「ときめきを探しています!」『花とゆめ』編集長コラム【第1回】

マンガ

更新日:2018/4/11

 ダ・ヴィンチニュース読者の皆さん、はじめまして。今回からこちらでコラムを書かせて頂くことになった少女まんが誌「花とゆめ」編集長の鈴木です。

 今はリニューアルしてしまいましたが数年前まで使っていた花とゆめ編集部の名刺には、雑誌ロゴの上に「ハートときめく♥少女まんが誌」というフレーズが添えられていました。

 少女まんがを語る時「ときめく」「ときめき」という言葉は欠かせませんが、辞書を引くと大きく2つの意味があります。「喜び・期待などで胸をわくわくさせる」「よい時期に巡り合って栄える」。

 ときめきを届けるには「よい時期に巡り合う」、その時代時代を捉えて変化を続けていかなくてはならないのだと思います。

 第1回の今回は、花とゆめを知って頂くきっかけとして、創刊から花とゆめがどんな変化をしてきたのかを少しご紹介させてください。…と言っても入社以来18年花とゆめ一筋で来た僕ですが、40年超の歴史を語るには若輩者。つい先日、先輩編集長から受けた講義の内容を拝借していることを告白しておきます。

 花とゆめ創刊は1974年。単なる恋愛物語には飽き足らない少女たちに世界を股にかけた冒険譚や正義のために戦う活劇等、男の子にも負けない行動するストーリーを提供するべく誕生しました。

『ガラスの仮面』『スケバン刑事』等、花とゆめの代表作として挙げられる事も多いエンターテインメント作品が人気を博しました。

この2作品、連載スタートは同じ号でした。

 80年代に入るとエンタメ性に、より人間を掘り下げた文学性をプラスした作品が人気を博します。ダ・ヴィンチ8月号で特集を組んで頂いた川原泉先生は、笑いの中に文学的エッセンスを溶け込ませた代表的な作家さんです。

入社まで少女まんがをそれ程読んでいなかった僕も大好きでした。読むと頭がよくなった気がして!

 その後、エンタメ性と文学的エッセンスをベースに、「動物のお医者さん」のギャグ・コメディ、「ぼくの地球を守って」のSF・ファンタジー、「赤ちゃんと僕」のホームドラマ等、作品のテーマ性・ジャンルが広がっていきます。

 僕が花とゆめに配属されたのは2000年。少女まんがの王道とも言える学園ラブコメを多めに取り入れてより間口の広い雑誌を目指していました。

『フルーツバスケット』『花ざかりの君たちへ』と言ったアニメ・ドラマ化された作品も多く、他にも「秋吉家」シリーズや『天使禁猟区』等、様々な作風・ジャンルの作品が誌面を飾っていました。

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 自分が関わるようもなってからは、とにかく必死で! どんなキャラが、設定が、物語が、読者の方にときめきを届けられるのか作家さんと試行錯誤をしてきました。もともと少年まんがばかり読んできた自分が、日々ときめきについて考えているのは我ながら不思議な感じがします。

 

 知り合った方に「花とゆめの編集です」と自己紹介すると、「~の頃に◯◯が好きだった」というお話を聞かせて頂ける事があります。花とゆめの編集として心ときめく瞬間です。

 同時に、花とゆめの培ってきた「らしさ」を活かしながら、今を生きる方々に今ならではのときめきを届ける花とゆめを作っていきたいと心新たにする瞬間でもあります。

 長くなりましたが、今後このコラムでは、僕自身が心ときめいたものや出来事を絡めながら花とゆめの今をご紹介していきたいと…今決めました!

 

 最後に最新の花とゆめをご紹介させて下さい。

 表紙を飾るのは、少女と異形の魔族の王の異種ロマンス『贄姫と獣の王』。

人間と魔族の間の存在である王の悲しい過去が明かされます

 お祝いが2つ! 『俺様ティーチャー』の連載10周年を記念したキャラクターコンテスト発表と、『それでも世界は美しい』連載100回を記念したSPプレゼント! 遊び心のあるアイテムにご注目を!

 次代を担う新人の読み切りも2本。高校球児と不器用な彼を応援する少女のラブコメ『ご自愛ください、八雲くん』。

一生懸命なキャラクターが可愛いんです!

常夏の島のマリンショップに飛び込んだ主人公の奮闘を描く『雪の珊瑚礁』!

勇ましい彼女が隠した思いとは?

 

 あなたに新しいときめきを届けられますように!

『花とゆめ』最新号は10月5日(木)発売!

『花とゆめ』2017年 10/20 号(白泉社)

鈴木浩介(すずきこうすけ)編集長
1976年生まれ。慶應義塾大学卒業後の2000年に株式会社白泉社入社。以来18年間花とゆめ編集部に所属し、2016年7月より同誌編集長に。

▶『花とゆめ』公式サイトはこちら

▶次回の鈴木編集長のコラムは、11月5日頃更新予定です!