今期アニメを俺に語らせろ!「成田童夢」独占インタビュー!

アニメ

公開日:2013/11/1


秋アニメの3話前後の放送も終わり、作品の方向性が見えてきた現在、アニメファンの中では、今期の覇権アニメは何か?について熱い論争が繰り広げられている。

そこに「我こそは一家言あり」と、数多のアニメ評論家たちに挑戦状を叩きつけるビッグなバリューとマウスを持った男が参戦してきた!
 元オリンピック選手にして、現役アニオタこと、成田童夢氏である。

 アスリート引退後の成田氏は、“痛板”(痛スノーボード)をプロデュースするなど、着々とオタ属性を晒してきた。現在はアニメ・ゲーム・マンガ評論家、アニソンDJ、オタ芸打ち師の三役を兼任するという多忙な身である。

 そんなリア充にしてオタの権化という成田氏も、アニメ談義を一戦交えたいと編集部に殴り込みをかけて来たのだ。
 
 これは珍客乱入と、喜んだ我々は、さっそく成田氏の高説を賜ることに! インタビューは、都内某所にある、成田氏の自宅。フィギュア、痛テーブルクロス、果ては痛バイクなど、相当オタをこじらせた、イタタタな痛部屋にて話を伺った。

 果たして、成田氏はどの作品がお気に入りなのか……?


成田氏の自宅。お宝コレクションが至る所に飾られている


■大事なのは作品のメッセージ性!

成田 :意外と思われるかもしれませんが、僕が今期でもっとも注目している作品は、『ミス・モノクローム』です。5分アニメで見ている人は少ないかもしれませんが、文句なしの作品です。

『ミス・モノクローム』は、アイドルを目指すアンドロイド「ミス・モノクローム」が、貧しい生活をしつつも、憧れのアイドルに近づこうと、相棒のルーちゃんと奮闘するシュールなアニメ

成田: 別に奇をてらってマイナー作品を挙げている訳ではないですよ。  この作品は、声優の堀江由衣さんが、キャラクター原案をしているのですが、ものすごく見応えがあると思いました。
 5分と短いのに、ストーリーがしっかりとしているんですよ。言いたいところがハッキリとしていて、内容が濃い!

 僕が好きなアニメはキャラクターの演技、大人が満足するようなストーリー展開、それらを兼ね備えている作品です。原作ありの作品なら、ただ原作と同じシーンを動画で作ったとしても面白くないんですよ。
 せっかくアニメ化するのだったら、原作者の意図を組み込みつつ、アニメならではの爆発力が欲しいですね。


アニメについて持論を熱く語る成田氏

成田:その点『ミス・モノクローム』は、素晴らしいですよ。 話しの構造がとってもシンプルだから、見ていて安心感がある。特に堀江さんの演技がマッチしているところは好感度が高く、素晴らしい作品だと思います。

 今期は、狙いすぎな作品もちらほら見られます。特に中二病的なストーリーが多く、「ちょっとやりすぎでは……」と首を傾げたくなる作品もあります。そんな”狙いすぎない”潔さがいいんですよ! ぜひ皆さんも見てください。


■僕も『OBC』と同じ……。

成田:マニアックな作品だけじゃなく、人気作品も挙げろ?
そうですね、色々とコメントしたい作品もあるのですが、なによりも『アウトブレイク・カンパニー(通称:OBC)』です。


『アウトブレイク・カンパニー』は、ニートでオタクな主人公が、ある日、異世界とのアンバサダーとして採用され、言語や身分階級など、人間世界と異なる文化を持つ世界との架け橋となるべく奔走するのだが……。

成田:この作品は目の付け所がすごくいいんですよ。僕も主人公と同じような境遇なので共感できます。僕も含めて一般社会では「オタ」って異端な存在に思われがちじゃないですか。だから、主人公のような任務に憧れますね。アニメとかゲームを知らない一般の人たちにもっと二次元の良さを伝えたいです!

特に伝えたいのは、アニメ登場する女の子のキャラが“小柄・黒髪・ツインテール”こそ至高。
やはり重要視して欲しいのが“絶対領域”の必然性についてです!
もちろん、嫁は二次元に限ります。素敵なのは、僕だけに微笑んでくれるんですよ!


二次元の魅力を熱くかたる手元には、『はがない』のテーブルクロスが敷かれている


■オタについては黙っていられない!

成田:こんなに二次元を愛する自分だからこそ、意見したいこともあるんですよね。
『OBC』の主人公は、オタですよね。でも、オタなのにコミュ二ケーション能力が高過ぎると思うんですよ。 ポジティブ過ぎて、違和感を感じます。

 だって僕がイメージするオタクとは、表に出られない、内気の人が多いはずです。オタというのは、内にエネルギーを秘めているんですよ。でも、自分の好きなことを語り出したら止まらない。延々としゃべり続ける……これがオタだと思うんですよ!  最近、ニワカというか「ファッションオタ」が多いので、あれくらいのコミュ二ケーション能力があるのが本来のオタとは思って欲しくないですね。
 そもそもオタクは、自分のことをオタと公言しないもので△○×……(以下、独自のオタ持論が続く……)


アスリート時代に比べ、心なしか棘が抜けたように感じるが…。


■オリンピックより前からオタだった。

成田:でも、僕のこともニワカと思っている人もいるかもしれませんので、そのことについて一言いわせてください。
 僕は、オリンピックを目指す前からオタでした。

 スノーボードを始めるよりも前に『声優になりたい』と、父親に言っていました。でもそうしたら父親が『まずはオリンピックに出ろ』と。『オリンピックに出れば何にでもなれるぞ』って言うんです。だから、まずはオリンピック出場を目指しました。

 トリノオリンピックのときも、もちろんコミックやDVDを選手村に持ち込んでいましたよ。僕のエネルギーの源でしたので。あのころは『鋼の錬金術師』にハマってて…、懐かしいな〜。

 いまも暇さえあれば秋葉原をうろついていますし、アニソンDJとして、オタ芸を“打てる”曲…通称「打ち曲」を中心に回しています。ラップを歌っていた頃は、ゲーム音楽を使ったりしていましたね。

 ラップはすでに卒業したのですが、そんなオタ力を結集した本を今年度末に監修します。アイドルとオタ芸を学ぶ教則本『アキバでロマンス!~アイドルと一緒に学ぶオタ芸の教科書~』を近日発売予定なので、ぜひ楽しみにしていてください! その発売に兼ねて2013年12月31日にオタ芸イベントと称し秋葉原にて年越しカウントダウンイベントを行います。是非、遊びにいらして下さい!(詳細はブログに掲載予定)


「痛板」の愛好家が集まる“日本痛板協会(JIBA)”の名誉会長を務めているという成田氏


■童夢はどこへ向かう? 声優かそれとも……?

成田:スノボを始める前から声優に憧れていたので、声の仕事が来たときは嬉しかったですね。
 憧れの『ONE PIECE』のテレビスペシャルに声優として出演することができました。たとえ村人役でも、念願が叶った瞬間です!

 尊敬する声優さんは、うえだゆうじさん、平田広明さんに、水島裕さんです。
 サモ・ハン・キンポーなどで有名な水島さんは、特にリスペクトしています。別に笑かそうとしていないのに、笑える演技ができるというのは素晴らしいですよね。

 僕も水島さんと同じような高い声をしていたので、大先輩みたいにそれを活かせたらとずっと思っていました。

 あとこれは新たな挑戦ですけど、できれば原作など制作者としても関わってみたいです。
 自分の理想のアニメってやつを作ってみたい。

 僕の大好きな作品は、“ほのぼの日常系”か“アクションバトル系”。前者の“日常系”は、『僕は友達が少ない』や『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』など。これらは神作品ですね。アニソンDJをしているということもあり、主題歌にも惹かれました。

 ほかにも、西尾維新先生の『物語』シリーズ、『有頂天家族』『ダンガンロンパ』のような先の展開が見えているようで、どんでん返しがくる作品にもインスパイアされます。


自慢の痛いバイクは、『俺妹』仕様

成田:自分が作品を作るなら、ぜひ“小柄・黒髪・ツインテール”キャラを登場させたいです。キャラにパンチラさせまくるんじゃないか? 余計なお世話ですよ。
 実際、絶対領域とか、お色気も作品に盛り込むのであれば、そんなシーンもいれたいんですけど……でもそれは二の次ですね。もちろん絶対領域があるかないかでは、大違いですけど、それも狙いすぎてはダメなんですよ。

 最近、お色気もサービスが“過ぎる”タイトルが多すぎると思いませんか? チラリズムぐらいが丁度いんです。見えそうで見えないからこそ、そそるんです!
 それなのに、“見せよう”という意図が感じられると興冷めしてしまいます。

 僕は、エロアニメはエロアニメとして成立してもいいと思うんですよ。でも普通の作品では、物語の内容を見せて欲しい。だから下手なところで狙いすぎな露出をしないで欲しい。

 そういう意味では『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』は成功した例だと思います。幼女が登場するのに、いかがわしさがまったくない。しかもオタク以外の人も楽しめる作品になっていましたからね。

 今年で28歳になりましたけど、35歳までには自分の作品をみんなに見てもらえれば嬉しいかなと思います。
 ということで、僕のファンの人もアンチの人もこれからも応援よろしく!!


最後に決めポーズの成田氏


■成田童夢氏の今後に注目しよう!
・オフィシャルブログ
「俺の妹がこんなに×□なわけがない」
http://ameblo.jp/narita-dome/

・成田童夢 監修
『アキバでロマンス!~アイドルと一緒に学ぶオタ芸の教科書~』※DVD付き(辰巳出版)12月中旬発売予定

(取材・文=武藤徉子、撮影=ぜかましたん)