Cover Model 水曜どうでしょう 2013年11月号
更新日:2013/10/4
Cover Model水曜どうでしょう
3年ぶりとなる『水曜どうでしょう』の新作が放送。
10月2日から、北海道を皮切りに、全国で順次放送される。
そして、9月6日~8日の3日間、真駒内セキスイハイムアイスアリーナ&スタジアムを
借り切って、8年ぶり2回目となる「水曜どうでしょう祭」が開催された。
今月号は、これを記念した豪華保存版大特集!
鈴井さん、大泉さん、藤村さん、嬉野さんそれぞれにインタビューも敢行。
4人それぞれの『水曜どうでしょう』に対する思い、3年ぶりの新作についての話、
そして、お気に入りの本について語っている。
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本気で身の危険を感じた「家族旅行」でした(鈴井貴之)
「いちいち確認しなくても、家族は一生、家族ですよね。
そういう気持ちが生まれたというか、だんだん育ってきたんだと思います。
特に前回の旅(『原付日本列島制覇』)に出た時、強くそのことを感じました。
ここが僕の、安心して帰ってこられる場所なんだなぁと。
ほら、ちっちゃい時はいっつも家族一緒じゃないですか。
そういう時期が、レギュラー放送をしていた頃で。
そこからみんな巣立っていって、末っ子の大泉洋も元気でバリバリ働いている。
じゃあそろそろ、久しぶりに集まって家族旅行にでも行くか
という感じでしたよ、今回の旅なんかは。
家族旅行の行き先が〝あそこ〞というのは、どうでしょうらしいですけどね(笑)」
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今回ばかりは本当に身の危険を感じた(大泉 洋)
大泉洋が旅に出た。そんなニュースが飛び込んできたのはちょうど
『大泉エッセイ』の出版直前のこと。
旅とはもちろん、『水曜どうでしょう』の新作ロケのことだ。
「ロケ出発の日に本が刷り上がってきて、編集者が届けてくれたんですよ。
だから旅の間中、しつこいくらいに、本の宣伝をしてる。
新作ではたくさん『大泉エッセイ』が出てきますからね、それ見どころです(笑)」
毎回、過酷なロケに駆り出されるが、
「今回ばかりは本当に身の危険を感じた」とのこと。
「まあよく、冗談で『この番組は必要悪だ』って言ってますけどね。
でも、机上で作られる、台本ありきのバラエティ番組が多い中、
『どうでしょう』にはまったくそれがない。
4人の個性が絡み合った瞬間に面白さが生まれる番組ですから、
やっぱりそれは僕らにしか創れないという、自負がありますよね」
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17年間の歴史で獲得した「無の構え」(藤村忠寿)
「とにかく俺は、見ている人を安心させたい。
そのためには、作り手の側は気張らなくっていいんです。
『面白いものを作ろう』『面白くしよう!』とか、別に思わなくっていい。
で、特に前回(『原付日本列島制覇』)からは、
こっちも完全に何も考えなくなってます(笑)。
カブという乗り物2台を用意して、ここからここまで行きます、
ということしか決めなかったし、ほかは準備も下調べもしなかった。
4人それぞれの立ち位置がもう分かってるんだから、
状況さえ与えればそれでもう十分だろうと思ったんですよね。
それが昔から、一番の理想だったんですよ」
今回の最新作ももちろん、同じスタンスだった。
「前々日に『地球の歩き方』を買ったぐらいで、
現地でのコーディネートなんかも全部、他人に丸投げしました。
無の構えですね!
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『どうでしょう』の価値に気づいているのは俺だろう!(嬉野雅道)
「カメラを回している俺の立ち位置からは、いろんなものが見えるんです。
言ってしまえば、あの3人が当事者であって、
俺は当事者ではなく傍観者であるような気がするから。
いや、もちろん当事者なんですよ。
だけど、意識としてはそうであるような気がする。
つまり番組に半分、テレビの前に半分という感じがするんです。
その立ち位置にいるからこそ、
俺は『どうでしょう』というものを誰よりも大事に思ってますよ。
あの3人は『どうでしょう』の価値ってことに関しては、
本気で分かってないんじゃないですか?
あんな居心地の良い場所は他には無いですよ。
だから俺はあの3人を叱り飛ばしてでもあの場所を守りますよ」
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そんな水曜どうでしょう班の皆さんが選んだ本は――
■鈴井貴之さんが選んだ本
『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』
守村 大 講談社 1586円
『あいしてる』『考える犬』をヒット作に持つマンガ家が、都市生活を捨てて福島の山里へ(新白河駅より車で約10分)。東京ドーム1個分の雑木林を切り開き、自給自足生活を目指して奮闘する日々を、イラストとエッセイで綴る。震災にもへこたれず、さらに進化する原人ライフを綴った第2巻『新白河原人 半分ちょいの電気で贅沢DIY生活』も刊行。
「山暮らしをするために、自分はどのような作業をしてきたかという客観的な記述が中心なんですが、その時の心情もはしばしに垣間見えて、共感するところがたくさんあるんですよ」(鈴井貴之 談)
■大泉 洋さんが選んだ本
『三谷幸喜のありふれた生活11 新たなる希望』
三谷幸喜 朝日新聞出版 1155円
2000年より朝日新聞に連載している三谷幸喜のエッセイ集の第11弾。愛犬との生活や離婚とその後の人生初となる一人暮らしなど、自身の日常を包み隠さず綴っている。親交のある俳優のエピソードも多く、大泉いわく、「三谷さんのエッセイに登場することは、『徹
子の部屋』に出るぐらいタレントにとっては大きなステータス!」
「この本を読んでいると、登場する役者さんたちのことを、いかに三谷さんが信頼し、尊敬しているかが伝わってくるんですよ。でも、ほかの役者さんが〝さん〞付けなのに対し、なぜか僕だけ〝大泉〞と呼び捨てで書かれている(笑)」(大泉洋 談)
■藤村忠寿さんが選んだ本
『きみの友だち』
重松 清 新潮文庫 662円
足の不自由な恵美ちゃんと病気がちな由香ちゃんは、クラスの誰とも付き合わなくなった。学校の人気者ブンちゃんは、できる転校生モトくんが気に入らない。子どもっぽい三好くんは、小学校の頃の友達が大人に成長していくのについていけず……。さまざまな子どもたちのリアルを積み重ね、「友だち」の意味を問う、連作群像小説。
「重松さんの本はほぼ読んでるんです。全部好きなんだけど、これは別格かなぁ。いじめっ子の、横にくっついてる子にスポットを当てるなんて、今までなかったじゃないですか」(藤村忠寿 談)
■嬉野雅道さんが選んだ本
『ドイツ参謀本部 ─その栄光と終焉』
渡部昇一 祥伝社新書 840円
宗教的情熱から始まり、宗教への幻滅を残した17世紀初頭のドイツ三十年戦争。やがて「戦闘なき戦争」の時代が訪れ、軍の戦闘能力は弱体化。19世紀に入りナポレオンに付け込まれるが、窮地を救ったのは「参謀本部」の存在だった。だが──なぜヒトラー台頭を許したのか? 近代戦争史に燦然と輝く組織の栄枯盛衰を、硬派な筆致で綴る。
「スター・ナポレオンと無名性の中から生まれたドイツ参謀本部の戦いは、ちばあきおさんの『キャプテン』という漫画を彷彿させる面白さですよ」(嬉野雅道 談)