穴場感もある、鎌倉の小さな旅へどうぞ! 『散歩の達人』編集長が教える人気エリアを楽しむコツ

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公開日:2022/5/21

散歩の達人
散歩の達人』6月号(交通新聞社)

 こんにちは。散歩の達人編集長の土屋です。ゴールデンウィークが終わったと思ったら、梅雨前なのに雨続き。たまに晴天の日があるとどこかに出かけたくなります。それなら鎌倉方面はいかがでしょう? 今月号は3年ぶりの「鎌倉・江ノ電」特集。今回は逗子・葉山エリアも含めた大特集になります。

 緑濃く、風薫る初夏は鎌倉エリアのベストシーズン。この街の人やお店、そして路地でさえ、どこかロマンチックな空気をまとうのは、時が育んだ文化の奥深さや、すこし視線を外せばめいっぱい飛び込んでくる大自然のおかげかもしれません。ダイナミズムを秘めた古都鎌倉、街なかも海沿いもコトコト走る江ノ電に、独特のおおらかさが息づく逗子・葉山。とっておきの裏道に、今おすすめのハイキングコース、もちろんおやつに雑貨、気になるグルメもご案内。人混みはちょいと避けつつ、自然と文化の調和を全身で感じられる、とっておきの鎌倉エリアを盛りだくさんに紹介しています。

 さて、今回このコラムでは、混雑をちょっと避けて、穴場感のある鎌倉・江ノ電さんぽをご案内。人気のエリアだからこそ、ひとひねりがコツです。

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メトロえのしま号としても運行される、小田急ロマンスカーMSE。(写真=交通新聞社)

 まず都内から出発する際に、JRで鎌倉駅へ直行するのではなく、都心から片瀬江ノ島駅までロマンスカーを使ってはいかがでしょうか? ロマンスカーと言えば小田急線なので新宿発ですが、千代田線経由で小田急線を走る「メトロえのしま」(午前中の下りは土休日運行)もあり、北千住から乗車可能。例えば表参道からなら運賃+840円で乗車でき、意外に空いているのでゆったり旅気分を味わえます。さらに子どもは今年の3月から乗車料金がどこまで行っても50円。特急料金は大人の半額なので、子ども連れもかなりお得にお出かけできます。

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外観もより竜宮城っぽくリニューアルした小田急江ノ島駅。

 片瀬江ノ島駅に到着すると、ここでも見どころが。この駅は2020年7月末にリニューアルされ、竜宮城っぽさがパワーアップ。今まで通りのアーチ状の通路の上に、入母屋造りの屋根が載せられ、外観はより豪華になっています。さらに駅構内コンコースには『新江ノ島水族館』とのコラボによる大型のクラゲ水槽を設置。入り口からこの演出なので、鎌倉・江ノ電旅気分が盛り上がること請け合いです。

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駅構内から水族館気分になれる大型水槽。美しいクラゲは見飽きない。

 片瀬江ノ島駅からは江ノ電江ノ島駅まで徒歩で5分ほど。ただこの駅間も江ノ島の参道を歩くので、楽しい散歩になるはず。鎌倉に入る前から寄りたい店ばかりです。

 そして江ノ島駅で見逃せないのが、駅前の車止めの小鳥。この車止めを専門用語で「ピコリーノ」といい、地元の人が服を手編みし、毎月着替えさせているとか。毎回行くたびに気になる小鳥たちです。

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江ノ島駅前のピコリーノ。2022年5月中旬に撮影。

 ここで江ノ電に乗るのが常套手段ですが、あえて湘南モノレールに乗ってみましょう。湘南モノレールに乗って4つ目の湘南深沢駅で降りて梶原エリアを歩きます。この梶原エリアが、いま鎌倉で一番注目のエリア。誌面でも紹介した『べーぐるもへある』をはじめ、ケーキショップ『ポンポンケークス ブールバード』、本各麻婆豆腐の店『かかん梶原店』など人気店が点在しています。『かかん』は今や鎌倉では有名ですが、もともとは梶原で開業。梶原が発祥の地だったのです。この店は食堂っぽい雰囲気もいいので、ゆっくり食事を楽しめるはずです。

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あえての江ノ島駅からの湘南モノレール。揺れ方が普通の電車と違って面白い。行先表示もレトロ(湘南深沢駅)。

 そんな梶原は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも気になる梶原景時ゆかりの地でもあります。駅近くにある御霊神社は景時が創建したとも伝わる神社、せっかくなのでぜひお参を。その後は誌面にも載せている峯山ハイキングを楽しむのもいいですが、長谷方面に20分ほど歩けば、大仏トンネルを抜けて大仏様の高徳院。その先はもう賑やかな長谷の街です。ちょっと休憩するカフェや甘味処には困りません。昭和みやげページでも掲載した、大仏前の『山海堂』などで、レトロなおみやげを買って帰るのもいいですね。

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梶原にある御霊神社。NHK大河ドラマでも注目の梶原景時が創建したという説もある。

 という感じで、鎌倉の少し穴場感のあるコースを紹介しましたが、今号の大特集には、様々な企画がずらり。目玉企画は「養老先生、散歩を語る。」。鎌倉在住の“知の論者”養老孟司先生に特別インタビューができました。しかも先生と一緒に源氏山を散歩しながらのインタビューということで、取材陣も大感動。今を生きる人みなさんに読んでほしい貴重なインタビューと、普段の先生のお姿は誌面でお楽しみください。

 特集ではほかにも沿線グルメやカフェ情報、酒場案内はもちろん、「菓子研究家いがらしろみさんと巡る、鎌倉とっておきおやつ」「緑と展望を楽しむ 歴史ハイキング」「香りと苔のお寺案内」「“花も団子も”な鎌倉アジサイマップ」「昭和史発掘! 懐かしグルメ考」「『港の人』が見つめる鎌倉」などなど盛りだくさんにご紹介。

 梅雨前の爽やかな時期、晴れた休日は鎌倉エリアへ。ぜひ本誌を参考に楽しんでいただけるとうれしいです。

土屋広道(つちやひろみち)
1972年埼玉県生まれ。関西学院大学社会学部卒業後の1996年に株式会社弘済出版社に入社(合併を経て2001年に株式会社交通新聞社)。『鉄道ダイヤ情報』『旅の手帖』編集部を経て、2008年より『散歩の達人』編集部所属。2017年11月号より同誌編集長。

『散歩の達人』最新号は 5月20日(金)発売!