クール・ジャパン人気はホンモノ? 世界へ羽ばたく同人作家たち

アニメ

更新日:2014/4/11


近ごろ日本のサブカルを海外に普及させようとする機運が高まっている。だが実際のところ「クール・ジャパン」って、どうなの? 実はたいして人気がないのに大げさに報道されているだけでは? と勘ぐってしまうのも事実。

 政府主導でニワカに脚光を浴びつつあるヲタカルチャーの海外展開、いわゆる「クール・ジャパン戦略」だが、秋元康の「クリエーターは無報酬」発言などで国内では話題になることはあるが、海外での実態やニーズ、現状などはいまいち伝わってこない。本当はどうなのさ、教えてだれかエロい(エラい)人〜〜!

ニッチなものは、海外でもニッチですね」と、編集部の疑問にバッサリと答えてくださったのは、『Tokyo Otaku Mode(以下、TOM)』代表の亀井智英さん。
 いわずと知れた、日本のヲタカルチャーを海外へ発信するポータルサイトをつくった知る人ぞ知る有名人である。国外オタ文化の事情通は、紛う方なき真実を語ってくれた。


日本のアニメやゲームって、世界で大人気で、ピカチュウとかNARUTOって、共通言語ではないんですか?

「もちろん、メジャーな作品は世界に輸出されて日本と同じくらいマスな人気を博していますよ。ただ、みなさんが大好きな“ロリ萌え”とか“BL・GL”“擬人化”などは、『日本と同じようにニッチな領域です』と、お伝えしたかったんです」(亀井さん、以下同)

 そうか、やっぱり海外でもヲタは、マイノリティなのか……。世界中がリア充であふれているという現実。自宅警備員の筆者は知りたくもなかった情報だ。

 しかし、そんな世界規模の少数派になぜ亀井さんは情報を発しているのか。どんなメリットがあるというのだろう。


『Tokyo Otaku Mode』は世界中のクリエーターの交流の場になっている。

「いまはまだ世界のヲタ人口はそんなに多くないというだけです。なぜなら日本のように幅広いコンテンツに触れていない(接触機会が少ない)からです。でも、これから世界へ日本のヲタ文化を発信していけば、確実にヲタ人口は増えていくでしょう。」

 なんと! ヲタ人口は世界中で増えていくとのことだが、その根拠はどこにあるのか?
「TOMのFacebookページは、日本人が開設したページとして、初めて“いいね!”が1,000万件を突破しました。現在、1300万件に達しており、引き続き“いいね!”数は増えています。私は少なくとも潜在的には5,000万人以上のファンを見込んでいます。

 世界中に5,000万人の同志が現れるとは頼もしい。彼らが今後も世界に向けて日本の情報を発信し続ければ、5,000万人という数字も夢ではないのかもしれない。
 だがそんな海外のことなんて、自分には関係ないと思っている読者も多いだろう。 そ・れ・が、多いに関係ありなのだ!

 このiPhoneケースを見て欲しい。


 iroricoさんの描いた、このキュンとくる二次画のiPhoneカバー。TOMのオンラインショップで販売されているものである。
 このケースは、なんと世界数十カ国から注文が入っているという。日本では、知る人ぞ知る作家が、国境を超え熱烈なファンを獲得しているのだ。

「日本のクリエーターは、世界でも類を見ない独特の草の根活動をしているんです。こんなにハイクオリティーでかつ、幅広い表現を生み出している国は他にありませんよ。同じ二次元でも、コンテンツは多種多様。それぞれの趣味趣向を好む人の絶対数は少ないかもしれませんが、欲する人は世界中にいます。私たちはそんな日本のクリエーターたちに光を当てたいと思っています」


進撃の巨人コーナー。思い思いに二次創作を投稿している

 設立当初はイラストが中心だったが、その輪はコスプレ、キャラ弁、果てはジャンクアートまで広がっており、有名無名を問わず、世界からその作品を評価してもらえるのだ。
 スタッフの目に止まれば、iroricoさんのように、商品化されて世界中に自分の作品をアピールすることも夢ではない!!


フランスの「JAPAN EXPO」で販売されたTOMオリジナルTシャツ

「オンラインショップで一、二を争う人気は、クリエーターのオリジナルイラスト集です。ショップでは、『エヴァンゲリオン』などメジャー作品のグッズも販売していますが、売り上げの4割は個人作家のグッズです
 
 ちなみに、海外受けするジャンルはあるのだろうか?


オンラインショップで販売しているTOM制作のオリジナルイラスト集

「地域によって嗜好がまったく違うので、一概には言えないですね。北米ではゲーム系作品の人気が高く、アジアでは、『けいおん!』のような“日常系”が人気です。」

 まだ数は少ないものの、海外作家の作品も増えてきている。日本にはない作風を目の当たりにして、新たなクリエイティビティが刺激されるかもしれない。

 さあ、世界規模のヲタ交流に、キミも参加だ!!

 ……と、いってもサイトはすべて英語。語学の壁にひるむ人もいるだろう。  だが安心したまえ! 登録は、すべて日本語でできる。Facebookのアカウントを持っていれば、ログインも簡単だ。サイトの使い方は、文末にまとめてある。


こんなロシア美女レイヤーについてのニュース記事も紹介しているぞ!!

 最後に亀井さんは、世界とつながる面白さを教えてくれた。
「日本の市場は飽和状態にありますが、海外はまだまだこれからです。特にコスプレは、驚くほどの反応があります。海外に目を向けると新たな発見や出会いがあるかもしれませんよ。」

 自動翻訳があれば、ひるむことはない! 世界の同志におのれを知らしめよう!


■ヲチ専門も楽しめる Tokyo Otaku Modeの歩きかた

まずはこちらへアクセス

http://otakumode.com/

会員登録をして、マイページを持とう。

Facebookでログインや、新たにアカウントを作成することもできる。

好きな作品を見つけたら、ココをクリック。「SUKI」をした作品はマイページに一覧で表示され、ブックマークのような機能も果たす。


「SUKI」のハートの動きに注目だ。コメントも残すことができる。

コレクション機能で、自分だけの作品集を作ることもできる。


ページ左下のボタンを押すと、自分だけの「まとめフォルダー」が作成される。


コレクションファイルに名前を付けて保存。


スマートフォン用アプリはこちら
iPhone
https://itunes.apple.com/us/app/tokyo-otaku-mode-mini/id653298423?mt=8

Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.otakumode.mini&hl=ja


■Tokyo Otaku Modeのクリエーター作品が新宿に!


今月オープンした「AppBank Store新宿」には、TOMのコーナーが設けられている。同サイトがフィーチャーしたクリエーターたちの作品を手にとって見ることができる。

・AppBank Store新宿 http://www.appbankstore.jp/user_data/shop_shinjuku.php

■Tokyo Otaku Mode


代表 亀井智英さん

ネット専門の広告代理店に勤める傍ら、Facebookに『Tokyo Otaku Mode』を立ち上げる。そのページがベンチャーキャピタルの目に止まり、米国に同社を設立。数ヶ月のシリコンバレー武者修行を経て、昨年帰国。

<取材協力>
http://otakumode.com/

(取材・文=武藤徉子、撮影=橋本商店)