『オズマガジン』編集長の「今日のよりみち」 日常はよりみちのなかにおもしろさ③ ~東京・日本橋~

ライフスタイル

2017/11/12

 ダ・ヴィンチニュースは、雑誌読者のことを一番よく知っている各雑誌の「編集長コラム」企画をスタートしました! 今回ご登場いただくのは『オズマガジン』の古川編集長です。

 ダ・ヴィンチニュースをお読みのみなさん。こんにちは。オズマガジン編集長の古川です。1カ月ぶりですね。お元気でいらっしゃいましたか?

 毎月オズマガジンの特集の内容をご紹介させていただいているこのコラムですが、さすがのダ・ヴィンチさんですね。まだ3回目にもかかわらず「読みました!」という声をちらほらいただけるようになりました。いつも読んでいただきありがとうございます。とても嬉しく思っております。

 オズマガジンの12月号(11月10日発売)は「東京・日本橋」エリアの特集です。

2017年12月号 新しい東京・日本橋特集

 紙面の中でも書かせていただいたのですが、この「東京・日本橋」というエリアを表紙にしてメインで取り上げるのは、オズマガジン30年の歴史の中で初めてのことになります。

 僕はオズマガジンを作るようになって15年が経ちました。15年前のことを思い出すと、東京の町も、情報誌のあり方も、今よりもっとシンプルだったような気がします。

 たとえば、最先端のファッションといえば、表参道と青山。渋谷系という言葉に代表されるように、カルチャーの発信地は渋谷。それらのカウンターカルチャーとして裏原宿にインディペンデントが集まり、一方で海外からの旗艦店は銀座に集まっていました。いわばそれらのいくつかの町をマークしていれば、東京という町の動きはある程度トレース可能だったのが90年代~2000年の初頭くらいまでだったと思います。

 情報誌も、それらの「最新」の情報を「いちはやく」キャッチし、紙面にしていれば成り立っていた時代でした。しかし今や情報誌にどれだけの人が最新情報を期待しているでしょうか? みなさんもあのころを思い出していただければ合点がいくと思いますが、流行が消費されるのは明らかに今よりもゆっくりしたペースでしたから、雑誌がそのペースにまだ辛うじてフィットしていたのです。

 しかし、今はもう東京はもっと細分化した町になっています。もはやどこにもメインストリームなんてモノは見あたりません。

 象徴的な出来事でいえば、スターバックスが日本に上陸したときに日本一号店の場所に選んだのは銀座でした。しかしブルーボトルコーヒーは清澄白河に一号店をオープンさせています。

2011年7月号 下町特集

 6~7年前、とても印象的で、いまでもよく憶えていることがあります。オズマガジンで「下町特集」を作ることになったときのことです。それまでの下町特集といえば、メインのエリアは決まっていました。「神楽坂」「浅草」と「谷・根・千」(谷中、根津、千駄木の総称)です。

 しかしこの特集でオズマガジンが最初のエリアに選んだのは、「馬喰町」「蔵前」というエリアでした。そしてその場所を中心とした東京の東側エリアを総称して僕らは「イーストトーキョー」と呼びました。このエリアには、下町のモノづくりの精神を受け継いだ若い世代の店主たちがお店をオープンしはじめていました。家賃が安い、空き物件が多い、程よく静か、その理由はさまざまでしたが、既存の価値観にとらわれない個性的なお店がこのエリアに集まりはじめていることを、僕たちは感じていたのです。

 結果的にその特集はとても多くの読者に受け入れていただくことができました。東京に住む多くの人もまた、この東京の町の変化を敏感に感じ取っていたのだと思います。今でもこのエリアのお店の方々とのおつきあいは続いていて、オズマガジンといえば「イーストトーキョー」という認識をしてくださっている方も多いのも事実です。その号のバックナンバーを今でも大切に持ってくださってる方もいて、それは本当に嬉しいことだなあと思います。

 そしてもうひとつそこで僕たちが学んだことは「価値は言語化されることによって浸透する」ということでした。「イーストトーキョー」という言葉を使ったことにより、その価値は僕らの手を離れてどんどん広がっていきました。もちろんそんなふうに括られたくないという方もいらっしゃると思いますので声高には言えませんが、その言葉が引っ張ってくれた部分はやはり大きいなと思います。

 グランピングはおしゃれなキャンプだし、チルアウトはリラックスしたいい気分(ちょっと訳が難しいですね…)です。わたしたちがずっと知っていたりやっていたことも、名前がつくと価値になり、流行になるのです。

 話が逸れてしまいました。軌道修正。

 この2000年代初頭の下町特集くらいから、僕たちはこの東京のメインストリームのフリンジで起こっている「おもしろい動き」を感じとっていました。ニューヨークのトレンドがブルックリンから発信されるようになったように、東京のトレンドももはやフリンジエリアから発信される時代になったのです。

 そしていま、オズマガジンが注目しているのが、この東京駅の周りと、日本橋一帯のエリアです。

2017年12月号 新しい東京・日本橋特集「おやつとおみやげ編」

 ここは日本の街道の起点であり、商業の町ですので、歴史や伝統のあるお店や建物が今も多く残っています。この、ともすると「古くさい」エリアになりがちの場所に、いま新しいお店や、おもしろい人が続々と集まって、なにやら楽しい匂いがぷんぷんしています。

 詳しく紹介したいところではありますが、個々で僕がつらつらと語るよりも、今月のオズマガジンを見ていただくのがなによりだと思います。そこにこのエリアの今をとじ込められたと思いますので、ぜひ書店さんやコンビニで手に取っていただけたら嬉しいです。

 ではまた1カ月後に。次号の特集は「東京おやつさんぽ」。編集部みんなで甘いものを食べまくっています。

 寒さが本格的になってきました。どうか風邪などひかれませんように。元気に冬を楽しみましょう。

 いい1日を。

『オズマガジン』最新号は11月12日(日)発売!

OZ magazine 2017年12月号
(スターツ出版)

古川誠(ふるかわまこと)編集長

1998年スターツ出版入社。販売部の営業を4年務めたのち、2002年よりオズマガジン編集部に配属。2008年より編集長に。ほかクルミド出版より小説『りんどう珈琲』を出版。2018年には2作目の小説「ハイツひなげし」をセンジュ出版より刊行予定

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『オズマガジン』編集長の「今日のよりみち」 日常はよりみちのなかにおもしろさ ①~銀座編~
『オズマガジン』編集長の「今日のよりみち」 日常はよりみちのなかにおもしろさ ② ~青森編~

▶次回の古川編集長のコラムは、12月12日頃更新予定です!