『東京レイヴンズ』あざの耕平氏インタビュー【原作編】

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更新日:2014/4/11


『東京レイヴンズ』あざの耕平氏インタビュー【原作編】

▲TOP画像は既刊の1巻から3巻。現在9巻まで好評発売中。

 学園異能バトル×陰陽道をモチーフにしたライトノベル『東京レイヴンズ』(富士見ファンタジア文庫)。その原作者である「あざの耕平」さんに、前回はアニメ化について語ってもらいました。今回も引き続き、声優の養成所に通う高野麻里佳(こうのまりか)がおもに原作について聞いてみます。

――『東京レイヴンズ』を書くにあたって、影響を受けた作品はありますか?

あざの:とっさに出てくるのは、荒俣宏さんの『帝都物語』などでしょうか。実はマンガの『機動警察パトレイバー』にも影響を受けています。

――『パトレイバー』は意外です。

あざの:現代社会にひとつだけ違うものが混じっている世界観などで影響を受けています。『パトレイバー』は二足歩行型ロボットを警視庁が使っている世界ですが、そうした設定が初めて読んだ時から面白くって。『東京レイヴンズ』も呪術という要素が官公庁に組み込まれた世界ですからね。また陰陽師は平安時代には貴族に仕えていたので、公務員みたいな立場の人なんですよ。そうなると現代の陰陽師は国家公務員みたいにしたら面白いだろうな、と。そういった点でも『パトレイバー』には似ていますね。


――陰陽師ものにしようと思った理由はありますか?

あざの:大きくふたつあります。ひとつは当時、私が和の雰囲気に惹かれていたので和風の世界が書きたかったこと。もうひとつは前に書いていたシリーズが吸血鬼の話で、基本が剣戟だったんです。なので次は魔術でのバトルをメインにやろう、と。そのふたつを考えた結果、陰陽師を書くことになりました。

――元々、陰陽師は好きだったのですか?

あざの:特別好きだったというわけではありません。ただ書くにあたって色々と調べたり、取材に行ったりしているうちに、強く興味が湧いてきましたね。

――お気に入りのキャラクターを教えてください。

あざの:基本的にみんな好きですけど、最近だと天馬です。主要キャラでは一番地味で平凡で目立たなくって。特にひねったことを言わせる必要がなく、率直な反応を素直に書けばいいので書きやすいというのもありますね。“日常もの”というジャンルもありますが、私が書いているのは活劇なのでどうしても才能のある人や運命に翻弄される人が中心になります。その分、周囲にいる普通の人達の日常、普通の反応が重要だと思うんです。それがないとうそ臭くなりますし。そういう意味でも大事に書いてきたキャラクターですね。


――主人公の春虎(はるとら)にはどんな思い入れがありますか。

あざの:すごく書いてみたかったキャラクターでしたね。今までに書いてきた主人公は最初から強くてひねくれている人が多かったんです。なので真正直な熱血バカが成長する物語を一回書いてみたいと思って、春虎が生まれました。

――夏目や北斗といったヒロインもかわいいですね。

あざの:今回は弱い主人公の成長物語という王道の話になるので、どうしても1巻は地味になるなと思って。その分ヒロインには力を入れました。また、ほかの部分で読者の興味を引こうと思って、1巻の最後に少し驚かすために北斗というキャラを配置したんです。そのせいで、1巻は1回全部ボツにして書き直しました(笑)。

――どの辺りが変わったのでしょうか?

あざの:たとえば北斗が男でしたね。逆に、今の冬児みたいなブレーキ役の親友ポジションにお姉さんタイプの女キャラがいて。ただ、担当さんから「北斗を女にしたほうが擬似的な三角関係になって、読者の興味を引けてあとの展開も面白くできるんじゃないか」と指摘を受けて変更しました。ほかにも鈴鹿が暗い影を引きずった20代後半の女性だったのですが、これも担当さんからの指摘で変更しました。やはりキャッチーさは大事なので。ただ、これからは少しずつ自分の趣味も多めに出すかもしれません(笑)。あくまでバランスよく、ですけど。

――それは楽しみです。ではお気に入りのシーンを教えてください。

あざの:元々呪術による戦いが書きたかったので、それを初めてガッツリと書けた6巻ですね。主人公ではなく先生の戦いでしたけど。それまで主人公たちが未熟だったのでなかなか本格的な呪術戦が書けなくって。


――ちなみに今更ですが、『東京レイヴンズ』というタイトルの由来は?

あざの:現代の陰陽師ものを書きたかったので、それが一発でわかるタイトルにしようと最初は『東京陰陽師』にしていたんです。その仮タイトルが結構長かったのですが、担当さんから「“陰陽師”と付いていると陰陽師ファンしか買わなさそうなので、変えないか」とオーダーがあって。それで色々と考えたところ、陰陽師は作中で黒い服を着ているので、その姿をカラスに例えて『東京クローズ』や『東京クロウ』というタイトルを考えました。でも別の媒体でとても有名な作品に被ってしまうので(笑)、大ガラスという意味のレイヴン(=raven)を使いました。少しわかりづらくなかったかもしれませんが、おかげで格好よくなりましたね。

――今日着ている服もやはりカラスをイメージして?

あざの:そうです! 和のデザインが好きで服もそういったものを買い漁っていたんですけど、このシャツを見つけた時に「ちょうど『東京レイヴンズ』っぽくていいや」と思って。他にも似たような服をいっぱい持ってますよ。周りの評判はイマイチですけど(笑)


上があざのさんお気に入りの和柄Tシャツです!

 前編後編と2回にわたってお送りしてきたあざのさんのインタビュー、いかがでしたか? 『東京レイヴンズ』が気になってきた人は、ファンタジア文庫(富士見書房刊)やコミック、また放映を控えたアニメでチェックしてみてくださいね。それでは、次回の「高野麻里佳(こうのまりか)が行く!」もお楽しみに!

(インタビュー=高野麻里佳、文=はるのおと、撮影=橋本商店)

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東京レイヴンズ|原作スペシャルサイト
http://www.tokyo-ravens.jp/


■インタビュアー紹介

<高野麻里佳>

2月22日生まれのA型。マウスプロモーション附属養成所に所属。代々木アニメーション卒。憧れの声優は大谷育江さん。

・高野麻里佳 twitter
https://twitter.com/marika_0222