長谷川博己「それぞれの経験値が深みとなり、スクリーンに現れています」

あの人と本の話 and more

2013/1/17

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、映画『鈴木先生』主演の長谷川博己さん。映画への熱い想いを語ってくれた。

「試写を観た途端、あふれてきたのは
“ついに映画化まで来たんだ”という、
感動以上の気持ちでした。
つくり手の持てる力をすべて注いできた
ドラマ作品からの集大成がやっと完成したんだなって」

 けれど、それはけっして延長線上ではない。「ドラマ終了後から得てきたそれぞれの“経験値”が加わっていた」と、鈴木先生の顔になり、うれしそうに語る長谷川さん。

「特に生徒役の子たちには成長を感じました。
映画化はないと言われていたので、
この1年、それぞれが別の場所で気持ちを切り替え、
新たな役を演じていたんですよね。
それを全部経験値にし、戻ってきたのではなく、
挑みに来ていた。
僕自身も、スクリーンの中の自分を
“前よりしっかりしてきたな”と観ていました」

 さまざまな舞台で、みずからの経験値を次々と上げている長谷川さんだが、今回、挙げてくれた1冊『カオスの神、園子温』の、園監督との仕事もそのひとつ。みずから監督に交渉し、出演した映画『地獄でなぜ悪い』は、3月に公開予定だ。

「どんどん自分の内側に
問いかけていくような芝居がしてみたかった。
園監督作品は、それができる場所だと思ったんです。
この本は撮影現場での体験と
照らしながら読めたことからも、
まるで奇術師のように謎の多い監督の実像に
近づけたような気がしました」

(取材・文=河村道子 写真=山口宏之)
 

長谷川博己

はせがわ・ひろき●1977年、東京都生まれ。『BENT』で初舞台を踏み、蜷川幸雄演出『カリギュラ』など多数の舞台に出演。ドラマ『セカンド・バージン』『家政婦のミタ』などで話題に。NHK大河ドラマ『八重の桜』に八重の最初の夫・川崎尚之助役で出演中。園子温監督作品、映画『地獄でなぜ悪い』が公開待機中。
ヘアメイク=横山雷志郎 スタイリスト=中村 剛 衣装協力=ニット 6万8250円(MARNI/マルニジャパン TEL03-6416-1024)

 

紙『カオスの神、園子温』

ダリオ・トマージ、フランコ・ピコッロ/編 丸山圭子/訳 フィルムアート社 2415円

現代日本の家族、機能不全の人間関係……園子温の映画を考えることで、時代の側面が見えてくる――ヴェネチア、トリノ映画祭で絶賛したイタリア評論家たちによる批評の邦訳書。デビュー作から最新作『希望の国』までのレビュー、本人へのインタビューとさまざまな角度から、世界が見る鬼才と日本を照射する。

※長谷川博己さんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ2月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

映画『鈴木先生』

原作/『鈴木先生』武富健治(双葉社『漫画アクション』連載) 監督/河合勇人 脚本/古沢良太 出演/長谷川博己、臼田あさ美、土屋太鳳、風間俊介、田畑智子、他 共同配給/角川書店、テレビ東京 全国ロードショー公開中
●鈴木学級の女生徒・小川蘇美が人質にとられるという、緋桜山中学史上最悪の事件が発生! 鈴木先生は、生徒たちはどう立ち向かうのか?
(c) 2013映画「鈴木先生」製作委員会