Cover Model 玉山鉄二 2011年7月号
更新日:2013/10/11
Cover Model 玉山鉄二
おとうさんとハッピーの旅は、せつなくはあるけど、
きっと優しい旅だったんじゃないかって
玉山鉄二さんは、6月11日(土)公開の映画『星守る犬』で、
おとうさん(西田敏行)と愛犬ハッピーの旅を辿る公務員・奥津を演じている。
「奥津を演じるにあたっては、余計なことは一切やめようと。
人として普通の役って、演じてて物足りない感が出てくるけど、
そこは押さえながらやろうと決めてました。原作を読んで一番胸にきたのは、
犬を亡くした奥津の“もっと遊んでやればよかった。
もっとたっぷり散歩をさせてやればよかった…… ”というあのセリフ。
僕も実家でずっとスコッチテリアを飼っていたので。
飼い主がどんなにほかの人間から疎まれようと、犬だけは絶対に否定しない。
犬って無償の愛を持ってますよね」
愛犬の名前を訊ねると、少し口ごもって「リボンちゃん」と教えてくれた。
リボンちゃんは玉山さんの初恋にも一役買ったそうだ。
映画では、お父さんとハッピーは北に向かう。
「いわき市や東松島でもロケをしました。
この映画は東北の風光明媚な風景に助けられたところがすごくあって。
だからこの映画が、被災された方たちがもう一度、
欠けたパズルをつくるための力になれたらという思いが強くあります」
そんな玉山鉄二さんが選んだ本は——
『手紙』
東野圭吾
文春文庫 660円
弟の直貴の学費を工面しようと空き巣に入った兄の剛志は家人と鉢合わせして殺人を犯してしまう。加害者の家族が背負うさまざまな苦難と人生の軌跡を丹念に描いた感動作。トリックや謎解きの要素が一切ないにもかかわらず、6月号の本誌の東野圭吾特集の読者アンケートでも「好きな作品ランキング」の4位に。この小説は2006年に映画化され、玉山さんは強盗殺人を犯した兄・剛志を演じた。
「20代のうちに役の振り幅を広げたいと思っていました。『手紙』は、いい意味で現状に満足しきれてない時期に出会った作品なんです。『白い巨塔』とか『砂の器』とか昔の名作もそうですが、人としてやってはいけないことをやっているのだけれど、自分が演じることで、心情的にどうしても憎めないキャラクターに持っていかなきゃいけない。そういう役に出会えたことが嬉しくて、特別な思いがありました」(玉山鉄二 談)