カフェや横丁だけじゃない!「荻窪・西荻窪」の魅力はどこにある?『散歩の達人』編集長コラム

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2019/10/23

『散歩の達人』11月号(交通新聞社)

 こんにちは。月刊『散歩の達人』編集長の土屋です。

 11月号の大特集は「荻窪・西荻窪」。かつて別荘地として知られた荻窪、のどかな農村だった西荻窪は、関東大震災後の都心部からの移住者増加により急速に発展しました。文化人も多く暮らす街で育まれた、都会らしいにぎわいと、郊外らしいゆとり。そんなあいまいさ、〝スキマ〞の多さは、他の街にはない独特の色合いを醸し出し、この街を訪れる人を魅了しています。また、充実した商店街や、にぎやかな横丁のある、昭和を感じる懐かしい街並みに、ユニークな名店が次々に生まれ、さまざまな「個」が共存する、いつ行っても刺激を受ける街でもあります。

 今回はこの11月号の表紙に、なんと小林薫さんに登場していただいています! 小林薫さんといえば今やドラマ『深夜食堂』のマスター。じつはマンガ『深夜食堂』作者・安部夜郎さんが荻窪在住ということで、今回の登場につながったのです(安部さんおすすめの荻窪のお店も紹介しています)。

 そして西荻窪在住の作家さんといえば、角田光代さん。今回は荻窪・西荻窪の書店巡りのご案内をしてくださいました。さらには『西荻夫婦』作者のやまだないとさんにも久しぶりの西荻スケッチをお願いしています。

 と、著名人満載の今月号ですが、このコラムではこのエリアらしい特徴を2つご紹介。荻窪・西荻窪といえば、素敵なカフェやおやつの店、書店、町中華が多いことなど、いろいろな魅力がありますが、まずは酒場を紹介したいと思います。

 このエリア、歩いていて一番気になるところはやはり横丁ですよね。表紙の小林薫さんにも荻窪駅北口の横丁を歩いてもらいましたが、西荻窪南口にも横丁が広がり、夕方以降に行けばつい立ち寄りたくなる店ぞろいです。誌面ではそんなお店を荻窪でも西荻窪でもしっかり紹介し、さらにイラストマップまで作ってみました。ぜひ横丁散歩に役立てていただければと思います。

 しかし、横丁以外にもいい酒場はたくさん。今回の酒場ページは、「横丁で飲むか、隠れ家酒場で飲むか」と題して、横丁以外にもいい店があることを紹介していますが、この隠れ家酒場に選ぶ店がとっても迷いました。荻窪では北口もいい店が多いですが、南口に気になる店が点在しています。その中の1軒『モッキンバード』は炭火の焼き鳥が絶品のお店。元バンドマンの店主らしくピックの看板が目印で、店内では店名になったギター、モッキンバードも飾られています。ここは焼き鳥もおいしいのですが、店主が新潟出身とのことでコシヒカリのお米がおいしい。この米でつくってもらう焼きおにぎりが香ばしくて、米の旨味も強く、シメにするお客さんも多かったです(私ももちろん食べました)。

 そして西荻窪では南口では日本酒ページで紹介した『スナック慕情』や独特のつまみがたまらない『スパイス飯店』などたくさんありますが、特に北口の『テンセイ』が素晴らしかったです。まずロケーション。じつは西荻窪駅ガード下にある「西友」からも行けるのですが、駅北口を出て西方面に歩き、左手に鳥居がある路地を行くと突き当たりにあるお店。ここはレバーと塩もつ煮が絶品で、それをつまみに自家製レモンサワーが最高。店内はそれほど広くないものの、不思議な居心地よさがあり、さらにそれほど寒くない時期なら外飲みできるスペースもあり、ここの雰囲気が抜群。外席の上のモミジの木が紅葉する頃にまた行きたいと思いました。

『モッキンバード』は炭火焼の焼き鳥が名物。焼きおにぎりもぜひ。(撮影=井原淳一)
『テンセイ』は店内も雰囲気抜群ですが、小ぢんまりした外席がいい。モミジの下で飲みたくなります。

 さて、このエリアのもう一つの特徴としては「古い名建築が残されていること」。近衛文麿が晩年を過ごしたことで知られる「荻外荘」をはじめとして荻窪はお屋敷が多く、西荻窪は『松庵文庫』など、リノベーションされた古民家が目立つエリアです。中でも気になる建物は『西郊ロッヂング』ではないでしょうか? 荻窪駅から5、6分歩けば行けるこの建物は旅館という看板もあるし、泊まってみたい、と思う人も多いはず。この建物、じつは「西郊ロッヂング」と書かれたドーム屋根の建物が新館(賃貸アパートメント)で、旅館のほうが本館なのです。ということで旅館のほうを少しだけご案内。この建物では元々下宿を営んでいたそうで、外からでは気づかないのですが、池や灯籠もある中庭がある造りで、どの部屋からも中庭が見られるようになっています。波打つ窓ガラスや丸窓、階段の上にあった木掘りの「非常口」の看板など、随所に歴史を感じられます。戦後、下宿業から時代のニーズに合わせて宴会や宿泊ができる「割烹旅館」に変わったのを機に、元々洋館だった館内を和風に改装。それがまた独特の建物の魅力を感じさせます。このように時代に合わせて古い建物を上手く活用している例が、名建築が残るこの界隈ではとくに目を引きます。建物取材に行った時に聞いた「たてもの愛」という言葉がこの街と古い建築の関係を物語っている気がします。

堂々たる「西郊ロッヂング」の新館。この丸みを帯びた角部屋、住んでみたい!
『旅館西郊』の2階廊下から中庭を見下ろす。右端には大きな灯籠も見える。

 さて、大特集では、ほかにも荻窪・西荻窪にまつわる企画がずらり。この街で一番気になるグルメやカフェ情報はもちろん、「荻窪の町中華はやっぱりスゴイ!」「西荻は今日もおやつ日和」「紙モノ好きが集う街」「着物で西荻コーデ」「秋の善福寺川ぐねぐねさんぽ」などなど、盛りだくさんです。

 そして第2特集「東京0円満喫術」では、10月からの消費税改定後だからこそ、消費税なんか関係ない無料スポットを巡る散歩コースを「東京から新橋」「新宿から初台」と2コース提案。ジャンル別0円スポット一覧もあり、こちらも見逃せません。

 紅葉も気になる、歩きやすいこれからの季節。この機会に、ぜひ「荻窪・西荻窪」へお出かけしてみませんか? そしてそんな情報が満載の本誌を、どうぞ一度、手に取ってみてください。

土屋広道(つちやひろみち)
1972年生まれ。関西学院大学社会学部卒業後の1996年に株式会社弘済出版社に入社(合併を経て2001年に株式会社交通新聞社)。『鉄道ダイヤ情報』『旅の手帖』編集部を経て、2008年より『散歩の達人』編集部所属。2017年11月号より同誌編集長。

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