ブックフェスタ2015 winter 本好きにこそオススメしたい「新書」の魅力!

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更新日:2015/1/30

薄くコンパクトなサイズながらも、中には教養やノウハウ、日本・世界の文化や歴史、さらには世の知られざる真実から、マニアックな趣味の世界など、いろんな要素がぎっしりと詰まった「知」の書、それが新書だ。ではどんな新書が人々の心をとらえるのか、まずは近年の人気傾向をみてみよう。

「日本や日本人、再発見」が新書の人気テーマ

ダ・ヴィンチNEWSでは、最近電子化された書籍の中から選出した人気新書を、図のようにマッピングしてみた。縦軸は「ビジネス系」「人生系」のどちらよりの情報を扱った新書かという分類で、横軸は「日本」「世界」のどちらよりの情報か、ということで分類してみた。

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その結果、いちばん人気傾向が高くなるのは、計6冊(線上含む)が分類された「日本」&「人生系」という枠になる。これらの枠にあるのは、『日本語の磨き方』(林望著/PHP新書)など、日本の固有文化や日本人のメンタリティなどを扱った“ディカバージャパン&ジャパニーズ”的なテーマや、『ニッポンの裁判』(瀬木比呂志著/講談社現代新書)のように、日本の各種制度などに潜む問題点を浮き彫りにした新書だ。

つまり、「日本の文化や制度、日本人のあり方をもっと深く知ろう」というテーマが、多くの読者にアピールする新書であることがわかる。

これはあくまでも新書の人気傾向であり、新書の特徴や魅力はこれだけではない。ビジネス用途に活かせるノウハウ本の良書も多数あるし、海外の文化や宗教・政治などを、時事的な動向に合わせてタイムリーに知ることができるのも、新書の大きなメリット。また、科学・学術系のテーマも、専門書とは異なり、一般の人にも分かるように言葉が選ばれている。また、芸術やスポーツ他、自分の趣味の世界をさらに深く掘り下げる際にも、新書は大活躍する。

読書レベル別に見たオススメの新書PickUp!

では次に、読書頻度を基準とした「読書レベル別」に、オススメの新書を紹介していこう。

●ふだん新書をほとんど読みません!

『池上彰の「ニュース、そこからですか」』『頭がいい人、悪い人の話し方』『GANZなSF映画論』

『池上彰の「ニュース、そこからですか」』(池上彰著/文春新書)、『頭がいい人、悪い人の話し方』(樋口裕一著/PHP新書)、『GANZなSF映画論』(奥浩哉著/集英社新書)

まずは「新書は読まない」という方。そんな人の多くはきっと、新書の楽しみ方を知らないに違いない。新書の楽しみ方のひとつに、話題の人、好きな人の著書を読んでみるという方法がある。

例えば、『池上彰のニュースそこからですか!?』(文春文庫)。テレビで大人気の池上彰氏の著書だ。タイトルの「そこからですか」は、池上さんがニュース解説をしていた番組で、芸人たちが突っ込んだフレーズから来ている。本書では、「ユーロ危機」を解説する際、まずは「そもそもEUとはなにか?」という大前提の解説から入る。そこで芸人ならぬ読者は「そこから?」と突っ込みたくなるわけだが、これにはちゃんとした理由がある。

池上さんいわく、「ニュースがわからなくなるのは、大前提となる基本をちゃんと理解していなから」なのだそうだ。本著を読めば、そんな池上流のニュース解説のツボがわかるだけでなく、今さら人には聞けない時事用語やキーワードを学ぶこともできる。

新書ビギナーの方へのおススメとしては他にも、コンプレックスを解消するためのハウツー書や、好きな作家、アーティスト、漫画家などの本業とは別の顔を知ることができる新書など、自分に身近なテーマで新書を探すことをおススメしたい。

●新書も含めて話題の本は読みます!

『イスラム 癒しの知恵』(内藤正典著/集英社新書)、『安倍官邸の正体』(田崎史郎著/講談社現代新書)、『絆の構造』(高橋恵子著/講談社現代新書)

『イスラム 癒しの知恵』(内藤正典著/集英社新書)、『安倍官邸の正体』(田崎史郎著/講談社現代新書)、『絆の構造』(高橋恵子著/講談社現代新書)

次に、話題の本を中心に読んでいるという方にオススメの新書を紹介していこう。そんな時流に敏感な人へは、イスラム・政治・自己や他社への認識など、今、社会で話題の話題になっている事象を少し掘り下げてみるのがいいだろう。

例えば社会学者の内藤正典著『イスラム 癒しの知恵』(集英社新書)。いまイスラム国やテロ集団の存在により、世界的に悪のイメージが強まってしまったイスラム。しかし、実際に著者が世界各地で触れ合って知った“本当のイスラム教徒”たちの姿とその教えは、好戦的・野蛮といったイメージとは対極にあるものだった。

こうした「生きた海外の宗教や文化・知恵」にタイムリーに触れることができるのも新書の魅力だ。

また新書なら、日本社会のあらゆる「今」を、心理学的な側面から考察したり、ジャーナリスト的な視点から手軽に学ぶこともできるのだ。

●文芸もマンガも新書もたくさん読んでいます!

『読書力』(斎藤孝著/岩波新書)、『孤独の価値』(森博嗣著/幻冬舎新書)、『自分だけの一冊』(北村薫著/新潮新書)

『読書力』(斎藤孝著/岩波新書)、『孤独の価値』(森博嗣著/幻冬舎新書)、『自分だけの一冊』(北村薫著/新潮新書)

最後は多読派の方へのオススメ新書を紹介しよう。多読型の場合、どうしてもスピーディに読みあせってしまう傾向がある。そこで、いかに深く読むかというそのコツを教えてくれる本などを読んではいかがだろうか。

例えば、テレビのコメンテイターでおなじみ明大准教授、斎藤孝著『読書力』。本著で斎藤氏は、「本を読むことの本質的な意味を根本から説く」ことにチャレンジしている。読書とは自己形成であり、自分を鍛えることができる読書をして、「読書はスポーツだ」と表現する。そして最後に、自分を広げる読書はコミュニケーションの基礎だと締めている。

他にも読書の味わい方・楽しみ方などを、いろんな視点からアドバイスしてくれる新書がたくさんある。ぜひ、そうした新書を手に取り、自分なりの読書術を創りあげてみてはいかがだろうか。

記事内で紹介された本が読みたい人は、Reader Storeもしくはブックパスへ

電子書籍関連事業を展開する株式会社ブックリスタは、「新書」にスポットを当てた冬の電子書籍フェア 「BOOKFESTA 2015 winter」を開催中。今回の「BOOKFESTA 2015 winter」では、ユニークなタイトルが知的好奇心をくすぐる新書コンテンツを大特集。『犬と話をつけるには』(著:多和田悟、文春新書)、『ヒゲの日本近現代史』(著:阿部恒久、講談社現代新書)、『かつお節と日本人』(著:宮内泰介・藤林泰、岩波新書)など、配信中の 6,800 冊以上(2015 年 1 月現在)の新書作品の中から、注目作をピックアップして紹介していく。

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