女性に大人気!ほのぼの生活ゲーム『牧場物語』に待望の新作登場

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更新日:2014/2/25

 17年前、スーパーファミコンでの初登場以来、ジワジワとファンを増やし続けている『牧場物語』シリーズ。このシリーズは、自然の中で動物を育てたり、畑を耕したり、町の住人と交流するなど、牧場でのスローライフが楽しめるゲームだ。その待望の新作『牧場物語 つながる新天地』がいよいよ登場する。

牧場物語 つながる新天地

『牧場物語 つながる新天地』

対応機種:ニンテンドー3DS
発売日:2014年2月27日(木)予定
価格:4,800円+税
ジャンル:ほのぼの生活ゲーム

 現在、シリーズのプロデュースを務めるはしもとよしふみさんは「シリーズ初期の時代は敵を倒さないゲームが珍しかったので、ゲームの目的が伝わりにくかったところもあります」というが、ハードの進化、技術の向上に伴って「(ゲーム内で)やれること」が増え、個性豊かなキャラクターたちとのコミュニケーションや異性との交際そして結婚などの要素も加わり、単なる育成シミュレーションゲームの枠を超え「人生」そのものを体感できる魅力的なタイトルになっていった。

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 海外ではリタイア後に牧場経営を夢見る大人が少なくないが、その予行演習としてゲームを楽しむケースもあるという。また、18年の歳月の中、実際にこのゲームがきっかけで農業や酪農の仕事に就いた人も。国内では女性、とりわけ20代から30代の大人の女性に熱狂的なファンが少なくないそうだ。

 

まずは新作の紹介映像をチェック!


 

■牧場生活を通じて「人生」を体感できるゲームにしたかった

「私には二人の姉がいます。そのせいもあって小さな頃から少女マンガに囲まれていたんですよ。少年誌より少女誌を読む方が圧倒的に多かった。マンガだけでなく小説なども影響を受けているんです。遊ぶのもずっと姉のままごとに付き合わされていました。男性のゲームユーザーはどちらかというと結果そのものや数値的なことを重視する傾向がありますが、女性の場合は、数字には表れにくいところをちゃんと見ているんですよね。例えば少年マンガのキャラクターはいつも同じように描かれるのに対して、少女マンガの場合は、同じキャラでもコマ毎に描き方が違っていたりします。こういう部分ってとても感覚的なものなのですが、そんな微妙な違いではあるものの大切な事だと思います。そのあたりが女性に支持されている理由のひとつかもしれませんね」

はしもと よしふみ
マーベラスAQL執行役員。『牧場物語』シリーズのプロデューサー。温かみのあるタイトルを得意とする。代表作は『ルーンファクトリー』シリーズ、『朧村正』など多数。『牧場物語』シリーズは大人のプレイヤーも取り込み大ヒット。口コミで長期間にわたり売れ続けている異色のタイトルでもある。

 第1弾が登場した90年代半ばは、ハードがスーパーファミコンという「みんなのゲームマシン」ということもあって、特にターゲットを設定していなかった。その後、男性主人公版と女性主人公版を分けて出したことも。現在では男性、女性のどちらでも自分を投影したプレイヤーキャラクターを作ることができるが、女性にも伝わる物語を意識して作っているという。『牧場物語』シリーズは当初、「人生」のゲームにしたいという思いが強かったという。しかし、当初は技術的な制限もあって、あまり深い内容にすることができなかった。何より、ゲームが成熟しきっていなかったため、「プレイヤーキャラクターが年老いて、若い頃のような体力がなく畑を耕すスピードが落ちてくる」といった“リアル”を演出すること自体難しかったようだ。

「新作では恋愛要素に職業を絡めてリアルな出会いを描いています。例えば女性キャラクターの場合だと、料理人や調香師、アンティークショップの経営者など何人かの“お婿さん候補”がいるわけですが、忙しくて自分で料理をしている時間がないという女性ならレストランに通うことも多くなるわけで、そこで人との出会いが生まれるわけです。もちろん特定の候補だけでなくいろんな出会いを経て相手を決めるということもできますし、うまく意思疎通ができないこともある。シリーズの中で初めて結婚要素を入れたときは、それ自体が目的になってしまったところもあるのですが、現実の人生ではそれはあくまでも中間点ですよね。そのあたりもちゃんと盛り込んでいます」

 

  • ゲームには様々な結婚候補が登場
  • 自由におしゃれも楽しめる!

 

■新要素はそのときの流行や世相、気分を先読みして考える

 牧場ライフに恋愛・結婚の要素、様々な出会いと仲間たちとの協力。要素が増えれば増えるほどゲームの世界の中で「やれること」は多くなる。しかし、単純に既存のユーザーの要望を吸い上げていくだけでは袋小路に陥るとはしもとさんはいう。

「ユーザーさんの思い入れが強いだけに、新要素を加えた直後は叩かれることも多いんです(笑)。また、DSから3DSになってゲームが複雑になれば自由度が上がるのですが、やれることの選択肢が増えてしまうと今度は何をしたらいいのかわからなくなってしまう。長年シリーズを楽しんできた熱心なユーザーさんと初めてプレイされる方との感覚的な差がどんどん大きくなるし、これを本やマンガにたとえると最新巻ですから飽きがきてもおかしくない。それをどう乗り越えていくのかがポイントになりますね」

 新作では育てた農産物を積極的に世界へ出荷する貿易の要素や、珍しい動物を集めてサファリを作ったり、山の中で何度も遊べる工夫を盛り込んでいる。最近急激に人気が出てきたアンゴラウサギを育てることもできるのだ。

 

  • 貿易先から新アイテムや動物も購入できる
  • 動物たちの楽園「サファリ」を作ろう!

 

「ゲーム作りで難しいのは、開発のスタートから2年後の発売になるので、そのときの流行や世相、気分を先読みして作る必要があるということなんです。アルパカやハシビロコウなども登場しますが、これはいけると思ったらすぐに採用する(笑)。サファリの部分では野生動物への関心とともに、自然保護の機運が高まっていることも反映させています。過去のシリーズはどちらかというと牧場エリアに限定した遊びでしたが、今回はもっと広い範囲で楽しむことができるようになっています。『つながる新天地』というタイトルからもわかるとおり、貿易を通じて外の世界とのつながりができれば、遠い国での反応を手紙などを通じて生産の喜びを実感することができますし、要望に応えて作物を作るということも可能になる。イチゴが効率的だからずっとイチゴだけ作っていればいいやという考え方ではなく、褒められるのが嬉しいから努力してみようという意欲を味わってもらいたいのです」

 改良点は細かい部分にも及んでいる。たとえば新作では一度に9マスの畑を耕したり水を与えることができる。感覚的には移動しながら畑の世話をするわけだが、さっさと作業を終わらせれば、それだけデートの時間を作ることもできるのだ。また、主人公のいる町には時にライバル、時に苦労を分かち合う仲間となる同業の牧場主がいる。彼らと競い合いながら切磋琢磨していくところも実感をともないながら楽しめるところだ。任天堂の『スーパーマリオブラザーズ』とのコラボも実現した。畑ではスーパーキノコやファイアフラワーなどを育てることができるのだ。

 

  • 9マスまとめてお世話できるから楽チン!
  • 「スーパーキノコ」が獲れたど~

 

「作物を育てるのに失敗すれば、それは『レベルが下がる』ということにもつながるわけで、かつてのゲームの常識の中では随分異質な存在でした。それがイヤだという人もいるのですが、苦労の先にある喜びを感じてもらえるはずです。だからこそ、このゲームをきっかけに牧場で働くようになったり、農業に興味を持つ人がいるのではないでしょうか。子供から大人まで、そしてたっぷり1年以上は楽しめますので初めての方も是非試してみてください」

(取材・文=田中裕、撮影=小川一成)