オンナもこっそり濡れる 「官能小説はエンタテインメントだ!」
更新日:2013/8/13
官能小説はエンタテインメントだ!
世の女性たちは官能小説をどんな目で見ているのでしょう。興味はあるけど手に取る勇気はない? 何事も食わず嫌いは禁物。先入観に惑わされる前に、まずはオンナ目線でちらりとその世界を覗き見。後半では官能小説と電子書籍との相性について探ります! ※前半はこちら |
そもそも官能小説ってどんなもの?「人が心の奥に持っている淫心をかきたて、燃え上がらせる。それこそが官能小説の醍醐味です」 つまり、ただ淫らなことをたくさん書けばイコール官能、というわけではない? advertisement 官能小説=エンタテイメントの一ジャンル! そういう見方は目からウロコでした。正直なところ「男の妄想全開エロ小説」という偏見しかなかったもので……。 「もちろん実際はそういう作品も結構ありますよ(笑)。でもその一方で、しっかりしたストーリーの上に情感や人間関係のペーソスが描かれた優れた作品も数多く存在しています。そういう作品でないと、大人の淫心をかきたてられません」 では、実際の官能小説にはどんなカテゴリーがあるのでしょう? 永田さんによると以下のようなジャンル区分があるそうです。 ●恋愛系:求め合う男女がその頂点で行う性交。肉体的に結ばれるプロセスを描くことで情感を高揚させるもの
(例)『下町そだち』草凪優 無双舎文庫など ●癒し系:若い男が年上の女性に性の手ほどきを受けるもの
(例)『はじめての、おねえさま』内藤みか 二見文庫など ●羞恥系:女体をなぶられて淫らな性感に溺れていくものなど
(例)『もっと淫らに』鷹澤フブキ 河出i文庫など ●性愛系:恋愛対象でないはずの相手に性的に惹かれていく
(例)『アトリエの女』小玉二三 二見文庫
全体の約5分の1は女性読者?さらに、最近では女性読者はもちろんのこと、官能小説家を志す女性の書き手も増えているといいます。サンケイスポーツ主宰で毎年行われている「官能小説・性ノンフィクションの書き方講座」にはここ数年、女性の受講者が急増中。わざわざ地方から受講しに来る人もいるのだとか。 「書く方も読む方も、女性が増えてきているのは確かです。全体の5分の1は女性読者だという説も聞くほど。男が読むものなら、女も当然読むでしょう。むしろどんどん読むべき。女性が読んでも面白い官能小説はたくさんありますから。これから初めて手に取る女性には、カテゴリーでいえば恋愛系が入りやすいでしょうね。逆に勧められないのは絶倫系のもの。これは男性の身勝手な願望そのままですから(笑)」 では次ページからは女性読者にイチオシの作家&作品を具体的に教えてもらいましょう! |
ながた・もりひろ●1933年東京都生まれ。40年以上にわたって官能小説の研究・評論を続けているこの分野の第一人者。『ダ・カーポ』創刊からの名物コラム「くらいまっくす」を休刊までの26年間担当。著書に『官能小説用語表現辞典』(ちくま文庫)『官能小説の奥義』(集英社新書)など。 永田守弘/ちくま新書 多種多様なジャンルが咲き乱れる官能小説の世界は、どのように形成され、成熟していったのか? 戦後の官能小説史を丹念にたどり、各時代の流行や深化する表現技法などを紹介する。官能小説ビギナーでもわかりやすい入門ガイド。 「桃色のチーズ」とは何の比喩でしょう? →答えは4Pへ |