ゆとり世代の後輩・部下といかにつきあえばよいのか

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更新日:2014/11/7

 2010年卒より「ゆとり世代」が続々と入社し、いま自分の部下や後輩にこの世代を抱えるサラリーマンも多いことだろう。とかく上の世代からきびしく見られがちで、「空気を読まない」「飲み会を断る」「打たれ弱い」「言われたことしかやらない」「プライベート優先しすぎ」など言われたい放題に言われており、さすがに同情の念を禁じえないところ。

 しかし、「氷河期世代」「バブル世代」といった上の世代も、彼らが憎いのではなく、単に「ゆとり世代」の特徴やつきあい方がまだ分かっていないだけで、心情としては、いち早くビジネスパーソンとして活躍してくれることを期待しているはずだ。こんな思いを汲んだのか、ゆとり世代とのつきあい方ガイドとして使えるコミックエッセイ『となりのユトリーマン これからの社会を担う(かもしれない)次世代サラリーマンの取扱説明書』(アコナイトレコード×オノユウリ/メディアファクトリー)が発売となった。

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 ユトリーマンとは、いわゆる“ゆとり教育”を受けた1987年度以降生まれのサラリーマンのこと(女性の場合、ユトリーヌと呼ばれるらしい)で、本作では、とある企業に入社した3人のユトリーマンが巻き起こす様々な騒動が愛らしいタッチで描かれる。原作を担当した企画集団アコナイトレコード代表の鵜川氏によれば、同企画のために多くの企業を取材しデータを集めたとのことで、なるほどひとつひとつのエピソードの中には“ゆとり世代あるあるネタ”のオンパレード。思わず「うちの会社のアイツのことだ」と深くうなずいてしまうこと請け合いだ。

 例えば、「喫煙室にいる先輩に用がある場合は室外に呼び出す」、「繁忙期でも躊躇なく有給休暇をとる」、「“とりあえず生”が通用せず、乾杯のドリンク選びは個人主義」、「メールに顔文字や感嘆符、記号などを多用する」、「欠勤連絡など、なんでもメールで済ませようとする」など、本人たちに悪気はないだろうちょっとした意識の違いから起こる世代間ギャップが笑える。かくいう記者も、ゆとり世代の新人とコミュニケーションをとろうと思い、簡単な質問を投げかけたところ、「ググれば(ネット検索すれば)分かるんじゃないですか?」と即答され、二の句が継げなかった苦い思い出を持っている。

 ただ、どんなにムカついたとしても、ユトリーマンたちと向き合うことは避けられない。本書では彼らをうまくその気にさせるヒントとして、「ゆとり世代の合理的思考に着目して、そこを徹底的にほめること」としている。彼らはマイペースで協調性がないと思われがちだが、実は“無駄なことはしない”という極めてシンプルな行動原則にしたがっているだけなので、彼らが自発的に考えたり提案したり、アクションを起こした時こそがほめるチャンス。合理的思考を持っているからこそ、使える“自分”をハッキリと意識させると飛躍的に勤労意欲が高まるのだという。

 ユトリーマン以外の世代にとっては彼らとのつきあい方ガイドとして、ユトリーマンたちにとってはサラリーマン社会の慣例を学ぶテキストとして、ぜひ本書を使ってみてほしい。

 

プロローグと第1話を立ち読みしてユトリーマンの生態をチェック!

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紙『となりのユトリーマン これからの社会を担う(かもしれない)次世代サラリーマンの取扱説明書』

アコナイトレコード×オノユウリ/メディアファクトリー/998円

ユトリーマン……それは、いわゆる“ゆとり教育”を受けた1987年度以降生まれのビジネスパーソンのこと。女性ユトリーマンをユトリーヌと呼びぶこともある。本書は、そんなユトリーマン以外の世代にとってはゆとり世代とのつきあい方ガイドとして、ユトリーマンたちにとってはサラリーマン社会の慣例をを学ぶテキストとしてお使いください。