生田絵梨花「フラットな人になりたい」『かいけつゾロリ』で本格的に声優に挑戦!

エンタメ

公開日:2022/12/9

 現在71巻まで刊行されており、その累計発行部数はなんと3500万部を突破。全国の小学生たちに愛されているロングセラー児童書「かいけつゾロリ」シリーズが、この冬、『映画かいけつゾロリ ラララ♪スターたんじょう』として、映画館にやって来る。ベースになるのは2019年に発売された『かいけつゾロリ スターたんじょう』。歌手を夢見る引っ込み思案な女の子・ヒポポを、ゾロリやイシシ、ノシシ、妖怪たちがサポートしていく、痛快なサクセスストーリーだ。

 その劇場版になんと、生田絵梨花さんが特別出演する。演じるのはストーリーのキーパーソンとなるヒポポ! しかも劇中では歌声も披露することが決まり、公開前から注目を集めている。

 期待大の『映画 かいけつゾロリ ラララ♪スターたんじょう』12月9日公開を前に、生田さんに胸の内をうかがった。

(取材・文=イガラシダイ 撮影=干川修)

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小学生の頃、愛読していた「ゾロリ」に出られるなんて!

――出演のオファーを受けたとき、どんなお気持ちでしたか?

生田絵梨花さん(以下、生田):小学生の頃、『かいけつゾロリ』を愛読していたので、大人になってこういう形で関われるなんて感激しました。当時、学校の図書室で借りていて、ほぼ全巻読んでいたと思います。ゾロリがいろんな場所を舞台に冒険を繰り広げるのが好きで、子どもながらに好奇心を掻き立てられました。それに子分のイシシやノシシも可愛くて。どんどん読み進めたくなる魅力に溢れた作品ですよね。

――映画は『かいけつゾロリ スターたんじょう』が原作になっています。

生田:小さな子はもちろんですが、大人にも響くところがあるストーリーですよね。

――生田さんは劇中でヒポポというカバの少女を演じますね。

生田:ヒポポちゃんは歌手を目指している女の子で、歌唱シーンもあるんです。そこは普段のわたしがやっていることを活かせたんじゃないかな、と思います。それと、ヒポポちゃんは自分に自信がなくて。でもゾロリたちと出会って、少しずつ成長していくんです。その過程は共感しながら演じたので、みなさんにもそれが伝わるといいな。

――歌の力で一躍スターになっていくヒポポは、どこか生田さんと重なる部分があります。演じてみて、デビュー当時の自分自身を思い出すことはありましたか?

生田:乃木坂46のオーディションを受けたときの気持ちはもちろん思い出しましたし、それどころか今でもステージに立つとドキドキするので、ヒポポちゃんの気持ちはすごくわかります。

――ヒポポというキャラクターとして歌うシーンはやはり難しかったですか?

生田:ただ歌えばいいわけじゃなくて、歌声にヒポポちゃんの成長が重なっていくことをすごく意識したんです。劇中では何曲か披露していますが、最初のほうは声が細くて途切れ途切れになる感じで。でも(劇中に登場する)妖怪さんたちと修業しながら歌うシーンでは、もう歌声にならないくらい叫んでいたりする。そうやって紆余曲折あった結果、ヒポポちゃんはみんなの思いを背負って、それを歌で伝えられるようになっていく。その成長を常に意識していました。

――“生田絵梨花”として歌うのとは、また違った感覚なんでしょうか?

生田:もちろん、わたし自身の感覚を通した表現に違いはないんです。ただ歌っているときは、自分をヒポポちゃんだと思い込むようにしていました。彼女と同一化するような感覚ですね。

ステージに立ったときの緊張感や覚悟を表現できました

――“声優”として声の発し方などに苦労することはありましたか?

生田:最初はキャラクターを作り込んだほうがいいのかなと思ったんです。でも、「そのままの声を活かして演じてほしい」と言われたので、あまり作り込みすぎないようにしました。でも、明らかに生田絵梨花が喋っているとわかってしまうと、観ている方が夢から醒めちゃうじゃないですか。なので作り込みすぎず、でもヒポポちゃんが可愛く見えるように、と微妙な塩梅を探りながら演じました。

――ゾロリ役の山寺宏一さんをはじめ、共演者は第一線で活躍する声優さんばかりですよね。

生田:わたしが収録する段階では、山寺さんはすでに収録を終えていたんです。なので、画面の向こうで話すゾロリに合わせて、わたしも声を吹き込んでいったんですが、ゾロリが本当に生きているような感覚になっちゃって。他の声優さんも含め、お芝居の臨場感がとにかくすごかった。それに乗り遅れないように必死に食らいついていったので、みなさんの声に引っ張ってもらったようなものです。

――他の声優さんたちから盗みたい、学びたいと思った技術はありましたか?

生田:現場に立つと、台本に書かれていない声もあててみてほしいと言われるんです。たとえば気がついたときの声とか、ため息とか、キャラクターがリアクションしたときのちょっとした声ですね。そのレパートリーが、みなさん豊富で。わたしも今後はそこを増やしていきたいな、と思いました。

 そもそも今回は、基本的なことを勉強しながら声優にチャレンジさせてもらったんです。「もう少し明るめに表現してほしい」と言われたら、少し離れた場所にいる人に向かって話すイメージで発声してみる。そんなふうに対象物を設定して発声するという考え方は非常に勉強になりました。小手先でなんとかするのではなく、きちんと技術を学んで、今後につなげていきたいですね。

――逆に、アイドルやドラマ、ミュージカルの世界で学んだことが、声優のお仕事に役立つこともあったのではないでしょうか。

生田:そうですね! それはすべて役立ったと思います。特にヒポポちゃんがステージに立って歌うシーン。わたしも結構ステージに立ってきたので、彼女が抱える緊張感や決意、勇気などはリアルに表現できたんじゃないかな、と。レコーディングブースにはわたしひとりしかいなかったんですけど、身をもって体感してきたことを再現するように、ヒポポちゃんを演じられたと思います。

――今回のチャレンジを経て、またひとつ成長できましたか?

生田:今回、メインキャラクターの声優を任せていただいたことで、声にさまざまなニュアンスを乗せることの大切さを再認識できました。それはミュージカルのお仕事なんかに活かせるような気がします。ドラマだと役者の顔にカメラが寄るけれど、舞台上ではそうもいかない。すると客席によっては、役者の表情が見えづらいこともありますよね。そんなとき、声色に表情を乗せられたら、たとえ顔が見えなくても感情を伝えられる。そんなふうに、声優のお仕事を通して学んだことは確実に役立つと思います。

――アイドルから女優になり、今回は声優と、お仕事の幅がどんどん広がっていますね。そんななかでも、「これだけは大切にしている!」というものがあったら教えてください。

生田:自分も相手も“人間”だということを、決して忘れないようにしています。忙しくなると対応が事務的になったり、いっぱいいっぱいになったりしますよね。でも、目の前にいる相手が人間であることを忘れないように心がけておくと、どんなに忙しくてイライラしていても、温かい気持ちを取り戻せるような気がするんです。

 その延長線にあると思うんですが、将来的には“フラットな人”になりたいと思っています。「すごいなぁ……」と感じる人ほど、どこか肩の力が抜けていて。それはきっと、さまざまな経験をしてきたからだと思いますし、フラットでいることで自分の能力を最大限に発揮しようとしているのだとも思います。そういう方々とご一緒する機会も多いので、わたしもいつかは“フラットな人”になれたらうれしいですね。

『映画かいけつゾロリ ラララ♪スターたんじょう』
12月9日(金)全国ロードショー

ゾロリがスターのたまごをプロデュース!?冒険×音楽エンタテインメント!
 いたずらの天才・ゾロリは、歌手をめざす女の子・ヒポポの歌声にひかれ、イシシとノシシと一緒のグループで売り出して、大もうけしようとたくらむ。目標は、1ヵ月後におこなわれる<次世代スターオーディション>に合格しデビューすること! しかしヒポポは、ある理由から、大きな声で歌えなくなっていた。作戦を思いついたゾロリは、仲間の妖怪たちに協力してもらいながら、ヒポポを特訓することに……。はたしてゾロリは、自信がない女の子をスターにできるのか!?歌があふれる、笑いと感動の物語。

原作:原ゆたか「かいけつゾロリ スターたんじょう」(ポプラ社刊)
監督:緒方隆秀 脚本:冨岡淳広 音楽:田中公平
声の出演:山寺宏一 愛河里花子 くまいもとこ 梶 裕貴 他
特別出演:生田絵梨花 霜降り明星(粗品 せいや)
アニメーション制作:BN Pictures、亜細亜堂 配給:東京テアトル
©2022 原ゆたか/ポプラ社,映画かいけつゾロリ製作委員会

公式HP:zorori-movie.jp 公式Twitter:@zorori_movie

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