子どもがいて幸せ！と思った瞬間は？　～新米ママ５００人に聞きました

イラスト＝太田知子

　今やひとつの人気ジャンルと化したママタレントの子育てブログ。産後も美しく高級感あふれる育児ライフを楽しんでいる神田うのや、レストランと見間違えるような凝った手料理の写真満載の小倉優子など、いかにも幸せそうな内容からは子育ての疲れや悩みなど感じられない。一方、自分の身の周りに目を向けると、電車や公共の場で目をサンカクにして子どもを叱りつけているママも珍しくない。「やっぱり子育てってタイヘンよね〜」と、他人の子育て事情の“ホントのところ”が気になる人も多いのでは？

　そんなママたちに人気があるのが育児マンガだ。西原理恵子の『毎日かあさん』や、東村アキコの『ママはテンパリスト』など、子どもに振り回されてばかりのドタバタ生活を読んで、「ウチだけじゃないんだ！」「ウチよりタイヘンかも〜」と共感したり同情したり。そんなひとときが子育てに忙しいママたちの共感を呼んでいるのだろう。

　そこで、今回、ダ・ヴィンチ電子ナビでも、20〜30代の未就学児を持つ新米ママ551人に子育てに関するアンケートを実施。さっそく涙あり、笑いありの本音コメントが多数寄せられた。 まず、「子どもがいて幸せ！と思った瞬間」について聞いたところ、以下のような回答が。

　多くのコメントに共通していたのは、親子ならではのスキンシップや愛情表現が感じられるところ。「疲れたり、イライラしていてもギューっとされると幸せになれる」、「元気がないとき優しくなぐさめてくれる」、「お母さんは私が守るから！と言われたとき」、「大好き！と言われたとき」なんて、まるで恋人のよう！　いや、恋人よりも表現がストレートで純粋だから、イヤなことも吹き飛ぶほどメロメロになってしまうようだ。いろいろあっても、子どもの寝顔や笑顔ほど癒されるものはないし、子どもがいるからこそ頑張っている様子がうかがえる。

　しかしそれだけ大切だからこそ、逆に子どもはかわいいだけじゃすまされない。逆に「今までで一番叱ってしまった子どもの言動」について聞いたところ、「食事をひっくり返したとき」、「鼻の穴におもちゃの玉をつめてしまったとき」、「包丁を投げたとき」、「お店のものをだまって持ってきたとき」など、笑うに笑えない様々なエピソードも。しつけも必死である。

　しかし親だってひとりの人間。カンペキではない。理想と現実のギャップに苛立つこともあれば、感情を抑えきれないことだってある。「子育てでこうすればよかったと思うこと」の質問については、「大声で怒らなければよかった」「もっと絵本を読んであげればよかった」「もっと褒めてあげたかった」といった後悔の念が目立った。自分のダメ親ぶりを責めるママたちは、多くの母親たちにとって決して他人事ではないだろう。

　でも彼女たちは、それが子どもに悪かったと反省している時点で、親としての自覚をちゃんと持っているともいえる。なかには「特にない」ときっぱり言い切るママや、「ありすぎてこたえられない」というママもいたが、親がいくら立派でも子どもが同じように育つとは限らないし、親がダメ人間なら反面教師になる可能性だってある。結果がどう出るかわからないのが子育ての面白いところでもあるのだ。

　そうやって、親も悩み迷いながら子どもと一緒に成長していくなかで築いた我が家流の子育てテクニックを聞くと、「とにかく褒める」「あまり言い過ぎない」「怒ったあとは抱きしめる」「パパが叱り上手なので、ママが叱りすぎると思ったらパパにバトンタッチする」、「欠点を直そうとしたり苦手なことを無理にやらせるのではなく、得意なことや長所を伸ばす」などが挙がった。

　なるほどと持ったのは、「細かいことを気にしない」「カンペキを求めない」、「あまり構わずほうっておく」、「だいたい適当に」「おおざっぱなほうがイライラしない」といった意見。子育てに限らず、仕事でも、夫婦でも、相手に期待しすぎないほうがうまくいくことって実は多いのかもしれない。

　このような子育ての“あるある話”がたっぷり詰まったコミックエッセイ『子育てハッピーたいむ　ななとひよこの楽しい毎日』がいまママたちに大人気だ。著者は、シリーズで450万部を超えた育児書『子育てハッピーアドバイス』のマンガとイラストを担当している太田知子さん。

　当初は、「『子育てハッピーアドバイス』の通りに子育てしたら、こんなにハッピーになりましたという幸せストーリーにしたかった」そうだが、実際に描かれているのは、娘二人の面白可笑しいエピソード。

　登場人物は、小食でしっかり者でおしゃれ大好きな長女・ななちゃんと、食べるの大好きで思ったことはマッハ級のスピードで行動にうつす突撃隊長の妹・ひよこちゃん。それと、子どものぽよぽよの体とぷにぷにほっぺが大好きなママ。アニメ好きのおたくだけど真面目で子守り上手なパパ。

　子どもの匂い好きのママが、赤ちゃんが着た服や髪の毛まで鼻をつっこんで匂いを嗅ぐ姿を見ると、思わず自分も子どもの匂いをかいでみたくなる。子どもを寝かしつけていると自分が先に寝てしまうパパを見ると、「うちも同じ！」と声が聞こえてきそう。食べるのが大好きなひよこちゃんは、小さいパンを渡そうとするママの手にある大きいパンをすかさずつかみ取り、スプーンでスープを飲ませようとするといきなりお椀に食らいつく。何でも口に入れるのはどの赤ちゃんも一緒だが、1歳の頃のななちゃんは公園でセミの死骸まで口に！　「一番叱ったとき」のアンケートでも子どもが危ないことをしたり、いたずらした場合が目立ったが、何でも自分でやらなきゃ気がすまないひよこちゃんには、読者もハラハラドキドキだ。そんな妹のオムツを替えたりもするしっかり者のななちゃんの、おしゃまでおちゃめな言動も面白い。

　子どもたちが好きで好きでしょうがなくて一生懸命だけど、ときどき空回りしたり反省したり意表をつかれたり。太田さんのズッコケ子育てエピソードはユーモアたっぷり。ななちゃんとひよこちゃんの愛らしいしぐさやとんちんかんな発言も、子育て中の人なら自分の子どもに重ね合わせて思い出し笑い必至だ。アンケートの「幸せを感じた瞬間」で多かった「子どもの笑顔をみたとき」「寝顔をみたとき」は、太田家にも通じるところが。

　出版社の人によると太田さんは、子どもたちの姿を生まれた頃からスケッチして、面白い会話はノートに書き留めてきたのだとか。子どもを生んでからは、乳腺炎に腱鞘炎にぎっくり腰と、人生初の病気を経験。夜泣きで眠れない子どもを車でドライブさせた辛い日々のことなども漫画のなかでさらりと触れている。でもそういうことも引っくるめて、やっぱり子育てってやめられない！と思わせてくれるのがこのシリーズなのだ。

「忙しい忙しいと言って過ぎていく当たり前の日常が、いちばんの幸せ」と、本の帯に書かれた太田さんの言葉に思わずうなずいてしまう。

　第一巻でまだまだ小さかったななちゃんとひよこちゃんも、3巻では6歳と3歳に。自分でできることが増えてどんどん成長していく子どもの姿を見ると、嬉しいやら寂しいやら……。『子育てハッピーたいむ』シリーズを読むと、いつかは終わりがくる子どもたちとのドタバタの日常が、いつもに増していとおしく思えてくるだろう。

文＝樺山美夏

子育てハッピーたいむ1 ななとひよこの楽しい毎日
太田知子/1万年堂出版
『子育てハッピーアドバイス』のイラストで活躍中のマンガ家・太田知子さんの育児ブログが、ついに書籍化！ 2児の母としての体験をたっぷり盛り込んだ、子どもたちとのドタバタだけど楽しい毎日をつづった人気ブログが、本になりました。新たに描き加えたマンガもいっぱい！ ファンにはたまらない注目の第1巻です。

子育てハッピーたいむ2 ななとひよこの楽しい毎日
太田知子/1万年堂出版
2児の母として日頃の子育てをつづった人気ブログ本の第2巻！新たに描き下ろした4コママンガや、一コマ劇場、次女の「ひよこ」が生まれた時のエピソードなども盛り込まれ、どのページを開いても、思わず笑みがこぼれます。読んだあとは、育児の大変さも、悩みも心配事も全部ひっくるめて、子どもがいて幸せ♪と思えるに違いありません。

子育てハッピーたいむ3 ななとひよこの楽しい毎日
太田知子/1万年堂出版
大人気『子育てハッピーたいむ ななとひよこの楽しい毎日』の第3巻！上の子ななちゃんは、小学1年生になりました。小学校入学前後は、ママにとっては試練の連続…。その大変さがユーモアたっぷり表現されていて共感してしまう話ばかりです。今回も、子どものかわいさがぎゅううっと詰まった、描き下ろしの4コママンガや1コマ劇場が満載です!