この春は“らくらく山さんぽ”をどうぞ!『散歩の達人』編集長コラム

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公開日:2021/2/20

散歩の達人
『散歩の達人』3月号(交通新聞社)

 こんにちは。散歩の達人編集長の土屋です。

 ようやく春らしい日が増えてきましたね。じつは通巻300号になる今月号の大特集は「東京周辺 春の山さんぽ案内」。東京近郊から4つの主要な山エリアと房総のいい山をご案内しています。

 人間界はいつもとは違う春を迎えていますが、ふと周りを見渡せば、自然界には例年と同じように春が訪れています。街路樹には芽吹きが見られ、足元には草花もほころんできました。でも、もっと春を感じたいなら、今年こそ「山さんぽ」です。コロナ禍でどうしてもストレスがたまる日常を離れることができ、密も避けられ、ちょっと準備をしておけば、一人でだって楽しめます。なによりきれいな空気の中、人工物の見えない道を歩くだけで、翌日からの日々が少しだけラクになるはず。新緑の美しい春こそが山さんぽの一番楽しい時季なので、ぜひ出かけてほしい“散歩フィールド”なのです。

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 でも、山ですから、もちろん普段の街なかとは勝手が違います。足元も普通のスニーカーでなくトレッキングシューズを用意していただきたいし、レインウェアなどある程度の装備も必要です。でも最低限の装備さえあれば、今回本誌で紹介している山であれば、軽やかな気分で歩けるはず。自然の中を歩く楽しさを存分に感じてほしいと思います。

 今回のコラムでは、誌面で紹介しているよりもっと楽ちんに楽しめる山をご紹介。それは「嵐山」。といっても京都の嵐山ではありません。中央線の相模湖駅から行ける相模嵐山です。相模湖駅といえば、一番利用者が多いのが石老山へのハイカー。この石老山は特徴的な山で、登山道途中にある顕鏡寺の周辺に巨岩・奇岩が多く、山頂の展望もよいので人気なのです(下山後には渡し船も使えるおまけもあり)。

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相模湖駅前の観光案内所は残念ながら休業中でしたが、こんな張り紙が。

 私も本当は石老山に行きたかったのですが、残念ながら2019年の台風の影響で登山道が閉鎖されていて登れず……。嵐山は4歳の娘とも登ったことのある山でしたが、今回久々に登ってみることにしました。

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駅からも嵐山のおむすび形の山容が見られる。国道20号を山の方に行きすぎず、相模湖側に下りて相模湖大橋を目指そう。

 ただ、この嵐山も2019年の台風で山頂からプレジャーフォレスト側の登山道が崩壊していて、山頂から南の登山道は危険だとのこと(実際、その先に行って、ちょっと見てみましたが、倒木があったり、崖崩れがあったりして、とても読者のみなさんにはおすすめできないコースになっていました)。

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相模湖駅に置いてある嵐山登山の地図。こちらも参考になる。
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嵐山登山口はこの標識を目印に。道の反対側には東屋もある。

 ということで、駅から嵐山山頂までの往復を楽しみました。相模湖駅から東を見るとおむすび形の山が見えますが、それが嵐山。駅から相模湖畔を通って、相模湖大橋へ。突き当たりを左に行くと登山口が現れます。ここまで徒歩30分程度。ここから登山になりますが、いきなりの急坂です。久しぶりの山歩きだったので、ちょっと息が切れましたが、15分くらい登れば、落葉樹林が現れ、平坦な道になります。

 ここからは山さんぽ気分。だんだん見通しがよくなる尾根道を10分ほど歩けば山頂に到着。この山頂からの景色が嵐山の醍醐味です。何しろ目の前に相模湖を一望。なかなか見事な絶景です。その場所には椅子とテーブルもあり、お弁当を食べるのにもぴったり。ゆっくり展望を楽しんで下山しましょう。最後に急坂があるので、そこではできるだけ歩幅を小さくして、一歩一歩を確実に。枯れ葉などで滑らないように注意してください。

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嵐山山頂から見えるのがこの景色。わずか406mの標高とは思えないほどの高度感と風景。

 この嵐山の魅力はそれだけではありません。誌面にも紹介していますが、相模湖駅前には『かどや食堂』という山麓酒場があるのです。嵐山はまさにこの店に行くためにあるような山。山麓酒場とはざっといえば、登山後のためにあるようなお酒を扱っている食堂のことですが、そんな山とお店のいい関係性が意外にいろんなところにあるのです。この店も石老山をはじめとする山帰りのお客さんが多い店。中休みがない通し営業なので、早めに山を下りても利用できる、山帰りにうってつけの店なのです。

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相模湖駅前のゲートと『かどや食堂』。2008年にお店をリニューアル。

 そして料理がどれもおいしい。ラーメンからざるそば、刺し身、ワカサギフライやキーマカレーまでメニューはたくさん。そしてそれぞれがボリューミー。今回はサバの味噌煮と生ビール大を頼んでみましたが、サバは一切れがとても大きく、コクのある味噌だれとともにごはんも進みそうな一品(日本酒も何種類か選べます)。ぜひこのあたりの山に行く機会があれば、寄ってみてほしい名店です。

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今回はサバの味噌煮単品と生ビールを注文。お酒を頼むと小鉢もついてくる。

 と、こんなふうに、往復1~2時間ほど山歩きして、最後に山麓酒場で楽しむ、という“らくらく山さんぽ”こそ、コロナ禍のストレスを癒やしてくれる、春の散歩になるはずです。緊急事態宣言が明けたらぜひどうぞ。

 さて、本誌の大特集「春の山さんぽ案内」にはほかにも様々な企画がずらり。おなじみの高尾山を山岳信仰テーマで歩いた「霊気みなぎる高尾山をゆく」や、丹沢の鍋焼きうどんで有名な「鍋割山荘小屋主に聞く、山との付き合い方」のほか、中央線、奥多摩、丹沢・箱根の山帰りの乗り換え駅でいい店・スポットを探した「山アフターのお楽しみ」、さらに山で作れる簡単ごはんのレシピや、山でおいしいコーヒーを淹れる方法などなど、盛りだくさんにお届けします。

 また、第2特集は「大人のさんぽグッズ大全」。「本気で選んだ実力派さんぽグッズ」では、散歩に持っていく「水筒」「折りたたみ傘」「さんぽバッグ」の3アイテムで、厳選した商品を紹介。「さんぽグッズ七番勝負」では弊誌のベテランライターがマニアックなアイテムを7テーマでセレクト。最後には編集部員のカバンの中も見せちゃいます。

 せっかくの春ですが、お出かけはもう少しだけ自粛せざるを得ない状況です。でも、心身の健康のためにも散歩は生活ツールとして必要不可欠。今月も密を避けつつ、本誌を参考にして、できる範囲で散歩を楽しんでください。

土屋広道(つちやひろみち)
1972年埼玉県生まれ。関西学院大学社会学部卒業後の1996年に株式会社弘済出版社に入社(合併を経て2001年に株式会社交通新聞社)。『鉄道ダイヤ情報』『旅の手帖』編集部を経て、2008年より『散歩の達人』編集部所属。2017年11月号より同誌編集長。

『散歩の達人』最新号は2月20日(土)発売!

この記事で紹介した書籍ほか