宅間孝行「映画、舞台、そして原作小説を手がけた『くちづけ』。それぞれの特性に合わせて作品を再構築」

あの人と本の話 and more

更新日:2014/5/2

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。5月25日公開の映画『くちづけ』は、グループホームで暮らす知的障害を持つ娘とその娘を全力で守ってきた父親の物語。キーマンとなる役どころを演じたほか、原作小説、脚本を手がけた宅間孝行さんが持つ、舞台、映画そして小説へのこだわりとは?

 映画『くちづけ』は、宅間孝行さんが主宰し、昨年惜しまれつつも解散した劇団「東京セレソンデラックス」で上演した作品を映画化したものだ。

「僕にとって、映画、舞台、そして原作小説は、
それぞれ全く別のものなんです。
同じ物語がもとになっていたとしても、
描くポイントはそれぞれ違ってくる。
僕の場合、舞台は
ワンセットでの上演にこだわりがあるので、
その範囲内で動かすことのできる
ドラマに絞り込みます。
映画は2時間程度のエンターテインメントという
縛りのなかで自由に場面を動かせますし、
小説はさらにいろいろと書き込める。
それぞれの媒体の特徴を生かして
再構築するのが僕の仕事でした」

 今回の映画ではかなり舞台的な撮り方がされていますね。

「それは堤幸彦監督の意向ですね。
提さんが、『僕は芝居を観て感動したのだから』
とおっしゃって、
舞台をそのまま映画にする感じで撮ったのですが、
映画ならでは表現も随所にあって、
僕としては最高の映画になったと思います」

 一方、原作小説(『くちづけ』幻冬舎刊)では、舞台や映画では多くは語られなかった登場人物たちの過去やホームでのエピソードなども書き込まれている。

「映画の内容や流れをそのまま文章にした
小説にはしたくなかったんです。
ですので、ワンセットの構成では
描き切れないところを小説で表現しました。
映画を見てくださった方は
より楽しめる内容になっていると思いますよ」

(取材・文=門賀美央子 写真=川口宗道)
 

宅間孝行

たくま・たかゆき●1970年、東京都生まれ。97年に劇団「東京セレソン」(後に「東京セレソンデラックス」)を旗揚げ。その後、テレビドラマや映画にも進出。脚本を手がけた「花より男子」シリーズが大ヒット。2008年には『同窓会』で映画監督デビュー。4月クールのドラマ『間違われちゃった男』では、脚本・監督を務める。

 

紙『空飛ぶタイヤ』(上・下)

池井戸 潤 講談社文庫 各680円

走行中の大型トレーラーからタイヤが脱落し、歩行者の母子を直撃した。トラックメーカーのホープ自動車が、運送会社の整備不良が原因と結論づけたため、世間は社長の赤松を責める。だが、赤松は疑っていた。原因は車両そのものの欠陥ではないかと。大企業の論理に闘いを挑む男に勝ち目はあるのか。

※宅間孝行さんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ6月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

映画『くちづけ』

原作・脚本/宅間孝行 監督/堤 幸彦 出演/貫地谷しほり、竹中直人、宅間孝行 配給/東映 5月25日(土)全国ロードショー
●知的障害者が集団で生活するひまわり荘にやってきた、マコと父親の元人気漫画家・愛情いっぽん。心が7歳で止まったままのマコはある事件が原因で男性を怖がっていたが、ひまわり荘の仲間には次第に心を開いていく。ついには仲良しのうーやんと結婚すると言い出すほど。安定した生活に幸せを感じる父娘だったが、いっぽんに病気が見つかって……。
(c)2013「くちづけ」製作委員会