生田絵梨花さんが選んだ1冊は?「大竹さんのように『まあいいか』と全てを受け止められる強さに憧れます」

あの人と本の話 and more

公開日:2022/12/14

生田絵梨花さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、生田絵梨花さん。

(取材・文=倉田モトキ 写真=TOWA)

「今、大竹さんとドラマで共演をさせていただいてまして。少しでも大竹さんが普段考えていることが覗ければ、と思って拝読しました」

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 生田さんが選んだ一冊は大竹しのぶの人気エッセイ。「お人柄が文体に表れていて、とても優しい気持ちになれました」と笑顔で感想を話す。

「仕事のことだけじゃなく、家族や友人との大切な時間も綴られていて。自分もこうしたバランスを持った生き方をしてみたいと思いました」

 誰もが認める大女優でありながら、飾らない日常風景は読み手に驚きと多幸感を与える。生田さんも同じだ。

「自分に似た一面を見つけると、『同じだ!』って嬉しくなって、ページの角を折ってます(笑)。そうかと思えば、舞台で役になりきるあまり、性別を超えた変化を身体に感じたというエピソードもあって。やはりすごい方なんだなと改めて感じました」

 そして何より心に突き刺さったもの。それはタイトルにもある、“まあいいか”という精神だそうだ。

「私は“こうじゃなきゃダメだ”とついマイナスな考えになってしまうんです。でも、まあいいかと考えられるようになれば気持ちも楽になり、思いがけない自分の感情に気づけるかもしれない。今の私の目標ですね」

 日本中を涙に包んだ感動作『Dr.コトー診療所』が16年ぶりに帰ってくる。それも初の劇場版として。この人気シリーズで生田さんは看護師・西野那美役を好演している。

「初登場の人物ですが、島で生まれ育ったという設定なんです。しかも、コトー先生や柴咲コウさん演じる彩佳から頼られている。きっと仕事も出来て、機転も利くでしょうから、そうした人物像が話し方や佇まいに現れればいいなと思って演じました」

 現場に入ると、想像以上にアットホームな雰囲気に安堵を覚えたそうだ。ところが、撮影になると一転。

「吉岡秀隆さんが、『手術を始めます』というセリフが上手く言えなくなったことがあったんです。後日、お話をうかがったところ、『自分にこの役が演じられるのだろうか』という重圧を感じていたそうで。その姿を見て、皆さんがどれだけこの作品を背負い、向き合っているのだろうかと、改めて背筋が伸びる思いでした。今作では島や島民にさまざまな危機が訪れ、それでもすべてのことをあきらめない強い思いが詰まっています。生きるということ、そして命を守るということの意味が、皆さんの心に少しでも届けばいいなと思っています」

ヘアメイク:富永智子 スタイリング:有本祐輔(7回の裏)

いくた・えりか●1997年1月22日生まれ、ドイツ・デュッセルドルフ出身。2021年に乃木坂46を卒業。現在、舞台・映像で活躍中。主な出演作に映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』、ドラマ『オールドルーキー』、『PICU 小児集中治療室』など。2023年1月よりミュージカル『MEAN GIRLS』で主演を務める。

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映画『Dr.コトー診療所』

映画『Dr.コトー診療所』

原作:山田貴敏(『Dr.コトー診療所』/小学館) 脚本:吉田紀子 監督:中江 功 出演:吉岡秀隆、柴咲コウ、時任三郎、大塚寧々、髙橋海人(King & Prince)、生田絵梨花、大森南朋、泉谷しげる、筧 利夫、小林 薫ほか 12月16日(金)より全国ロードショー
●本土から遠く離れた志木那島で五島健助=コトーは長年、島民の健康を支えてきた。妻の彩佳や看護師・那美、そして研修でやってきた新米医師の織田判斗らで診療所を切り盛りしてきたが、やがてコトーに島を出て拠点病院で働かないかとの打診が入る。
(c)山田貴敏 (c)2022 映画「Dr.コトー診療所」製作委員会