【ダ・ヴィンチ2017年6月号】「 穂村 弘 in 京都ワンダーランド」特集番外編

特集番外編2

更新日:2017/5/8

【ダ・ヴィンチ2017年6月号】「 穂村 弘 in 京都ワンダーランド」特集番外編


穂村弘さんと京都に行ってきました!

編集I

 文庫の打合せのときに、ふとしたはずみで京都の話になり、そのときに穂村さんがもらした一言がきっかけでした。
「八坂神社? 知らない。たぶん行ったことないと思う」

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 ええっ、京都好きなのに八坂神社を知らないなんて! それは素直な驚きで、八坂神社といえば、四条通のどん詰まりで、私にとっては、ランドマーク的な場所。穂村さんには、以前の京都特集(2012年5月号)のときに寄稿していただき、京都にはよく行ってらっしゃるようだったので、同じ京都好きでも訪れる場所が全然違うのだと、改めて思い知った次第。それなら、穂村さんにとっての京都定番ってどこなんですか?とうかがったところ、アスタルテ書房や三月書房、恵文社一乗寺店など、やはり書店だと。

 思えば、前回の京都特集から早5年。京都の書店事情にもさまざまな変化がありました。ならば、穂村弘的書店地図も盛り込んだ京都特集はありかもというわけで、「穂村弘 in 京都ワンダーランド」の企画がスタート。今回は書店、ブックカフェだけに限らず、穂村さんが短歌に注ぎ込む「ワンダー(驚き)」をキーワードに訪問先をセレクトしてみました。

 まずはじめピックアップしたのは、ホホホ座。京都の本好きたちの間で人気だったガケ書房のオーナーの山下さんがお仲間たちと始めた、店舗付きの企画編集ユニットです。耽美・幻想文学をメインとした伝説的古書店のアスタルテ書房はオーナーの佐々木さんが2015年6月にお亡くなりになって、奥様と有志の方が運営されている。恵文社一乗寺店を切り盛りされていた堀部篤史さんも独立して、今は誠光社という書店を丸太町で営んでおられる。

 こうした本周りのお店を軸に穂村さんからもご希望をうかがい、京都在住の方々からも「ワンダー」というキーワードにもとにヒアリング。出来上がったツアーマップを穂村さんと実際に歩いて感じたのは、京都という街の懐の広さと深さ。歴史ある一大観光地でありながら、いや歴史ある観光地だからこその幅の広さと深さなのか、と。各お店の方々のコメントも非常にユニーク。それぞれの人生観・仕事観が表れていて、そこから新たな京都観が生まれました。

 それから、それから……京都在住の歌人・正岡豊さんと穂村さんの短歌競作企画も注目していただきたく。生活者と訪問者の目線の違いがくっきりと表れて、また、その短歌をイメージして、撮り下ろしてくださった入交佐妃さんの写真もなんともすばらしいんです。

 京都の出版社の方々が「ワンダー」をキーワードに自薦してくださった本&出版に対する心意気も興味深く、そこからも「京都の今」が立ち上ってくるようでした。

 取材させていただいたお店&出版社のみなさま。歓待してくださって、本当にありがとうございました。