Cover Model 堺 雅人 2011年8月号

Cover Model 紹介

更新日:2013/10/11

Cover Model 堺 雅人

考え続け、揺れ続ける。
僕の役は、見ていてモヤモヤします(笑)

advertisement

この夏公開の主演映画『日輪の遺産』(浅田次郎原作)で、
マッカーサーの財宝を隠匿する密命を帯びる陸軍少佐・真柴司郎を演じている堺雅人さん。
敗戦色が濃くなった日本にあって、その財宝は祖国復興を託した軍資金だった。
突然の重大任務に驚き、戸惑いながらも、その遂行のために奔走する真柴だったが……。
「当惑する軍人、というんでしょうか。そんなイメージは撮影に入る前からありましたね。
あるいは、生活者としての軍人。汗をかく軍人。
リアルな、普通の人としての軍人を、ここで僕は演じることになるのではないかなと。
というのも、今までの戦争モノって、圧倒的な被害者か、
圧倒的な加害者を描くことが多いような気がしていて。
でも、当時のリアルな軍人は、その真ん中に大多数がいたはずだと思うんです。
戦争肯定か反対か、どちらかに立ったほうが、すごくラクなんですよ。
でも、真柴はそれをしない。考えるべき時は自分で考え、惑うんです」
自分が信じているものは、本当か? 惑い震えながらも問いを止めない真柴の姿は、
「二度目の敗戦」とも称される3・11の大震災を経験した今、
求められるヒーロー像なのではないか。

そんな堺 雅人さんが選んだ本は——

『ぼくは落ち着きがない』
『ぼくは落ち着きがない』
長嶋 有
光文社文庫 500円

芥川賞&大江賞作家・長嶋有が初挑戦した青春学園小説。図書室の奥、ベニヤで仕切られた書庫が部室の図書部。図書委員会ともまた違う独立組織を選んだ部員数名は、今どきアナログな貸出カードによる図書室業務をこなしながら、部室でまったりと時間を過ごす。――実は堺さん、本作の文庫版で巻末解説を執筆している。長嶋作品のテーマと、俳優としてのリアリティとが反応し合う、実に見事な文芸評論なのだ。
「お恥ずかしいっ(笑)。初めて解説というものを書いてみたので、非常に嬉しいです、そう言っていただけると。この小説は、ちっちゃな部室のちっちゃな流行を、丁寧に丁寧に書いているんですね。そして、登場人物一人一人が手探りで、七転八倒しながら自分なりの生き方を模索している姿を追い掛けている。それがちっとも、説教臭くないというのが素晴らしい!」(堺 雅人 談)