前田公輝さんが選んだ1冊は?「肩の力が抜けた自分に重なったのは超サイヤ人、最強の形態でした」

あの人と本の話 and more

公開日:2022/10/8

前田公輝さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、前田公輝さん。

(取材・文=河村道子 写真=山口宏之)

 連続テレビ小説『ちむどんどん』で演じた“智ニーニー”のあの爽やかな笑顔のままに「『ドラゴンボール』は、もはや趣味です」と語る前田さん。

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「自分のなかでは“読む”というフェーズからもう脱していると思っています(笑)。ハマり始めた小学生の頃から幾度ページを繰ったかわからない。ドラゴンボールの夢と冒険の世界を身近に感じながら、僕は大人になってきました」

 最大の魅力は「落ち込んだときも、悩んでいるときも無心で楽しむことができること」という。

「没入できる戦闘シーン、圧倒的なビジュアルで描かれるシンプルなストーリーは、ハッピーエンドが約束されているから安心できるんです。そしてそのなかで気付きも与えてくれる。少し前、“役者を続けていく中で、外に出す自分ってどれが正解なんだろう?”と迷ってしまったことがあったんです。そのとき、悟空の超サイヤ人への進化形態を思い出して。様々な形態に進化していく悟空の、最強の形はすべてが削ぎ落されたもの。僕自身も“自分の中のアクが抜けてきた”と感じた瞬間、すごくフラットな気持ちになり、自分が一番、心地いいと思える形が見えてきた。進化を遂げていった悟空と共鳴したような感覚になりました」

 セカンド写真集『ちゅらたび』は、まさにその迷いを抜けた頃の、前田さんの“心地いい!”が凝縮されている。朝ドラの舞台となった沖縄でプライベート旅をコンセプトにした一冊は一緒に旅をしている気分になる。

「僕が自由であればあるほど、写真集を見てくださる方との距離感が縮まると思ったので、普段は外に出さない自分の中のものを、沖縄という土地から受け取ったパワー、エネルギーに委ねながら、撮影時は、自由に、素直に、出していきました」

 古民家で三線を弾いたり、海辺で波と戯れたり、シーサー作りに夢中になったり……。鮮やかな陽光とゆったり巡る時間の中、これまで見たことのない前田公輝の表情が次々と現れる。

「“自分って、こんな無邪気な顔するんだ”という表情もあって。撮影はちょうど30代に入った時期だったのですが、照れるくらいあどけないその表情からは、少年の頃の自分が、ぐるっとひと周りして戻ってきたような感じで、“あぁ、肩の力が抜けたんだな”と思いました。そんな心地よさを共有しながら、この一冊に流れる気持ちいい時間を、僕と一緒に旅していただけたら」

スタイリスト:千葉 良(AVGVST) ヘアメイク:松田蓉子

まえだ・ごうき●1991年、神奈川県生まれ。6歳でデビューし、『天才てれびくんMAX』にレギュラー出演。2008年『ひぐらしのなく頃に』で映画初主演。出演作に映画『HiGH&LOW THE WORST』、ドラマ『貴族誕生 -PRINCE OF LEGEND-』『ちむどんどん』など。映画『HiGH&LOW THE WORST X』が公開中。

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前田公輝2nd写真集『ちゅらたび』

前田公輝2nd写真集『ちゅらたび』

本多晃子:撮影 ワニブックス 3080円(税込)
念願の出演だったという朝ドラの舞台であり、以前から馴染みある沖縄で全編撮り下ろしした一冊に流れる心地の良い旅時間――。プライベート旅をコンセプトにした写真集からは、本人すらも意外に感じたという“素顔”が見えてくる。自身のブランド「GM」の服を着たショットも登場するファッション性と「声が届くような距離感」で構成された一冊には30代となった自身の心境を語るインタビューも!