かこさとしさんが描いた、歯の絵本『はははのはなし』知ってる?――『MOE』編集長の「大人が絵本を読むのって変ですか?」第9回

文芸・カルチャー

2018/6/2

『はははのはなし』(福音館書店) 文・絵/かこさとし

 ゴールデンウィーク最後の日曜日。明日からまた仕事か…なんて考えつつだらだらとテレビを見ながらビール。おつまみにはアタリメ。そんな平穏をぶちこわしたのは神経に突き刺ささるような痛みだった。

 洗面所の鏡の前で口の中をのぞきこむ。予想に反して詰め物には異常なし。ほっとひと安心して、とりあえずうがい…… 再びアタリメを。

「痛――――――――い!」

 やはり詰めものに何か異常があるに違いない。とりあえず明日朝イチで歯医者に行かねば…。最悪の気分でゴールデンウィークを締めくくったのでした。

 結果……奥歯にクラックが入っていることが判明。左下の奥歯がアタリメに負けて割れてしまったのだ。

 歯医者曰く「固い物食べるとなる人多いんですよ。これは抜歯ですね。」との診断。

 奥歯を抜きました。歯茎にはクレーターが。クレーターには、ご飯粒が入り込んで不快です。そして、心にもぽっかりと穴が。

 ということで、歯はすごく大切です。6月4日は虫歯の日。日頃から歯のケアはちゃんとしましょう。

 トップの画像に出ている『はははのはなし』(福音館書店)を読んで歯の大切さを小さいころから学んでいたのに! 先日お亡くなりになった筆者のかこさとし先生にも申し訳ない気持ちになりました。

 今回は良い機会なので「歯の絵本」についてご紹介させていただこうと思います。

『かこさとしからだの本③ むしばミュータンスのぼうけん』(童心社)作・絵/かこさとし

 歯の絵本の中でも、もっともこわい絵本です。

 悪のキャラクターミュータンスが子どもたちを虫歯にするため、甘いささやきで誘惑します。合言葉は「歯磨きをするな」「甘いお菓子をたくさん食べよう」「歯医者に行くな」。ミュータンスの言いつけを守れば、歯に隙間ができて、歯並びがゆがんでぼこぼこになり、息が漏れて、言葉がうまくしゃべれなくなり、歌が上手に歌えなくなり、歯が痛いのでよく考えるのが嫌いになったり、いつもイライラするようになれるとのこと。

 一番こわいのは、虫歯になった歯をそのままにしておくと、歯がボロボロになって根元まで腐っていくシーン。これを見たらすぐに歯医者に行きたくなります。

『はははのはなし』(福音館書店) 文・絵/かこさとし

 私の子どものころの愛読書。歯医者さんでも定番の絵本です。真っ白な歯を見せて笑う子どもと虫歯になってつらそうな子どもがわかりやすく比較して描かれています。歯の役割から虫歯の原因、体と心の健康にとって丈夫な歯がいかに重要かをわかりやすく伝えてくれます。ちなみに私は子どもの歯が20本、大人の歯が32本だということをこの本で学びました。

『いーはとあーは』(福音館書店)作/やぎゅうげんいちろう

 歯のことが好きになれる絵本です。鏡の前で自分の歯をあらためて見たくなります。自分の歯と向き合って、ちゃんと大事にかわいがってあげないといけないんだよな~とも思わされます。絵本の最後に書いてある「上手に歯磨きして、甘いものをたくさん食べないこと。2つをちゃんと守れれば君はとってもえらい子です」のお言葉、まったくその通りでございます。今の現状を考えて残念な気持ちになりました。

『きらきら は・は・歯』(世界文化社)文/室井滋 絵/長谷川義史

 虫歯の主人公ヨシオ君一家は暗くつらい生活、一方、白い歯のケント君一家はすごく幸せな生活。極端な対比でストーリーは進んでいきます。やっぱり白い歯の男がモテるしかっこいい。なのに虫歯でいるなんて人生損してるよと教えてくれる一冊です。かつてプロ野球選手の新庄が歯をピカピカにしてたよな~なんて思い出してしまった絵本。

『にゅうしちゃん』(岩崎書店)作・絵/minchi

『いっさいはん』(岩崎書店)でブレイクした注目の新人絵本作家minchiさんの最新作。こちらは乳歯に特化した絵本です。乳歯たちが赤ちゃんスタイルで所狭しと登場。すごくかわいいです。虫歯のメカニズムから各歯の名称から役割まで図鑑なみに細かくわかりやすく解説しています。新米パパママはぜひ持っておきたい1冊ですね。

 大きなお世話ですが、みなさんも読んで歯の大切さと予防について考えてはいかがですか。

 では、6月1日発売のMOE7月号の宣伝です。

 今回まず注目していただきたいのは表紙。大人気画家ヒグチユウコさんによる描きおろしの「赤ずきんちゃん」! 「赤ずきんちゃん」のイラストはとじこみ付録でポストカードにもしちゃいました。さらにこの「赤ずきんちゃん」、ヒグチユウコ×GUCCIの最新コラボグッズとも比較してお楽しみください。

 そして、巻頭の特集は「絵本とステキな暮らし」というテーマで読むだけにとどまらない絵本の楽しみ方をMOE編集部からいろいろと提案させていただきます。キーワードは「飾る」「おいしい旅」「グッズ」「悩み相談」「絵本棚」「あるある」「ヒグチユウコ」です。

 今回のふろくは描きおろしの絵本。注目の少年画家・濱口瑛士によるはじめての絵本!

「ダビッコラと宇宙へ」作・絵/濱口瑛士

 濱口瑛士さんは、将棋の藤井聡太七段と同じ学年の16歳。彼はディスレクシアという悩みを抱える中で「絵を描くこと」に喜びを見出しました。はじめての絵本は、彼の頭の中で広がる空想の物語。特徴的な細密画が必見なのはもちろんのこと、世界観、キャラクター、ストーリーすべてに少年だからこその魅力があふれている。これからの進化にも注目していきたい才能あふれる作家が現れました。ちなみに美少年です。

 その他にも、かこさとし先生を偲んだ緊急特集。かわいくておいしいものに出会える絵本&キャラクターカフェ特集、平澤まりこさんによるチェコ紀行(イラストエッセイ)、注目の北欧アーティスト、インゲラ・アリアニウスへの取材などなど。もちろん大人気連載ヒグチユウコ「ほんやのねこ」も載っています。今回もMOEでしか読めない情報満載でお届けしています。ぜひ!

『月刊MOE』最新号は6月1日(金)発売!

門野隆(かどのたかし)編集長
1974年生まれ。早稲田大学法学部を卒業後の1999年に株式会社白泉社入社。青年漫画誌『ヤングアニマル』にて15年、『コンテンツビジネス部』にて2年を経て、2017年12月よりMOE編集部所属および編集長に。MOE編集部に来てはじめて子どものころ意外とたくさんの絵本を読んできたことに気づく。→『MOE』公式サイトはこちら

〈ヨシタケシンスケ×糸井重里〉『りんごかもしれない』は、りんごを一度も見ずに描いていた! 「絵本の面白さ」って?

▶次回の門野編集長のコラムは、7月初旬更新予定です!

「MOEの展覧会はなぜすごいのか?」
「絵本から国民的人気キャラクターを!」
「大人が絵本を読むのって変ですか?」
「2017年絵本屋さんにもっとも評価が高かった絵本は?」
「絵本作家ってもうかるの?」
「有名な絵本って何があるの??」
「すごいぞヨシタケシンスケ!」
「大人からの絵本デビュー者募集!」