宮藤官九郎「10代のころ、『ザ・ベストテン』に出ることになったらどうしようって本気で妄想してました」

あの人と本の話 and more

2013/5/7

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、監督最新作『中学生円山』の公開が控える宮藤官九郎さん。本の紹介をしていたはずが、いつしか妄想トークへ。その会話の妙は、まさに宮藤官九郎ワールドを彷彿とさせるものだった。

 本誌で宮藤さんが紹介してくれた書籍『ザ・ベストテン』。その出会いは偶然だったそうだ。

「NHKの『あまちゃん』の脚本を書くにあたって
80年代のアイドルを調べようと思ったら、
ちょうど本が出たばかりで
書店に並んでいたんですよ。
で、買って読んでみたら仕事に関係なく
読み耽ってしまいました(笑)」

 世界中から中継したり、ヘリで空撮をしたり、今では普通に行われている撮影方法も、当時は前代未聞のことばかり。到底、音楽番組とは思えないその演出エピソードの一つひとつに感銘を受け、気がつけば最後まで一気に読んでいたという。この日の取材中も、宮藤さんは片時も本から手を放さなかった。

「一番夢中になったのは巻末に掲載されている
全部の放送のランキングデータ。
デビューしたばかりの松田聖子さんと、
引退する間際の山口百恵さんが
共演していることに感動したり、
『あぁ、この寺尾聡さんの歌が3曲同時に
ランクインしてた放送は観てたなぁ』
って懐かしんだり。
いろんな思い出が甦ってきてはYouTubeで、
その時の歌を聞いたりしてました。
もうね、これ1冊あれば、
いくらでも時間が潰せます。
………って、今も、本に夢中になって、
完全に取材を忘れちゃってますね(笑)。
やばいやばい、ホント中毒性があるな、これ」

 宮藤さんいわく、「純粋にテレビや映画の裏側が好き」なんだそうだ。

「普通に見ているぶんには絶対に分からない仕掛けや
苦労話を知るのが大好きなんですよ。
だって気になりませんか? 
たとえば『3年B組金八先生』。
あれだけシリーズがあって、
たくさんの生徒役が出ているわけだから、
中には絶対、
『俺がメインの回も作ってくれよ!』って
不満を言ってるヤツがいると思うんです(笑)。
そういう暴露本が出たら
絶対に読んじゃうんだけどなぁ。
って、これも『中学生円山』じゃないけど、
結局は僕の『こんな裏側があったら面白いなぁ』
っていう妄想好きからきているんですけど。
ちなみに10代の頃、『ザ・ベストテン』に
自分がでることになったらどうしよう
っていう妄想もしましたよ。
その時は、できれば
最初はスポットライトのコーナーで出るのが
ベストだなっていう結論に落ち着きました(笑)」

(取材・文=倉田モトキ 撮影=かくたみほ)
 

宮藤官九郎

くどう・かんくろう●1970年、宮城県生まれ。90年より劇団「大人計画」に参加。俳優として活躍する一方で、ドラマや映画、コクーン歌舞伎の脚本も手がけ、2001年の映画『GO』では日本アカデミー賞最優秀脚本賞、04年の舞台『鈍獣』で岸田國士戯曲賞を受賞。またパンクコントバンド「グループ魂」ではギターを担当。

 

紙『ザ・ベストテン』

山田修爾 新潮文庫 620円

1978年に始まったランキング方式の音楽番組『ザ・ベストテン』。企画から参加し、ディレクター、プロデューサーを担当した著者が、さまざまな常識やタブーを打ち破り、いかにして人気番組に作り上げたかを回想した実録記。全放送回のランキングや、あとがきとして名司会を務めた黒柳徹子とのスペシャル対談も収録。

※宮藤官九郎さんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ6月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

映画『中学生円山』

監督・脚本/宮藤官九郎 出演/草彅 剛、平岡拓真、遠藤賢司、ヤン・イクチュン、坂井真紀、仲村トオルほか 配給/東映 5月18日(土)全国ロードショー 
●団地と学校を往復するだけが日常の円山(平岡)はエッチな目的を達成するための「自主トレ」を続けるうちに、限界まで背骨を曲げると妄想の世界へトリップしてしまうようになる。そんな彼の前に正体不明の男・下井(草彅)が引っ越してきて、円山はあらぬ妄想をしてしまう。
(c)2013「中学生円山」製作委員会