若葉のころ‘1994 『コロコロコミック』編集長のうんちん日記第9回

マンガ

公開日:2018/4/14

いきなり、下手くそなラクガキを見せてスミマセン。ラクガキではないのです。こ
れは、、、

 今年の東京の桜は早かった!

 見頃を逃すまいと、各所を巡ったのはもう2週間前。

 あっという間に葉桜になってしまいました。

 すっかり春ですね。

 ウララカな春の日差しを浴びながら、ふと思い出したのは、1994年の春。

 そうピッカピカだけどボロボロだった新入社員のあの頃のことでした。

 全国の新入社員の皆さん、入社おめでとうございます!

 今月は特に皆さんのために話していきたいと思っています。

会社の近く、平川門脇の桜。いつまでも眺めていたい、満開の日

 冒頭の写真は、1994年5月、数週間の仮配属中に入社して初めて書いた、雑誌「めばえ」の次号予告のラフです。

 我ながら物持ちがいいですね。

 入社以来24年間、取っておいた物は、ほぼ他にありませんが、なぜか入社時期の仕事の痕跡はずっと机の奥にしまってあります。

 ところで、この稚拙なラフは、編集長からあっさりボツになりました。

 自分としては、誌名に引っかけて、「めだつよ ばつぐんの えがお」と、うまくコピーを付けたつもりでいました。

 正直言えば、「おまえ、なかなかやるな」とほめられるのではないかとさえ期待してもいました。

 が、即座に言われたのは「このコピーはいらない」の一言でした。

 ガーーーーン!!

 なぜ?

 何でわかってくれないの?

 言い返したい気持ちはありましたが、打ちのめされた私はとてもじゃないけど体も口も動かず、ただただその場に立ち尽くすだけでした。

 今改めて、このラフを見返してみて、その時の編集長の気持ちがわかります。

・まずこのページを誰に読んでもらいたいか考えるべき
・スペースは、来月の売り目を最大限にアピールすることに使うべき。
・なので、イメージ的な写真や、キャッチコピーは不要

 当然ですが、ラフを見てくれた編集長は毎月毎月自分の雑誌を作り続けています。

 自分の思い描く雑誌としての方向性、あるいはそもそも売上を伸ばさねばと言う思いが日々頭の中を駆け巡っているはずです。

 一方そこにふっと数週間送り込まれた自分は、そんな流れもわからないまま、思うままにラフを描いて、あっさりダメ出しされ、なぜだと落胆します。

 コミュニケーション不足。

 今となっては何でもう少し食い下がらなかったんだと思います。

 あるいは、多分に甘えもありますが、編集長は何で内気な私の気持ちを汲んで、見せられたラフを少しでも活かして最終形に導いてくれなかったんだとも思います。

 両者には会話が不足していました。

 新入社員の皆さん、言いたいことがあったらハッキリ言いましょう!

 あなたの意見を受け入れてくれるかはわかりませんが、相手が“オトナ”であれば、真摯に耳を傾けてくれたり、対応してくれるはずです。

 1994年の私には、その勇気がありませんでした。

 でも、勇気が出ない、それもまた当然だったなとも思います。

 だから、あなたにもしそんなことがあっても、さして気にする必要はありません。

 一つだけ確かなこと、それはどんな仕事の現場でも、基本は“会話”だということです。

 雑誌作りにおいてはよく、アイデアはある日突然降りてくると言いますが、だいたいの場合、その背景には様々な人との会話で蓄積された“種”があります。

 だから、どんなくだらないきっかけでもいいから、とにかく会話してみましょう。

 間違いなく相手も新入りのあなたのことが気になってます。

 そして、もし万が一あなたの言った事の意図や背景を理解せずに、頭ごなしに否定し、会話を断絶させるような人が社内外にいたら、その場では「ありがとうございます」とニッコリ頭を下げて、以後一生信用しないでいいと思います。

 本当に!

描き直したラフと、実際に出来上がったページ。見るに堪えないラフですが、出来上がったものを見た時は嬉しかった

 新しい人を迎え入れるときは本当にワクワクするものです。

 何故なら、新しい力ほど強くてかつ怖いモノはないからです。

 新しい力は、それまでの慣習や秩序を、一変させる力があります。

 藤井七段や大谷投手に皆がワクワクするのも、そういうことなんだと思います。

 だから世の中には新入社員が必要なんです!

 即戦力でも大器晩成でも、あるいは運でも実力でも何でもいいから、とにかく飛び込んで来てください。

 みんなあなたたちの気持ちが知りたいのです。

 入社おめでとうございます!

平川門の桜は、すっかり葉桜に。また来年もよろしくお願いします

 最後に今月の暗号です。

「デュエマWデッキ40枚セット&パズドラモンスターメモリー」と叫んでみてください。

「デュエマは2デッキだからすぐに誰かと遊べるし、モンスターメモリーはまだどこにも売ってないんだよ」と優しくリアクションしてくれる少年がいるかもしれません。

 一つ学年があがり、大人びた表情で誇らしげにコロコロを読んでいるような子をみかけたら、どうか暖かい目で見守ってください。

 それではまた来月、うんこちんちん!

『コロコロコミック』2018年5月号は、4月13日(金)発売!

『コロコロコミック』5月号

和田誠(わだまこと)編集長
1971年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業後の1994年に株式会社小学館入社。『幼稚園』『おひさま』『めばえ』『小学一年生』編集部を経て、2005年より『コロコロコミック』編集部所属。2015年より同誌編集長。イベントなどでは、編集長キャラクター「まこ殿様」として登場。

▶『コロコロコミック』公式サイトはこちら

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