時給ワンコイン以下。現役アニメーターに待遇、社内恋愛などぶっちゃけて聞いてみた

アニメ部

2013/6/1


時給ワンコイン以下。現役アニメーターに待遇、社内恋愛などぶっちゃけて聞いてみた。

2013年春アニメ・最大のヒットはやはり『進撃の巨人』。ヒットの要因は数あれど、印象的なオープニングに劇場版並のハイクオリティーな作画がヒットの要因とも言われている。

そんな『進撃の巨人』だが、つい先日アニメ制作を担当しているWIT STUDIOのスタッフが現役のアニメーターを急遽募集するツイートをして話題になったばかり。

アニメーターと言えば、ネットでも待遇や労働環境の悪さが度々噂になる職種。さらに5月上旬には経済産業省がアニメーション制作業における「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」を策定し、同省のウェブサイトに公開するほど現場はいわばブラック企業も真っ青の劣悪な環境や、曖昧な商習慣が横行していると関係者からも指摘されている。

果たしてその噂は本当なのだろうか? 2人の現役アニメーターに匿名を条件に現場の実情を聞いた。

I君(男性・20代前半・業界歴2年)

――アニメーターを志したきっかけは?
アニメが好きだったからです。
絵も得意だったのでアニメーター選びました。

――ぶっちゃけ、待遇はどんな感じ?
基本給は12万円程度です。
プラスで歩合制ですね。
なんとか都内で一人暮らし出来る程度です。
贅沢は出来ないですけど。
業務委託で、社会保険は完備されています。

――待遇に満足してる?
世間から見たら満足出来ないです。
でもネットで見ている限り、業界の中ではまだマシなのかも。
「業務委託」という雇用形態は将来的に不安です。
労働時間もなんとかならないかなとは思っています。
10時間で今日は早く終わったな!って感じで、
平均すると一日14時間労働くらいしてますね。

――世間で噂されているアニメーターの待遇についてどう思う?
会社は本当にピンからキリまであるのでなんとも言えないです。
ウソではないと思うけど、大げさに言っているのは? と思える噂もあります。

Mさん(女性・20代後半・業界歴6年)

――アニメーターを志したきっかけは?
小さな頃からテレビっ子で。アニメを作る人になりたい!って漠然と思ってました。

――ぶっちゃけ、お給料は感じ?
引かれると思うのであまり言いたくないんですけど……基本給は8万円です。
プラスして歩合や見なし残業手当も支給されてますが、それでも、かなり厳しいです。
時給で換算したらワンコイン以下ですね(笑)
私は実家暮らしなんでなんとかやってますし、私の周りは実家暮らしの人ばかりですよ。

――少し話題は逸れるけど、社内恋愛はあるの?
女性が少ない会社なので、それなりにありますよ。
腐女子である事を隠さない私でもアプローチされます(笑)
同じ会社じゃなくても、同じアニメ業界の人同士のカップルも多いですね。
ただ、みんな結婚には慎重みたい。
男性は結婚しても、家族は養えないですからね。
不規則で拘束時間も長いから、女性は結婚したら辞めてます。
産休なんて夢ですよ(笑)

2人が共通して話すのは、噂されているほど悪くはないが良くもないとの事。
例え「基本給4万円」であってもそれに歩合がついたりと、なんとか人間的な生活は出来ると語っていた。 ただしあくまで「生活は出来る」レベル。
ひとり暮らしをしているI君は、「スーパーでは特売日を狙う!この商品の底値はこの値段!」と節約主婦のような思考になったそうだ。

2人に「転職は考えていないの?」と聞いたところ、「好きな仕事だから続けられるところまで続けたい」と同じ回答をくれた。
ただ、その「続けられるところ」はそう遠くはないかも……とも語ってくれた。

2人に話を聞いて、アニメーターは「好きな事なのだから、待遇が悪くても我慢すべき」という現場に負担を強いる図式が少なからず出来ており、彼らの夢や希望によって薄氷の上に危うく成立しているように感じた。

最近では、海外のアニメ制作会社に仕事が回ってしまう事も多いが、当然海外に制作依頼をすれば、日本で制作するよりもコストが抑えられる。ここからは想像だが、仮に日本のアニメーターが絶滅に瀕しても海外に発注すれば何とかなるという楽観した甘えが一部の関係者にあるのではないだろうか?

待遇改善の見込みもなく不安定な為、別業界に転職してしまう人も多いのだとか。
Mさんの先輩も高い技術を持っていたのに、待遇面で満足出来ずに今は別業界にいる。

せっかく志も技術もある若者が、アニメ業界から離れてしまう事は非常にもったいない。

政府もクールジャパンを推進するのであれば、まずは日本のアニメーターの雇用待遇改善をさらに踏み込んで実施して欲しいものだ。

<参考資料・経済産業省>
アニメーション制作業下請取引ガイドライン

(取材・文=shioko)

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