「100万部です、ありがとう。」『コロコロコミック』編集長のうんちん日記第5回

マンガ

更新日:2018/4/11

 今回ご登場いただくのは『コロコロコミック』の和田編集長です。12月15日発売の「月刊コロコロコミック」2018年1月号は、大人も喜ぶ豪華ふろく付! 発行部数は、100万部の大台を突破! 2017年最後の和田編集長のコラムをお楽しみください!

準備は万端です。

細工も流々です。

編集部員全員の知恵を結集して、いい本ができました。

12月15日発売「月刊コロコロコミック」2018年1月号は、2年ぶりの100万部発行となります。

100万部。

甘美な響きです。

でも、同時にずっしりと重い響きでもあります。

やり残したことはないか、いやそもそも売れるのか売れないのか、さまざまな想いが頭の中を駆け巡っています。

正真正銘、2017年最後の大勝負です!

そして勝負は勝たなければなりません。

本当はもう少し柔らかい感じで2017年の日記を締めくくりたいのですが、そんな器用なことができる性格でもなく、今月は今の自分のテンションをダイレクトに伝えたいと思います。

先月の日記に書いた通り、二の酉で熊手を購入。編集部も必勝体制です!

突然ですが、コロコロコミックにとっては“売れること”が圧倒的な正義です。

では、どうすれば雑誌が売れるのか?

どうすれば100万部売れるのか?

そんなことがわかったら、毎月こんなにうなりながら日々を過ごさないで済みます。

だけど、ただ一つだけ絶対に必要な事、それは圧倒的な中身の面白さです。

どんなに魅力的な言葉や画像を提示して宣伝しても、本当に中身が面白いものでなければ、100万という数には届きません。

読んでがっかりさせてしまうということは、翌月から永遠に読者を失うことです。

では、面白さの基準は何なのか?

それこそ人それぞれです。

コロコロコミックは漫画を中心に据えた小学生男児にとっての総合誌です。

だからこそ、様々な読者の嗜好にそれこそ手を変え品を変え、何らかで引っ掛かりのあるようなメニューを提示し、ある種一見雑多にちりばめる必要があると思います。

ちょっとした子供たちの気分の変化。

人気企画に対しての、適正なボリュームの見極め。

人気はないけど絶対になくしたくないページへの配慮。

熱量etc…

雑誌は生きています。

一度決めた台割(雑誌の何ページで何をやるかという設計図です)も、何か面白い事象が現れたら躊躇なく変更します。

毎月毎月作っている中で、一番ワクワクするのはこの部分です。

17人の編集部員は(全員男ですが)、誰一人として同じ性格ではありません。

仮に同じ小学校の同じクラスメートだったら、毎日遊ぶ気の合う友達もいれば、クラス替えまで一度も話さなかったなという間柄の者もいる。

そんな間合いと空気感で編集部は成り立ってます。

だからこそおもしろいモノが生まれるのです。

全員が面白いと思うもののツボが違うからこそ、1冊の内容に幅が生まれます。

では、そこにチームワークは存在するのか?

一見、てんでバラバラです。

でも、全員が自分の作るものが一番面白いと思ってる、そしてコロコロコミックを売りたいと思っている。

その目標へ向かっての意思統一があれば、チームワークの芽は生まれます。

「あいつの企画は人気が出そうだから邪魔してやろう」と思うよりは、「あいつの企画は人気が出そうだから、応援してるかのように便乗したほうが雑誌のタメになるし自分のタメにもなる」、というしたたかさも時には必要です。

そういうダイナミズムを持った中で切磋琢磨が繰り広げられることで、文字通りチームワークは磨かれていくのだと思っています。

春から夏にかけて、スカイツリータウンで開催された「コロコロコミック伝説カフェ」用に制作された巨大タペストリー。40年にわたるチームワークを見よ!

雑誌が売れると、ほんとうにうれしい。

そして気持ちいい。

今この世の中で雑誌を作るという醍醐味、売れるという醍醐味を味わえる数少ない雑誌に携わることが出来、本当に幸せです。

だからこそ編集部員全員が雑誌が売れた感覚を当事者として甘受してほしい。

なぜならば、売れた感覚を味わったことがある人は、また売れる雑誌を作ることが出来るからです。

浮き沈みがありながらも、40年間「コロコロコミック」が売れる雑誌であり続けているのは、先輩たちが築いてくれた「売れるイズム」が編集部内に脈々と受け継がれているからだと思います。

ホントにくどくて申し訳ありませんが、だからこそ今度の号は売らなければならないのです!

年末進行と忘年会の体力作りに、近所を走ってます。「陸王」の宮沢社長のように、「百万部――!」とラスト数百メートルを全力で走ったら、のどかにお弁当を食べていた会社員にぎょっとされました、平日の昼下がり

子どもたちと話しているとさっきまでAの話を熱心に話していたと思ってたら、いつの間にか意味が取りづらくなって、よくよく聞いたらとっくに話題はBに移り、おいおいと思ってる間にCへと変わっていることがよくあります。

大人から見れば意味不明でも、小学生男児にとっては当たり前。

脳内は好奇心のみ、脈略は二の次です。

だから「コロコロコミック」の誌面も、できるだけそんな子供たちの頭の中に近づければと思っています。

まあ、到底近づけはしないのですが。

何しろうちの読者は天才ですから!

イベントのクイズ大会の正解賞品として子どもたちにあげる「うんち消しゴム」をリニューアル。超ケミカルな柑橘系の匂いつきで、年明けのイベント「次世代ワールドホビーフェア」から配りまくります!

とりとめもない話になってきました。

果たして売れるでしょうか。

売れると思います。

いや、たとえ売れなくて打ちひしがれた気持ちになったとしても、また立ち上がらなければなりません。

何度でも立ち上がってきた歴史が、コロコロコミックの歴史なのですから。

最後に今月の暗号です。

「スプラトゥーン2完全限定シリアルコード エンペラーギア」と町中で叫ぶと、ひょっとしたら子供たちだけけでなく絶対にコロコロコミックとは縁のなさそうな若者も振り向いて手を挙げてくれるかもしれません。

大掃除で、たまったコロコロ全部処分しなさいと言われたのに、気づいたらバックナンバーを読みふけってる子がいたら、もう一年だけ温かく見守ってあげてください。

では、また来月。

皆さんよいお年を。

うんこちんちん!

『コロコロコミック』最新号は12月15日(金)発売!

『コロコロコミック』1月号

和田誠(わだまこと)編集長
1971年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業後の1994年に株式会社小学館入社。『幼稚園』『おひさま』『めばえ』『小学一年生』編集部を経て、2005年より『コロコロコミック』編集部所属。2015年より同誌編集長。イベントなどでは、編集長キャラクター「まこ殿様」として登場。

▶『コロコロコミック』公式サイトはこちら

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