電子書籍を読むことに抵抗がなくなったキッカケって? 【第3回】勝間和代さんが電子書籍を斬る!

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更新日:2013/8/13

 

経済評論家の勝間和代さんは知る人ぞ知る読書家だ。多いときには月に50冊以上、少なくても30冊は読むそう。厳しい意見も、読書家、電子書籍愛用者ならでは。徹底的に使いこなすから言えることばかり。電子書籍も月に10冊程度読むという勝間さんに電子書籍のアレコレを聞きました。

 

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勝間和代

かつまかずよ●1968年東京生まれ。経済評論家、中央大学ビジネススクール客員教授。早稲田大学ファイナンスMBA、慶応大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得、大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。現在、株式会社監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、中央大学ビジネススクール客員教授として活躍中。ウォール・ストリート・ジャーナル「世界の最も注目すべき女性50人」選出。エイボン女性大賞(史上最年少)。第一回ベストマザー賞(経済部門)。世界経済フォーラム(ダボス会議)Young Global Leaders少子化問題、若者の雇用問題、ワークライフバランス、ITを活用した個人の生産性向上、など、幅広い分野で発言をしており、ネットリテラシーの高い若年層を中心に高い支持を受けている。著作多数、著作累計発行部数は400万部を超える。

ワンピース、ベルト/ロレーナ★アントニアッツィ(オペラ株式会社)、ネックレス、ピアス/アビステ

 

電子書籍業界を取り巻く環境は音楽業界と似ている

アマゾンのKindle(※現在英語版のみ)、ソニーのReader、パナソニックのRaboo(※楽天の電子書店)対応端末、アップルのiPhone、iPadなど、電子書籍が読める端末は数多く発売されている。本の電子化は進んでるけど、電子書籍の業界自体の状況はどうなんだろう? 勝間さんに意見を求めると、出版業界は基本的にまだ不況から脱出できないし、音楽業界と似ている、と話してくれた。

 

【勝間さん】 「音楽もデータ配信されるようになり、MP3で音楽を聴く人が増え、CDが売れない時代です。でも、MP3で音楽を聴く人が増えたからと言っても音楽業界自体は厳しい状況。とはいえ、音楽を聴く人が減ったわけではありません。音楽業界は、MP3をちょっと売って後はお客さんをライブへ引き込むようにしているのです。ファンも喜ぶし、音楽を聴く人は減りませんよね。書籍も同様に、直接著者に会えないと本自体にお金を払わなくなる、というのが私の基本的な見解です」

 

勝間さんは電子書籍が爆発的に流行ったり、規模が拡大することはないという理由にこんな事例をあげてくれた。例えば、パソコンで多数のラジオ局が聴ける「radico」というサイトがあったり、時事などのニュースもテレビだけでなく、今はインターネットで多くの情報を得ることができる。パソコンでラジオや音楽を聴き、ニュースを読んで、またパソコンで作業する、といったように、1つの端末で複数のことを行うことができる。いまや専用のデバイスである、テレビ、パソコン、ラジオを常時持ち歩いている人はいないだろう。

電子書籍も同様で、専用端末を持ち歩いて電子書籍を読む人は多くはない。1つの端末でいろんなことができる方が便利だから、電子書籍が読めるだけでなく、その他のコンテンツ(例えばメール、twitter、ニュース、テレビ、ゲームなど)が利用できる通信キャリア対応端末を選ぶだろう。すると、1つの端末の中でさまざまなコンテンツが競合する。私たちはどれを見るか、選ぶことになるのだ。結果、電子書籍が増えたからと言って本を読む人が増えるかと聞かれれば、増えるとは言えないというのが勝間さんの意見だ。

 

【勝間さん】 「私は本が好きだし、デジタル機器も好きで電子書籍端末もいくつも持っています。今までは紙の本というチャネルしかなかったから、紙の本を読むことでさまざまな情報を得たり、教養を高めたりしていました。しかし今は紙の本以外のチャネル、たとえばインターネットから多くの情報を得ることができます。だから今後は音楽のように、著者本人に会えないとお金を払わない、という人は増えてくるのではないでしょうか。それに、電子書籍専用端末もよほど性能が良くないと専用端末を持ち歩く人は増えないと思いますよ。旅行なら端末を持っていくけれど、日常出歩くときなら新書を1、2冊ポンとカバンに入れた方が楽ですよね。ハードカバーの本は電子向きですけど」

 

また、電子書籍端末自体の課題もあるという。勝間さんが愛用する電子書籍端末はKinde、ソニーのReader(5型・6型)、iPad、パナソニックの楽天の電子書籍ストア「Raboo」専用タブレットだ。共通している課題はやはり「重さ」と「バッテリー」の問題だという。ネットにはつながらないのが難点だが、Readerは軽くてバッテリーが1~2週間は持つ。ただ、他のグッズと一緒にバッグに入れて持ち運んだ際、傷ついてしまった。一方、iPadは丈夫でネット接続可能だが、バッテリーは1~2日程度だ。

 

【勝間さん】 「Readerは軽いのでよく使っていますが、一度デジカメを一緒にカバンに入れたら液晶が傷ついて交換に15000円もかかってしまって。端末自体は25000円で買ったのに(笑)。だから、軽くて丈夫でバッテリーが持つ端末が良いですね」