外国人が驚愕する日本のカーライフ&カルチャーをズバリ指南!!

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更新日:2014/6/17

我々日本人にとっては常識の数々が、外国人にとっては「驚愕」にさえ映ることもしばしばというニッポンのクルマ事情。外国ではよほどの緊急事態以外、めったに使われないというハザード・ランプを使ったコミュニケーションはその典型なのだとか。ではいったい、日本のカーライフ&カルチャーのどこが変なのか? 在日25年以上 、日本をこよなく愛する国際モーター・ジャーナリスト、ピーター・ライオン氏に指南していただこう。

ニッポンの道路をバクダンが走っている!?

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 「い~しや~きいも~♪」でおなじみの、軽トラックをベースにした石焼きイモの移動販売車。日本人にとっては、見慣れた秋の風物詩のひとコマだが、外国人にとってはそうはいかない。ライオン氏に言わせれば、車上で火を燃やすという暴挙を行う“走るバクダン”なのである。ドライブ中の路上でそんなヤキイモカーと遭遇したライオン氏と友人は、単に驚愕するだけではなかった。すぐさま追尾し、路上での仕事ぶりをチェックし、さらにはドライバー兼販売員のおじさんに「アブナクナイノ?」と、インタビューまでを敢行。そして「気を付けているから大丈夫だよ」とのおじさんからの一言にも、彼らは決して安心はできないのである。なぜバクダンが公道を堂々と走り商売さえできてしまうのか、その真相を探るため、次に彼らは警察署へと事情を聞きに出向く。果たしておまわりさんの対応は?そして最後にライオン氏が一言。
「“走るバクダン”の存在を不思議に思わない日本人は、やっぱ驚きだよね」

 

永遠に病院に着かない救急車?

 ライオン氏の友人であるアメリカ人のジェイソン君が、日本の救急車で搬送された際の体験談を語ってくれたそうだ。事故でケガをしたジェイソン君は、救急車で搬送されながらも一抹の不安を感じていた。本人いわく「永遠に病院に着かないんじゃないかと、不安になった」らしく、「なんで、もっとアクセルを踏んでくれないの? モタモタしているうちに、僕が死んじゃうかもしれないだろう!」と、心の中で叫んでいたそうだ。ジェイソン君によると、アメリカの救急車はガンガン、スピードを出す。さらに交差点であっても、アメリカでは周りの車が止まるから救急車は減速しないのがあたりまえなのだという。そんなジェイソン君だが、ひとつオモシロかったことがあったようだ。それはていねいに「救急車が通過します」とスピーカーからアナウンスした後、マイクをオフにして運転席で救急隊員が発した、ある言葉、だったという……。
救急車事情も国によってさまざまなのだ。

 

言葉の意味を調べてないの?

 外国人が指摘する「ニッポンのヘンなところ」の代表格といえば、「和製英語」や「間違った外国語の使用例」だ。それは「車名」とて、決して例外ではない。そんな車名の珍名をライオン氏がこう紹介する。

三菱が2002年まで販売していたギャランのステーションワゴン『LEGNUM(レグナム)』も、ちょっとシビれる車名だ。由来としてはラテン語の「王権・王位」を意味するそうだけれど、直訳すれば「LEG(足)がNUM(しびれている)」とは、これやいかに。 クルマにはあまりふさわしくない名前だと、思わないかい?

とまあこんな具合で他にもいろいろと使う言葉を間違えてしまった車名や商品名は、ニッポン中のあちこちにあるらしい。中には「意味の分かる外国人には、恥ずかしくて指摘することもはばかれる」ほど、気づかずに下ネタ的な言葉を使っているケースもあるそうだ。各企業の担当者はネーミングを決定する前に、ライオン氏にチェックをしてもらってはどうだろう?

 

「ヘン」なネーミングが多すぎる!?(輸出車編)

 「さすが!日本語で原稿が書ける外国人モーター・ジャーナリスト」と、ライオン氏を思わず評価したくなるようなトリビアネタを紹介しよう。グローバル戦略が常識となった昨今は、レクサスに代表されるように、日本での車名をそのまま海外でも使用するケースが多くなってきた。しかし、過去にはスバルのドミンゴは、英国では「SUMO」(相撲)というネーミングで売られていたりしたそうだ。ライオン氏は『ハミ出しているフロントバンパーが、力士の「まわし」みたいでピッタリだよね。』とコメントする。他にもまだまだトリビアは続く。メキシコ向け日産サニーは「TSURU」(鶴)、台湾向けマツダ・トリビュートに至っては「OSHYARE」(オシャレ)である。そんなネーミングに反応してくれるのは、かなりの日本語通の客だけに思えるのだが……。そんなトリビアネタも写真付きで楽しめちゃうのが、『“サンキュ~♥ハザード”は世界の愛言葉!?』だ。

“サンキュ~♥ハザード”は世界の愛言葉!?』立ち読み
丁寧過ぎるニッポンの救急車。一方、イギリスの救急車は乱暴で苦情殺到!?

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ピーター・ライオン

ピーター・ライオン
Peter Lyon

1960年オーストラリア・パース生まれ。西オーストラリア大学政治学部・日本研究科卒業。日本文化に傾倒し、同州の日本語弁論大会で優勝したほか慶応義塾大学への留学などを経て、1988年から東京を拠点にモータージャーナリスト活動をスタートした。現在は日本と海外の有力自動車専門誌に精力的に執筆。日本カー・オブ・ザ・イヤー賞選考委員およびワールド・カー・アワード会長を務めている。レース活動にも積極的に取り組み、2010年ニュルブルクリンク24時間耐久レースでは、クラス4位入賞を果たしている。六本木男声合唱団団員。YCACクリケットチーム所属。

“サンキュ~♥ハザード”は世界の愛言葉!?

JAF出版社 ピーター・ライオン著 1500円+税

25年以上にわたり東京を拠点に、世界のカーシーンの最前線で活躍を続ける国際モーター・ジャーナリスト、ピーター・ライオン氏が描く、「奇妙で素敵なニッポンのクルマ事情」。日本人ドライバー独特のハザード・ランプを活用したコミュニケーション術を筆頭に、外国人から見た「日本の常識≒世界の非常識」を、軽妙かつ時にシニカルに、そしてクルマ文化とニッポンへの愛情も豊かに交えながら綴ったカー・エッセイ。