明治のトンネル、遊郭跡!? 「高尾山・八王子」の穴場スポットを『散歩の達人』編集長に聞いた!
公開日:2018/9/21
こんにちは。月刊『散歩の達人』編集長の土屋です。
今月号の大特集は「高尾山・八王子」。猛烈な暑さも過ぎ去り、歩くのが楽しくなってくる季節。高尾山に“山さんぽ”はいかがでしょうか? 新宿から特急で1時間足らずとアクセスがよい高尾山は、年間約260万人という世界一の登山者が訪れる山。とくに紅葉時の混雑具合は有名です。ただ多彩なコースがある高尾では穴場スポットも点在。ケーブルカーやリフトで楽々山さんぽもいいですし、稲荷山コースや6号路を使って本格的登山もできます。そんな観光客もハイカーも老若男女を受け入れる懐の深さも高尾山の魅力といえるでしょう。今月号ではほぼすべてのコースを案内していますので、どうぞご覧あれ。
一方、麓の八王子は、古くは甲州街道最大の宿場町で、近代は絹織物で栄えた織都。ここ数年で新しい息吹を感じさせるこだわりの店が増えつつあります。山だけでなく山麓までも魅力的になってきたこのエリアを特集全体でたっぷり紹介しています。
さて、今回のコラムでは、特集で紹介しきれなかった楽しみ方を2つご紹介しましょう。
一つ目は高尾駅からの散歩の提案です。皆さんすぐに京王線の高尾山口駅に直行してしまうと思いますが、高尾駅から歩くのもオススメなのです。まず高尾駅から西に向かい、線路の南側にある大光寺へ。ここはカエルだらけの寺です。これは住職が参拝者を六カエル(迎える)意味を込めて配置しているそうで、六つのカエルにもそれぞれ意味があるそう。庭を散策するだけでも楽しい気分になれる寺なんです。春の桜も見事ですよ。
再度線路の北側に戻って線路沿いを西に歩くと、川を渡る手前に写真のようなレンガ造りのトンネルが。このトンネル、高尾駅(かつては浅川駅)が開業した明治34年(1901)頃に造られたと思われる歴史を感じるもの。地域の住民の方々の生活道路になっているので、遠慮しつつも、つい通ってしまうトンネルです。本誌では49ページで体験作家・中野純さんが紹介していますが、夜に通るのも面白いはず。
ここから高尾山方面にもう少し歩くと、『ろくざん亭』に入る道の角に「高尾山ちか道入口」の古い石標が見つかります。おそらく江戸時代末期に造られたと思われますが、金比羅台を経由して薬王院に向かうことができることを示す道標です。石標だけでも必見ですが、ここから金比羅台へのルートも素晴らしいのです。本誌で「金比羅台コース」として掲載していますので、このコースを使って、山頂まで行かずとも絶景を望める金比羅台で景色を見てくるのも楽しいかも(22ページ参照)。
またはこの道標の近くには11ページで紹介した『蕎麦と杜々』があるので、ここでそばを手繰ってから、「落合」バス停からバスで帰るのもいいかもしれません。最後に、高尾駅前には『あさかわ食堂』(17ページ参照)というハイカーに愛される名酒場もあるのでお忘れなく。このように、高尾駅からも楽しい散歩が楽しめるのです。
さて、もうひとつが八王子駅北側にある田町・中町あたり。八王子は江戸時代から昭和40年代まで、宿場町から繊維産業の発展と共に繁栄した街。田町は浅川の南にある住宅地なのですが、駅から歩いて行くと、川に並行して急に広くなった大通りが現れ、サルスベリが道の両脇に植えられています。ここがかつての遊郭跡。
10年前に来た時は、遊郭だったと思われる廃屋がいくつも見つかりましたが、今回の取材で訪れると、そんな建物はほとんど残っておらず、代わりに『カキノキテラス』や『モデスト』といった、カフェやショップができていました。2店とも古い建物を生かした店なので、周辺の歴史と今の八王子を同時に感じられる場所です。
田町から南に戻り、おしゃれな店が増えつつある「みずき通り」を抜けて、ユーロードへ。JR八王子駅方面に歩くと、右手に黒塀が続く細い路地が見えます。このあたりが中町で、八王子花街。かつて織物産業の発展に合わせて多摩地区最大の花街として、中町・南町にかけて花街が広がっていたそうですが、織物と共に花柳界も衰退。今ではこのあたりがその面影を残すのみ。でも、夕方になれば、今でも芸者さんが黒塀沿いを歩く風情ある光景を目にすることができます。詳しくは本誌50ページをご覧ください。
さて誌面では、ほかにも高尾山・八王子の情報がたっぷり。このエリアならではのグルメや酒場情報のほかに、「山麓にこだわりのお店、増えてます」「八王子ラーメン、深化中!」「能町みね子、昭和の団地を内見する」「起きたら終点・高尾の悲劇を乗り切る10の知恵」「パンカツって何だ!?」などなど、企画ページも盛りだくさんです。
さらに、ベストセラー『山怪』の高尾山編も、著者の田中さんから特別寄稿してもらっていますので、お見逃しなく!
そして、そんな情報が満載の本誌を、どうぞ一度、手に取ってみてください。
土屋広道(つちやひろみち)
1972年生まれ。関西学院大学社会学部卒業後の1996年に株式会社弘済出版社に入社(合併を経て2001年に株式会社交通新聞社)。『鉄道ダイヤ情報』『旅の手帖』編集部を経て、2008年より『散歩の達人』編集部所属。2017年11月号より同誌編集長。
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