【ダ・ヴィンチ2016年12月号】「TEAM NACS 20周年記念特集」番外編

特集番外編1

更新日:2016/11/6

【ダ・ヴィンチ2016年12月号】「TEAM NACS 20周年記念特集」番外編

TEAM NACS 20周年記念特集番外編

編集M井 

※のっけから申し訳ありません。かなり長文になってしまったので、みなさま、体調の良いときに(苦笑)読んでください。(またもや、気合いを入れすぎて書いてしまいました……)

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 2007年1月6日『ダ・ヴィンチ』。表紙&特集に登場してくださったのは、結成10周年TEAM NACSの5人。
 そして約10年後となる今月号――再び、結成20周年を記念して、TEAM NACSが本誌表紙を飾ってくださっております。

 今号の特集では、これまでの本誌NACSに関する企画とリンク&振り返りしながら、誌面を作らせていただきました。

 さて、特集サブタイトルには、「いつだって、彼らはそばに居てくれる。」とつけさせていただきました。

 私は「サブタイトルをどう付けるか?」に、毎度毎度、悩むタイプの編集者であります……。
 ですので、これまでの『ダ・ヴィンチ』の特集を読み返すことから始めたのですが、とにもかくにも、まずは10周年記念特集号のサブタイトルを再確認。
 すると、そこに打たれていたタイトルは「僕たちは忘れない。」

 そこで、「よし、取材だ!」とばかりに、10周年特集を企画した、元ダ・ヴィンチ編集長(※ファンの皆さまならご存じかも?ですが、“感動屋”でおなじみの編集長です……笑)に時間をつくっていただき、久しぶりに会いに行ってきました。
 元来、NACSファンである2人です。お酒を交えてほろ酔いながら、各々がNACS愛を語り合うこと3時間(笑)。
 NACSはあたたかく、いつでもファンを享受してくれる、そんな存在でもあるんじゃないかな……、と元上司である編集長は、熱く熱く私に語ってくれました。

 また、今回、音尾さんと少しお話できる時間がありました。今号でも戸次さんが、音尾さんのことを“ミステリアス”とインタビュー内でも述べておられますが、確かに、熱く「おまえたち~! いくぞ~!」といったタイプの方ではないので(笑)、なんだかその表現も分からないこともないなあ、と思ってはいたのですが、学生時代の思い出を伺っていたとき、数々のエピソードやメンバーのことを本当に見るからに、楽しそうに語られていて、そして何よりNACSのことを、想い、考えてらっしゃる様子をお見受けして、久々に胸にじーん、と来てしまいまして……。
「くそう(←?)やっぱり大好きだ、NACS!」と、ひそかに心の中で叫んだりしておりました(笑)。
 (※ちなみに音尾さんは、柔らかな雰囲気を終始纏いつつ、そして言葉の使い方も穏やかという……素敵です)

 そんな貴重な時間や言葉をいただいたうえで、さらにこの数年、特に『大泉エッセイ』担当以降、お世話になりっぱなしな大泉さんのお話の数々、そして、これまでのNACSのインタビューを振り返ったときに、ふいに、「NACSは、いつもそばに居てくれていたんだよなあ」と、思ったのです。

 彼らのインタビューを読み返すとよく分かるのですが、NACSは各々が毎回と言っていいほど、「ファンの大切さ」について語ってくれています。
 そして、取材時には、いつもいつも、ファンへの言葉がお話に出てきます。

 これまで十数年雑誌編集としての仕事柄、たくさんの方への取材を重ねてきましたが、これほどまでにファンへの言葉を毎回毎回発する方々は、あまりおられないように記憶しています。
 しかも、それはインタビューのときだけではないのです……。取材以外の場でもおっしゃっておられますし、常に考えてらっしゃるのです。

 大泉さんは『大泉エッセイ』の書きおろしのときに「ファンの方々が何を書いたら喜んでくれるのか」を随分考えてから、執筆に入られておりました。また「買ってくださる方がお腹いっぱいになるものにしたい」と、いつも、おっしゃっていました。
 何かを創られるとき、「ファンがどうすれば喜んでくれるのか」を先ず、考える。話し出したらきりがないので割愛させていただきますが、それは他のメンバーも然りです。

 今年は、いろいろな話題もあって、〈続けることの難しさ〉を考える年でもあったように思います。

 そんな中で、外部の人間ながらも、こういった彼らの“ファンへの姿勢”を、肌で感じてきた約9年間を改めて振り返り、また、今号の表紙撮影時、各々が個人活動の上に大飛躍し、力を蓄えて集まったNACSメンバーの纏う空気感が、ほんの少し違っていたものになっている……、と5人のお姿から感じた私は、「ああ、これからもずっとNACSはファンのそばに居続けてくれるに違いない」、と。さらに、ファンの皆様からの頂戴したアンケートを読ませていただき、温かい言葉の数々に触れ、「ファンの方々も、これからも、ずっと彼らのそばにいてくれるのかもしれない」、と。
 そうした経緯を経て、ようやく、「いつだって、彼らはそばにいてくれる。」という、タイトルをつけさせただいた次第です。

 特集ですが、インタビューやアンケート企画、振り返り紙面のほかに、今回、10周年記念特集号と同じく、鈴井貴之さんに小説寄稿をお願いさせていただきました。
 鈴井さんに綴っていただいた物語は、まるで〈NACSとファンの関係〉を描いてくれているようでして……。長い人生において、彼らの活躍を観ることで頑張れることがある……そんなファンの姿と、変わらずファンのそばに居てくれる彼らとの関係性を映し出してくれているような素敵な小説で、作品を頂戴したとき、偶然だけれど、このサブタイトルは間違えてなかったのかもなあ、と(大変に恐縮ながら)思っておりました。

 さらに、連載時、大泉さんが主人公・速水に扮し表紙を飾っていただいていた、作家・塩田武士さんの小説『騙し絵の牙』のスピンオフ短編「白の時代」は、特集企画内のラストに構成を組ませていただきました。
 弊誌のこういった小説企画は、これまで、いわゆる“あてがき”的な物語を執筆していただいていたのですが、今回依頼させていただく際に塩田さんに「NACSはNACSで書いてください(ファンの方がきっと喜んでくださると思うので!)」という、とんでもない無茶ぶりをしてしまいまして……。
 元々、著者はNACSのファンでもあられますが、執筆前に過去のNACS本公演やバラエティ番組、ジャンボリーなどNACSに関するDVD(副音声も含め)、またインタビュー記事や関連本などなど、大量の資料を読み込んだ上、今作品に取り組んで下さっておりました。
 脱稿時、塩田さんがおっしゃっていたのは、NACSへの愛と希望をこめて、また「ファンの方が喜んでもらえる小説になれば」と……。そういった熱い気持ちで執筆くださったものでございます!
 小説『騙し絵の牙』の、〈(架空の)雑誌の企画や登場人物たち ※しかしながら大泉さんに似ている編集長が主人公〉たちが巻き起こす物語のなかに、NACSメンバーが登場するので、メタのメタ、でもありつつ、その上で、また社会派作家の〈情報の上に作家の解釈と虚構を作って物語としてエンタメにする〉、そんな面白さが詰まっている作品になっております。そして何より、著者自身が、20周年のお祝いとこれからのNACSへのエールと希望も込めて、執筆くださった小説です。
 塩田さんの最新刊『罪の声』が山田風太郎賞をノミネートという真っ只中、さらに次回作の取材で、本当にお忙しい時期にお願いさせていただいておりました。そんななかでも、丁寧に、誠心誠意、今企画に取り組んでくださっていました。改めて、感謝申し上げます。(そしてそして、受賞おめでとうございます!)
 ぜひ、こちらも楽しみにページを繰ってくださいませ。

 さて最後になりますが……。すみません、個人的な“NACS愛”を叫ばせてもらっていいでしょうか……。
 個人的なことで本当に恐縮ですが、2007年の『ダ・ヴィンチ』TEAM NACS10周年特集号は、私の編集者人生にとって、大きな転機になる雑誌でした。
 念願の雑誌編集職には就いたものの、別の編集部でのらりくらりと、でもそれなりに楽しく、仕事をしていた20代当時。
 『LOOSER~』でNACSを知り、終演時に見せる、そろった綺麗なお辞儀、そしてお客様の温かい鳴りやまない拍手にどえらい感動をした私は、「ああ、いつか私もNACSの誌面を作りたいなあ」などど、ふんわり思っていたのです。

 そんな時、ふいに訪れた書店で2007年の『ダ・ヴィンチ』特集号を発見したとき、私はその場で、立ち尽くしました。
 ――TEAM NACSが全国誌の表紙で、大きな特集も組まれている――。
 そこで、編集職に就いてから初めて仕事で「悔しい」という思いを知りました。こういった特集に携われない、いや、企画も思いつかなかった自分の「力のなさ」に愕然としました。
 ――自分は編集者として、このままで居ていいのだろうか? 

 その3か月後、私は転職をして、他社の出版社に入りました。編集者として飛躍したい、頑張りたい、と必死に足掻いていたように思います。
 さらにその数年後。様々な本を手掛けさせていただいた後、本当にありがたいことに、TEAM NACSさんの本をつくらせていただくことになるのですが、当時色々重なり、編集職が好きなうえ、さらにNACSの皆様を、知れば知るほど大好きになっていったにも関わらず、「この(NACSの)本を、後悔なく死ぬ気で作ったら、編集者をやめよう」と、決意していました。
 そんな時、スマホの着信音が鳴ったのです。
 それは『ダ・ヴィンチ』の10周年特集号を作った、先にも述べた編集長からの電話でした。
 そして、電話越しにこう言われました。
 「『ダ・ヴィンチ』に来ませんか?」

 また同時期、何も告げてなかったのですが、私の不穏(笑)な雰囲気を嗅ぎ取ったのか、いつもの優しさ(本当に周囲の皆に優しい先生なのです)だったのかは、今でも分からないのですが、大泉さんにふいに、提案された言葉がありました。
 「M井、昔書いていたエッセイがあるから、本にしようよ」
 
 そして当時、そのNACS本が発売された後、ファンの方々にたくさんの温かい反響や言葉をいただきました。
 編集職という仕事をしていて、涙がでるほど嬉しい気持ちを、初めていただきました。
 「もっと頑張りたいな」と、思いました。そうして、いま、この編集部にいます。

 ですので、『ダ・ヴィンチ』で、20周年記念号を自分が担当できていることに、勝手ながら縁を感じてしまっていたり、個人的にも感慨深く思っております。これまで、ずっと「20周年特集を担当するまでは何があっても編集者でいる」という気概も存分にあったように思います。
 思い返せば、大変うれしいことに、一編集者としての自分にとっても、NACSはずっと“そば”に居てくれ、また、居させていただいた方々でもあるのです。そして、それは、刊行する本(『ONE』サイン会でもじ~ん、と来てしておりました……笑)や、雑誌の特集など手にとってくださっているNACSのファンの方にも、そうさせていただいてきたようにも思っております。

 そしてNACSファンとしての自分としても、しんどいときや、辛いとき、何かに躓いたとき。そんな時、テレビの電源を入れればNACSさんが活躍されていて、感動したり励まされたりしてきました。
 また、バラエティやジャンボリーでは相変わらず面白くも温かい方々が居て、気づけば、笑顔にさせてもらっていました。
 そして、本公演を拝見する度に、「ああ、またこれから頑張ろう」、と思わせてもらってきました。
 それは、とどまることなく、彼らが飛躍していってくれるからこそであり、メンバー自身が時に葛藤しながらも、「TEAM NACS」という演劇ユニットを大切に思い、続けているからこそ、応援し続けて来られたんだ、とも思います。
 そしてそれは、これを読んでくださっているファンの皆様も同じような、そういう「時間」を過ごされてこられたのでは、勝手ながら思っております。(自分もファンだけに……)

 これからも、いつだって、彼らはそばに居くれる、思っています! また、ずっと「応援したい」と思わせてくれる、そんなNACSに巡り合えたことも、幸せだな、とも感じています。そして、その幸せな時間を、これからもいただけるのではないか、と期待しています。
 特集リードにも書きましたが、今特集は「おめでとう」と「これからもよろしく」の言葉を込めて、そしてNACSのそばで、変わらず応援して下さるファンの皆様にも愛をこめて、紙面を作らせていただきました。ぜひ、楽しんでいただけますと幸いです。
 また、弊誌が10年にも渡り、NACSの皆様とお仕事させていただけましたのは、メンバーの皆様はもちろんながら、スタッフの皆様のおかげでもございます。本当に多大なるご協力をいただいてまいりました。
 皆様には、敬意と感謝ばかりです。この場をお借りして、改めて御礼を言わせて下さい。いつもいつも、本当にありがとうございます!

 そしてそして、追伸というか……。今号の表紙なのですが、元々はいま戸次さんが居らっしゃる位置に森崎さんに座っていただいていたのですが、いざ、撮影が始まったときに、ある事情で(お察しください)お二方の位置を移動をさせていただきまして。
 メンバーが爆笑するなか、森崎さんに「俺は傷ついているぞ!」と、ちゃんとその旨を読者の皆様に説明するように、と撮影時におっしゃっておられたので、ここに記載させていただきます。
 それでも扉の撮影時、カメラマンからの「5人で歩いてください」と指示に、大きな声で「おい~! お前たち歩くぞ~!」と船頭してくださっていて、リーダーは本当にリーダーで、いつもありがとうございます!と、こっそり思っておりました。
 ぜひ、懲りずに、また表紙撮影、何卒よろしくお願いします!