TVアニメ放送中!『アリスと蔵六』原作者・今井哲也インタビュー

不思議な力を持つ少女×頑固じいさんの物語『アリスと蔵六』が今、大きな注目を集めている。2013年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を獲得した超実力派作品で、この4月にはTVアニメもスタートした。SFで、家族と愛の物語。ストーリーが進むごとに、その世界観は魅力を増す。創作の秘密を、作者・今井哲也さんにインタビュー!
★インタビュー全文は雑誌『ダ・ヴィンチ』5月号(4/6発売)に掲載されます。

 花屋を営む蔵六の前に、不思議な力を持つ少女・紗名が現れた。“研究所”を脱走して、初めて“外の世界”に出たという彼女は、「想像したことをすべて具現化できる」能力の持ち主だった。紗名は、蔵六と彼の孫の早苗と暮らしながら、家族と友達、そして人というものを知る。やがて、二人の出会いは世界に大きな変容をもたらし始める。
 
いまい・てつや●1983年、千葉県船橋市生まれ。2008年デビュー。12年より『COMICリュウ』で『アリスと蔵六』を連載中。13年に同作で第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞。他の代表作は『ハックス!』『ぼくらのよあけ』など。

 
 2012年、『アリスと蔵六』は極めてスピーディーに始まった。
「雑誌に載せるつもりもなく、思い浮かんだアイデアを70ページくらいのネームにしていたんです。それが『アリスと蔵六』の1話目です。ちょうど今の担当編集者さんにお会いする機会がありまして、お見せしたら、〈ぜひうちの『COMICリュウ』で連載してください!〉と。ほぼ準備期間ゼロで、2カ月後には連載がスタートしていました(笑)」
 主人公は、不思議な力を持つ少女・紗名。“アリスの夢”と呼ばれる彼女には、“ワンダーランド”を作り出す力があった。想像したことをすべて具現化できる、途方もない能力だ。ほとんど最初のネームの通りという1話目では、“研究所”を脱走した紗名と、「曲がったことが大嫌い」が口癖の頑固じいさん・蔵六との出会いが描かれる。初めて“外の世界”に出た彼女は、戸籍も持たず普通の暮らしも人との関わりも何も知らない。花屋を営む蔵六と彼の孫の早苗と暮らしながら、“家族”に触れ、“人間”として成長していく。
「まったく話のストックがない状態で始まって、毎回必死で考えながら続けてきました。難産の連続で、一度もすんなりできたことがありません。締め切り前は、〈描けない、描けない〉って唸ってます(笑)。紗名の成長物語という方向性は、そういう中でいつの間にか自然に前面に出てきましたね」
 

藤子・F・不二雄から生まれた物語

 毎回唸っているとは信じられないほど、『アリスと蔵六』の物語は自在に拡大し、つねに読者に新鮮な驚きを与え続ける。家族愛、友情の芽生え、「人間とは、世界とは何か?」を問うハードSF的テーマ。その多彩な魅力は連載初期から高い評価を得て、13年には文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞した。
 今井さんは08年にマンガ家デビュー。『アリスと蔵六』には、今井さんの足跡、これまで培ってきた知識と興味のあらゆる側面が注ぎ込まれているように思う。
 まず今井さんは、あの赤松健さんも所属した名門・中央大学アニメーション研究会出身だ。
「美少女アニメの超能力バトルみたいな感じをやりたいと思いました。紗名は僕の好みの塊です。昔から、金髪の気の強いキャラが好きなんですよね。『ローゼンメイデン』の真紅や『ハヤテのごとく!』の三千院ナギ。最近では『ガールズ&パンツァー』のカチューシャ。〈今井さん、またですか〉って言われちゃう(笑)。アニメを観始めたのは、アニ研に入ってから。アニメやギャルゲーに恐ろしく詳しい濃い人たちの集まりで、ずいぶん鍛えられました」
 そこにマンガだからできる演出をふんだんに加えている。
「マンガらしいポップさ、外連味を意識しています。例えば、『おれは曲がったことが大嫌いなんだ』っていう蔵六の口癖、紗名たちの語尾、デフォルメ顔など。物語構成も、第1部、第2部と分けていて、これも『少年ジャンプ』の“〇〇編”みたいなのがやってみたかったから。それぞれがキャラの回想の形なんですが、それは映画『スタンド・バイ・ミー』のようなイメージです。子どもの話に、大人になった登場人物のナレーションが挿入される。その雰囲気が好きなんですよね」
 もう一つ、非常に重要なのが藤子・F・不二雄の影響だ。
「小さい頃から、とにかく藤子・F先生が大好きでした。マンガ家になりたいと思ったのも先生がきっかけです。一番好きなのは『T・Pぼん』。先生はSF作家であり、歴史にも造詣が深い。それが最大限に発揮された作品だと思います。SFは、“子どもは親から生まれる”といった常識を覆します。その面白さを初めて教えてくれたのが先生で、それが『アリスと蔵六』につながっています」(つづく)

 『アリスと蔵六』の魅力は、紗名が成長する過程でみせる内面描写にも表れる。その背景にはやはり藤子・F・不二雄先生の影響がある。話は、紗名が作り出した“ワンダーランド”の創造性から、SFという世界で、紗名が見出そうとする「核となるもの」にまで及んでいく。現在7巻まで発売中の『アリスと蔵六』。好評放送中のTVアニメとともに楽しんでみては?

 ダ・ヴィンチニュースでは、『アリスと蔵六』オープニング主題歌を担当するORESAMAのぽん(Vo)さんと小島英也(programing,G)さんをインタビュー。『アリスと蔵六』の魅力や、OP曲『ワンダードライブ』に込めた思い、お二人についてを伺いました。インタビュー記事は近日公開です。こちらもお見逃しなく!

 

アニメ『アリスと蔵六』好評放送中!

    アリスと蔵六_アニメカット1

『アリスと蔵六』のTVアニメが、ついに4月2日よりスタート! ファンの間でも期待が高まり、その完成度には今井哲也さん自身が太鼓判を押す。気になるアニメ情報を、いち早くご紹介!

 原作を手がけた今井哲也さんは、文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞など高い評価を受けつつも、実はずっと作品に不安を抱えていたという。
「いつもネームに苦労していたこともあって、なかなか自信が持てませんでした。でも、アニメ化のお話をいただいて、スタッフやキャストの皆さんが“ガチにすごい”方ばかり。それでようやく、『アリスと蔵六』はこれでいいんだと思えるようになりました」
 脚本には今井さんの意見もしっかり反映され、アニメの完成度については、「すごいとしか言えない。このシーンはこうすればよかったのか!と思ったところがいっぱいあります」と手放しで絶賛。
 監督は『ふらいんぐうぃっち』などの桜美かつしが担当。気になるキャストは、紗名役は『SHIROBAKO』『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思ってた?』などの大和田仁美、蔵六役は超ベテランの大塚明夫だ。今井さんは、「声のイメージはなく描いていたが、お二人が正解以上をくださった」と、やはり大絶賛。ファンの間では、「紗名の生意気っぷりが観たい!」「蔵六の〈おれは曲がったことが大嫌いだ〉が聞きたい!」と大いに期待が高まっている。能力バトルや“ワンダーランド”もどう描かれるのか。アニメで物語られる『アリスと蔵六』をぜひ楽しみにしたい。

    アリスと蔵六_登場人物

TVアニメ『アリスと蔵六』
原作/今井哲也(徳間書店『月刊COMICリュウ』連載)
監督/桜美かつし シリーズ構成/髙山文彦 キャラクターデザイン/岩倉和憲 音楽/TO-MAS 出演/大和田仁美、大塚明夫、豊崎愛生ほか
TOKYO MXほかで毎週日曜22:30より放送中
公式サイト/http://www.alicetozouroku.com/ 公式Twitter/@alicetozouroku

アニメ『アリスと蔵六』BD発売決定!
Blu-ray Box [特装限定版](全2巻)
1巻/1万9000円(税別)7月28日発売予定
Blu-ray [通常版](全6巻)
1巻/7000円(税別)7月28日発売予定

取材・文(インタビュー部分)=松井美緒



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