大人にもおすすめ 癒しの絵本(2023年5月 新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

公開日:2023/5/24

新年度がスタートして2ヶ月、楽しみにしていたGWもあっという間に終わってしまったような……長い長いコロナ禍を抜け、今年はようやくかつての日常が戻ってきましたね。園や学校生活、家庭も仕事も、これまでの時間を取り戻すかのようにスピードを上げて進んでいる感じがします。見上げれば真っ青な空にあざやかな新緑が気持ちいい5月のはずなのに、飛ばしすぎて心も体もちょっとお疲れモード……なんて日も、ありませんか?

疲れた時は大きく体を伸ばして深呼吸。そして短くてもぜひ自分を癒してあげるひとときを作ってあげて下さいね。例えば、ゆっくりお風呂に入る、ちょっと贅沢なスイーツを大人買い、推し活なんかもいいですね……そして、絵本も!

さまざまな価値観や考えをもった登場人物、現実ではあり得ないようなおはなし、どこか心に刺さるイラスト。さまざまな出会いが詰まった絵本を楽しむ時間は、短い旅にでも出たような充足感をもたらしてくれるはず。 大人の癒しに、手にとってほしい絵本をご紹介します。

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何でも持っている友だちに『おくりものはナンニモナイ』?物に溢れる今に響く、谷川俊太郎さん翻訳のロングセラー絵本

おくりものはナンニモナイ

作・絵:パトリック・マクドネル訳:谷川 俊太郎

出版社からの内容紹介

ネコのムーチは考えた。うんと考えた。何でももってる友だちを喜ばせる物って何だろう? そしてムーチが思いついた最高の贈り物とは!?

しーっ、『ないしょだよ』。お母さんが買い物の間にみんなで準備した母の日のサプライズ、うまくいくかな……?

ないしょだよ

著・絵:たかだしんいち

出版社からの内容紹介

きょうは母の日。お母さんが買い物に行っているあいだ、みんなでパンケーキをつくることに。でも思ったより早く帰ってきたお母さん。「だいじょうぶ? こげくさいよ」といわれて見ると、さっきまでいい匂いがしていたパンケーキが…。

関連書籍

いまがいい

作:たかだしんいち

しってるよ

作:たかだしんいち

時には気分を変えて。がまくんとかえるくんの穏やかな世界を英語で味わおう『英日CD付 英語絵本 ふたりはともだち Frog and Toad Are Friends』

英日CD付 英語絵本 ふたりはともだち Frog and Toad Are Friends

作:アーノルド・ローベル訳:三木 卓語り:宮本充 吉田直子音楽:谷川賢作

出版社からの内容紹介

大人気絵本の「がまくんとかえるくん」シリーズの『ふたりはともだち』が英語と日本語
のCD付きで初登場です!  谷川賢作氏(作曲家・ピアニスト 父は谷川俊太郎)に
とてもピッタリなBGM音楽をつくっていただきました。
 小学校で絵本を使った英語活動が増えてきています。教科書に出てくるお話でもあります
ので、はじめて英語にふれるお子様に自信を持ってお薦めします。
もちろん、大人の方にもコーヒーでも飲みながら、ゆったりと聴いていただける内容です。
ちょっと“やり直し英語”ができますよ!

森で一番の弱虫とからかわれてきたきつねくんが、王様の後継ぎに?!本当の強さとは何かを問いかける『よわむしのおうさま』

よわむしのおうさま

作・絵:いしあい つるえ

出版社からの内容紹介

森いちばんの弱虫のきつね君が王様をまかされた。
大変だ!強くならなくちゃ!頑張って強そうに見せるのですが、、、。
さて、よわむしの王様はどうなるのでしょう。
本当の強さとは?リーダーとは?
子どもだけでなく、大人の方にも。

『いい一日ってなあに?』ダニエルがいろんな人にたずねると……シンプルでかけがえのない幸せに気づかせてくれる一冊

いい一日ってなあに?

作:ミーシャ・アーチャー訳:石津 ちひろ

みどころ

ダニエルは近所の人たちと仲良し。街を歩いていると、みんなが「いい一日をすごしてね!」と声をかけてくれます。「いい一日ってなんだろう?」ダニエルは、おばあちゃんちに歩いて向かいながら、いろんな人に尋ねます。「ねえ、サンチェスさんにとって、いい一日ってなあに?」「おねえさんは、どんなときに、いい一日だって思うの?」

仲良しのサンチェスさんは「空が晴れ渡ってる日」と言い、「だってこんなふうにペンキが塗れるでしょ」と答えます。凧を持っているおねえさんは「穏やかに風が吹いている日」と答えます。ダニエルはお隣のご夫婦にも聞きます。公園で子どもを抱えるシッターさんにも、バスの運転士さんにも……。

それぞれ答えは違うけれどどの人にとっても「いい一日」がある。そして、皆、自分の大切なものが「いい一日」を作っているのだとわかります。おばあちゃんには大好きなダニエルがハグしてくれた今日が「いい一日」なんだってことも……。

世界のささやかなものへの愛が溢れた、美しい絵本。作者のミーシャ・アーチャーは、初めての自作絵本『詩ってなあに?』でエズラ・ジャック・キーツ賞を受賞。油絵やコラージュを使った技法で、カラフルな作品を作り出しています。

本書で、最後に家に帰ってきたダニエルに、お母さんは尋ねます。「きょうは、どんな一日だった?」 そこで「すっごくいい一日だったよ」とほほ笑みながら答えるダニエルの表情が素敵なのです。みんなの愛する「いいもの」が、わたしやぼくの、幸せにつながっていくんですね。ダニエルは自然にそれを学びます。日々のシンプルな幸せに気づかせてくれる、そして、力強い未来への希望が伝わってくる絵本です。

さわやかな香り、青梅の季節……さぁ子どもも大人もご一緒に!『はじめての梅しごと 梅シロップをつくろう』

はじめての梅しごと 梅シロップをつくろう

作:髙野 紀子

出版社からの内容紹介

「梅しごと」とは、古来から梅の実でさまざまな食べ物、飲み物を作ってきた手仕事の総称です。この本では、その中の「梅シロップ(梅ジュースとよばれることもあります)」の作り方を主に紹介します。梅の実を洗って砂糖とつけ込む、というシンプルなものですが、ひとつずつの工程すべて子どもでもできることで、保育園などで作ることもあるくらい、はじめての手仕事におすすめです。作りながらこの絵本を読めば、梅の実が実るために必要なことなどの知識も補えます。梅の実がどんな風にくふうされて食べられてきたのか、ほかの梅しごとや、梅シロップでできるおいしいもの、なども紹介。

春夏秋冬、二十四節気。おやつと共に過ごすおいしく楽しい毎日!食と季節のつながりも学べる絵本『おやつ24せっき』

おやつ24せっき

作・絵:来迎 純子

出版社からの内容紹介

あたたかい季節とさむい季節はどちらがすきですか?
あつすぎる夏さむすぎる冬は早くすぎてほしいと思ってしまいます。でも、春、夏、秋、冬をもっとこまかくわけた「二十四節気」にあわせて、たのしくたべたい、おいしいおやつ、いろいろあります。

森の中、動物たちが真剣に話し合うそのテーマは……『だれの うんちが せかいいち?』フランス発、色彩豊かなユーモア絵本!

だれの うんちが せかいいち?

著:マリー・パブレンコイラスト:カミーユ・ガロッシュ訳:おがわひとみ

出版社からの内容紹介

動物たちが話し合っているのは……なんと、「うんち」について!?

 ネズミにリスにイタチにキツネ。動物たちが森の空き地に集まって、なにやら大真面目に話しているのは、「だれのうんちが世界一すてきか?」ってこと!
「われこそは!」と、アナグマ、オオカミ、はては立派な角をもつオジカまでがやってきて、どんどん話がもりあがりますが、その時、森に危険な影が――。
 動物たちはどうなるのでしょうか? そして、世界で一番すてきなのは、いったいだれのうんちなのでしょうか?

 フランスから届いた、ユーモアたっぷりの絵本です。

ぼくたちはみんな『おなじそらのしたで』生きているーー美しいイラストとしかけで、世界の動物たちに思いをめぐらせる絵本

おなじそらのしたで

作・絵:ブリッタ・テッケントラップ訳:木坂 涼

みどころ

全ページに型抜きのしかけがある、ドイツの絵本作家、ブリッタ・テッケントラップの作品。
詩のような文がしみじみと胸に沁みる、美しい色合いの絵本です。

「ぼくたちは みんな おなじ そらの したで
いきている
ここでも とおくでも」

夜の風景の中で、体を寄せ合うねこたち。
草原のライオン親子。
冷たい氷の上のペンギンたちも…。
みんなひとりぼっちではありません。

「ぼくたちは みんな だれかと であう」

互いに触れあい、山を駆けて遊ぶ。
自由に歌い、飛ぶ。
野原でも海でも、この世界に生きるものたちは、だれかといっしょです。

風景の色彩や、動物の愛らしい表情を味わいながら、絵本をめくってみてください。
同じ空の下で、わたしたちが生きる世界がひろがっていることを想像してみてください。

1ページごとにめくる楽しみと、広い世界を感じられる絵本。
おうちの本棚に加えて、親子で想像をめぐらせる時間を共に味わってほしい一冊です。

月あかりの下、森の暗闇からじっと見つめてる……NHK「みんなのうた」で放送された「まっくら森の歌」の不思議な世界観を絵本に『つきよにごようじん』

つきよにごようじん

作:齋藤 浩誠絵:本橋 靖昭

出版社からの内容紹介

復刊リクエスト急上昇!!
多くの皆様からのリクエストに応え、『つきよにごようじん』がついに復刊決定!

谷山浩子さんが歌い、NHKみんなのうたでも放送された「まっくら森の歌」。
不思議な歌詞と、谷山さんの歌声に惹きつけられ、多くの人の心にいまでも残り続けている名曲です。

その世界観に近い絵本として、多くの方の記憶に残るのが、このたび復刊される『つきよにごようじん』です。

夜のパトロールに出かける森の番人。
雲間がくれの月あかり。
暗闇から何かがじっと見つめている。
昼間は愛らしかった動物たちが、夜には鋭い牙と爪を持ったモンスターに変身。
がさがさがさ……ひたひたひた……。
追うものと追われるもの……いつの間にやら追われるものが追うものに。
月夜にごようじん。

1987年6月に福武書店(現:ベネッセコーポレーション)より刊行され、その後は残念ながら長らく絶版になったままの状態が続いていました。
このたびの復刊化では、本作品の作画を担当し、この世界観の生みの親ともいえる絵本作家・本橋靖昭が所有する貴重な原画を丁寧にスキャンし、新たに版を起こします。

36年ぶりによみがえる、時代を超えて読み継がれる、とても不思議で印象的な世界。
ぜひ、ご家族でお楽しみにください。

『どんな いえに すみたい?』建築家のねずみ・ヘンリエッタが動物たちのために設計したのは……眺めているだけで楽しい家の数々!

どんな いえに すみたい?

作:ジョージ・メンドーサ絵:ドリス・スーザン・スミス訳:木坂 涼

みどころ

ねずみのヘンリエッタは建築家。設計から内装、家具デザインまで、お客様が望む以上の仕事をして、みんなを満足させています。そのヘンリエッタが、りす、もぐら、いもむし、かわうそなど、動物たちのために建てた15のすてきなお家を、のぞきに行ってみましょう!

「寝転べる場所がほしい」というねこのお家は日本家屋。お部屋の周りに縁側が張り巡らされていて、そこで釣りも楽しめます。ぜいたくなことに、日本庭園風の中には枯山水も作られていて、家主のねこはたこあげでリラックス。
動物たちのライフスタイルにあった工夫もたっぷり。「朝から晩まで太陽と一緒の家」とオーダーしたとかげのお家は、ガラス張りのサンルームが屋上に。なるほど、これなら寝転がって読書を楽しむにはうってつけです。

こんな風に、家具や部屋の配置、道具類など、細部も描かれた絵には、みどころがいっぱい。建物の断面図は、地中や洞穴などを土地を上手に利用して家が建てられていることや、繭や塔などの個性的な外観だけでなく、家の中の様子が一目瞭然。絵だからこそ見渡せる光景です。最後は、ヘンリエッタ自身のお家も登場。建築家のお家にはどんなこだわりがあるのか、絵本を読んで確かめてみてくださいね。

貧しい靴屋の少年が童話という夢を手に入れるまで……アンデルセン童話の名場面を探すのも楽しい伝記絵本『アンデルセンの夢の旅』

アンデルセンの夢の旅

著:ハインツ・ヤーニッシュ絵:マーヤ・カステリック訳:天沼 春樹

出版社からの内容紹介

「なにかお話を聞かせて!」馬車に乗り合わせた少女にせがまれ、男の人はとっておきの話をはじめました。まずしい靴屋の息子のハンスが、たった一人でコペンハーゲンに旅立つ話です。歌ったり、おしばいをしたいというハンスの夢は途中で挫折しましたが、苦労のすえ、お話を書くことで、ついに自分の王国を手に入れました。この少年こそ、人々の心に残る童話をたくさん書いたハンス・クリスチャン・アンデルセンだったのです。
『空とぶトランク』や『親指姫』『みにくいアヒルの子』『はだかの王様』『雪の女王』など、アンデルセン童話の名場面をたくみに織り込んだ伝記絵本。
「わたしの人生は、ひとつのすばらしいメルヘンでした」

*有名な児童文学や、その登場人物などもこっそり描き込まれています。ぜひさがしてみてください。

【動画】ワクワクに出会える絵本22選

文:竹原雅子 編集:木村春子

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