、最初の志賀泉さんの「いかりのにがさ」でガツンときた。他の作家さんの作品も硬軟様々なタイプがあって面白い。私が好きなのは柄澤昌幸さんの「やすぶしん」。この主人公は、作家自身の投影しているのだろうか?

2019/05/31

吟遊

新人賞を取った後、売れっ子になったわけではない作家たちによる短編集。これをまとめた編集の努力はすごいと思う。冒頭の福島の母が書いた(小説だが、実際にそうなのだろう。あとがきでは、アレクセーヴィチに触れている)短編がなによりよかった。俳句好きな短編が2編あるのもよい。

2016/05/31

踊る猫

地味だなあ……良く言えば手堅いオーソドックスな、悪く言えば実験性のない短編が並んでいる。書き手の年齢も影響してか、若々しいフレッシュな作品というよりは苦味を際立たせた作品が目立つ。もっとぶっ飛んでも良かったのではないか、地に足がつき過ぎているのではないかと思う反面、いやこういう地味な作品の味わいというものも重要だと思うので悩ましかったりする。どの作品もそれぞれ味わい深いのだけれど、個人的には冒頭の「いかりのにがさ」が東日本大震災以降の「フクシマ」での生活をリアルに切り取っていて興味を惹かれた。第二号も是非

2016/07/13

ヒナコ

質実剛健な短編小説集。 ローカルラジオの深夜放送から偶然流れた骨太の音楽を聞いた時、そのミュージシャンが誰かさえも知らないのに涙するような体験が本書にはあった。 あまりにも地味すぎるといえばそうなのかもしれない。しかし、収録された多くの短編の中に起こる等身大の差別や排除が現代日本の日常としての正確な記述のようにも思えた。 フクシマと大都会、女と男、非正規労働者と正社員、病者と健常者、戦争体験者と戦後生まれの人間、様々な日常の中で現れる人間各々の差異が、階層性を伴って小さな物語を形成していた。

2018/07/17

刳森伸一

デビューはしたものの発表の機会にはあまり恵まれなかった作家たちによるアンソロジー。奇を衒わないオーソドックスな物語の中に、人々の悲哀を描いた渋い小説が多い。どの短篇小説からも真摯な姿勢が伝わってきて、昨今のベストセラーとは一線を画す作りになっている。個人的には、巡りゆく世界の中で一人だけ取り残されているかのような孤独感と、それに少し安住してしまっている男の心中を描いた「やすぶしん」と、統合失調症の少女の何くそ根性を謳い上げた「海の見えない海辺の部屋」が良かった。特に後者は何気に傑作かもしれない。

2016/07/14

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