10人に1人が土下座経験者!?『どげせん』板垣恵介・RINの「土下座性の違い」から生まれた2つの漫画
公開日:2019/2/9
『和樂』編集長コラム「日本のことはぜーんぶ漫画が教えてくれた!」第9回
紙の編集を卒業しました!
ダヴィンチニュースをご覧のみなさん、こんにちは。『和樂』編集長のセバスチャン高木です。編集長と言っていますが、私、今発売中の『和樂』2月号をもって雑誌を離れ、ウェブと新規ビジネスの担当になってしまいました。でも、編集長って言っていいんだよ!という言い訳を、最近始めたnoteに書きましたので、ちょっと気になる方やうそを言っているのでJAROに電話しようとしている方はぜひそちらをご覧ください。
土下座経験者は約10人に1人
さて、突然ですがみなさん土下座ってしたことがありますか? え? 土下座ってあの土下座? そう、一時、客に強要するニュースが相次ぎ話題になったあの土下座です。2014年のしらべぇ調べによると、土下座を経験したことがある20代~60代は11.1%。だいたい10人に1人が土下座経験者なんですね。え、私? はい、ありますよ。約50年の人生において2回ほど。強要されたわけではなく、もう自発的に。お願い許して!って感じのです。
あれは、忘れもしない25歳の時のことです。2年ほどのバックパックみたいな旅から帰って、当然のごとく就職ができなかった私は、なんとかテレビの制作会社にもぐりこみADをしていました。田舎者で右も左もわからなかった私は、先輩ディレクターに言われるままに超大物スタイリストにスタイリングの依頼をし、デビューしたばかりのアイドルのために洋服を集めてもらったのです。そしたらですよ、そのディレクターが「これ使えないから返してきて!」などと言うのです。もう必死に頼み込んでなんとか集めてもらった洋服を返してきてですよ。そんなこと新米ADにできるわけないじゃないですか。で、どうしたか?はい、もうスタイリストの事務所の扉の前で開く前から土下座ですよ。それしかないでしょう。
そしたらですよ、どうなったかというと、「次はないからね」と言いながら許してくれたんです。すごいですね、土下座って。あれから20数年経っていますが、当時の気持ちを思いだしてしてみたのがこちらの写真です。
なんと! 土下座が漫画に!
話しは変わりますが、日本ってほんと漫画大国ですよね。だってなんでも漫画にしちゃうんですよ。今回紹介するのは土下座をテーマにした漫画『どげせん』。作者はRIN、監修は『グラップラー刃牙』でおなじみの板垣恵介となっています。なのですが、こちらの『どげせん』、書店で買えないし、電子版にもなってないんです。なんで? と思って調べてみると、なんと作者と監修のふたりが土下座観の違いから袂を分けてしまい、それぞれが土下座をテーマにした漫画を書き始めてしまったんです。土下座観の違いから袂を分かつって土下座って怖いですね、やっぱり。
Wikipediaには引用ルールがある!
で、この袂を分かった漫画がどんな話だったかと言うとはじまりからこんな感じ。あ、ごめんなさい。ちょっと面倒がくさくなってしまい、Wikipediaから引用しました。ちなみにウィキペディアにも著作権があるけど、多くの場合、著者が複数であること、常に更新されていることなど(正式な理由はウィキペディアのきちんとした引用ルールを見てくださいね)の理由から通常の引用ルールみたいなものが適用されません。よい子の皆さんは私みたいにウィキペディアからの引用である旨と引用先のURLを明記してくださいね。
土下座。それは、命への執着の究極形態、 命恋(いのちごい)である。
ヤクザに追われる女がいた。訳ありの女を助けたのは、1人の中年男。女を助けるために男のとった行動、それは土下座だった。交差点のど真ん中で、何台もの車が行き交う中、土下座をしたまま男はヤクザに言う。
「この…通りでございます」「どうか…お赦しを」
ヤクザは踵を返し、男の前から立ち去った。平凡な中年男が、土下座によって本職のヤクザを追い込み、女を救ったのだ。
男の名は、樫宮高校教師・瀬戸発。食堂の頑固親父も一言居士の評論家も、彼の土下座の前に折れざるを得ない。今、瀬戸を中心にして、日本中に土下座旋風が吹き荒れようとしていた。
(以上Wikipediaから引用した「どげせん」あらすじ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A9%E3%81%92%E3%81%9B%E3%82%93
土下座は謝罪か? それとも祈りか?
いやぁ、もう何を言っているかまったくわかりませんね。ここから袂を分かつって。で、このふたりがそれぞれ描いた土下座漫画はというと、Rinは「どげせんR」として、あくまで土下座にこだわり、土下座が持つ力を徹底的に描いていきました。一方の板垣恵介は「謝男」、これでシャーマンと読むのですが、読み方通り土下座を祈りの形態と解釈し、土下座の新しい世界を描こうとしました。どちらの土下座観が正しいかは置いといて、とりあえず和樂オリジナルのちょい畳で和のある暮らし楽しみませんか?(最後は宣伝)
セバスチャン高木
1970年生まれ。大学卒業後2年間、ヨーロッパ、北アフリカを中心にバックパック旅行を経験。テレビの制作会社を経て小学館入社。『Domani』7年、『和樂』15年の編集を手がける。好きなもの:仏像巡り、土門 拳、喫茶店、マンガ
日本のことはぜーんぶマンガが教えてくれた!
・第8回『共犯者 編集者のたくらみ』芝田暁
・第7回『あさきゆめみし』大和和紀
・第6回『モディリアーニにお願い』相澤いくえ
・第5回『とんかつDJアゲ太郎』小山ゆうじろう、原案:イーピャオ
・第4回『鼻紙写楽』一ノ関圭
・第3回『妖怪ハンター』諸星大二郎
・第2回『青春うるはし! うるし部』堀道広
・第1回『阿・吽』おかざき真里