海外22カ国で翻訳、20世紀FOXが映画化権取得! 『シャッター ミー』タヘラ・マフィ インタビュー

新刊著者インタビュー

更新日:2013/12/4

デビュー作で世界を席巻したタヘラ・マフィ
その人物像と作品に込めた思いとは?

 1カ月に100冊も本を読むほど活字好きというタヘラ・マフィ。大学時代には人類学、哲学、文学などの古典に親しんできたというが、『ハリー・ポッター』をはじめとするファンタジーも好んで読んできたようだ。「人生はひどくどん底な状況になり得るし、自分自身を惨めに感じ、幻滅することもある。一方、ファンタジーは私たちの心が強く求めているものを与えてくれる」と、ウォールストリートジャーナルに寄せたエッセイに綴っている。

 また、インタビューで「どんなときでも私が興味を持つのは人物の性格」「人間性を探究するのが大好き」と答えているように、『シャッター ミー』の人物造形も彫りが深い。例えば、悪役でありながらユニークな面も併せ持つウォーナーについて、「彼はすごく人間的だから私の興味を惹きつける」「人間だれしも完璧な良い人、悪い人になれない」「彼は多くの悪役と同じように苦しんできたんだと思います。彼もまた人間です。彼には心があるし、良心だってあります。冷酷な悪役を嫌うことは非常に簡単なことですが、滅ぼすこともとても簡単です。しかし、同情できる悪役というのが、最も打ち勝つのが難しい」と彼女。

 ジュリエットとアダムの至高の愛と同じぐらい、この作品のひとつの読みどころとなるジュリエットとウォーナーの関係については、「それは私たち人間の選択の問題。自分をどう定義するかというポイントだと思う」とも。

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 斬新な表現スタイルは、計画して書いたわけではなく、「突然頭の中で聞こえてきた少女の声をいろいろな決まりは忘れて感じるままに書いた」という。

「ジュリエットは完全に孤独で自分と戦っていた。物語の最初のほうは話すことさえ彼女には恐怖だったから、心の中の声と発する声の違いは彼女の不安を表していると思う。この本が自分の誇れる作品だと確信してきた」と語っているが、当初、エージェントはこの書き方を嫌い、出版までは紆余曲折あったようだ。しかし最後まで自分の意思を曲げなかった彼女の強い決断に、世界中の読者が共感を寄せたのだ。

構成・文=樺山美夏
 

海外ではすでに大反響!!

  • 『シャッター ミー』の初版は異例の17万5000部。海外22カ国で翻訳され、オーストラリアやフィリピンなどアメリカ以外の国でも次々とベストセラーに。サンパウロ、ストックホルム、オランダ、パリなど各地で開かれたサイン会にはファンが殺到した。ドバイやスウェーデンの街角や空港には『シャッター ミー』の大きなポスターが貼られ、ツアーグッズまで販売している国もあるほど世界中で大反響を呼んでいる。
     
    ①オランダの書店 
    ②フィリピンの書店 
    ③アメリカ最大の書店バーンズ&ノーブルでも大々的に展開されている『シャッター ミー』
     


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書店員から寄せられたコメント

  • 人はたいてい自分に自信を持ちたいし、肯定してもらいたいし、成長して自分を生かしたいと思っている。だからこの物語を応援したくなるのだと思う。
    ▲文教堂浜松町店 大浪由華子さん

    ロマンスと危険なスペクタクルを持った物語にたくさんの読者が虜になると思います。
    ▲丸善丸の内本店 三瓶ひとみさん

    “怪物”と恐れられ育った少女が、自分を取り戻して行動しはじめる物語は爽快、愉快、痛快の3拍子!!
    ▲啓文社岡山本店 副店長 丸尾英樹さん

  • めくるめくストーリーにハラハラドキドキ!! 絶望と孤独の中にいたジュリエットに差しのべられた道は果たして幸福へとつながっているのか? 独特の心情の描写法にも注目の作品。
    ▲宮脇書店総本店 亀石典子さん

    すべてが謎に包まれている序盤で想像を掻き立てられ、終盤では途方もなく広がった世界でめまぐるしい展開となりハイスピードで読み終えてしまいました。続編が待ち遠しい。
    ▲ブックポート203大和店 店長 成川 真さん

 

7月5日発売(予定)

アダムとジュリエットが辿り着いたのは、抵抗活動グループの本拠地「オメガポイント」。そこで出会った人々もまたさまざまな能力を持ち、ジュリエットは少しずつ仲間意識にめざめていく。しかし再建党は仲間を人質にとり、ある要求をつきつけてきた。もはや戦いは避けられない状況で覚悟を決めるジュリエットと仲間たちだったが、敵はこちらの想像をはるかに超える残虐な作戦を練っていた──。