『gdgd』『直球表題』『てさぐれ!』のアドリブパートは完全にアドリブ!?

アニメ部

2013/11/8


 秋アニメ『てさぐれ!部活もの』(以下『てさぐれ!』)の制作者に、声優の養成所に通う「高野麻里佳(こうのまりか)」が話を伺う、インタビューシリーズ第2弾!

 前回は監督の石舘光太郎さんに、これまでの経歴や好きなアニメについて聞きました。第2回となる今回は、監督と、石舘作品に音楽面で関わり続ける井上純一さんのおふたりに、これまでの作品について聞いてみました!


左から監督の石舘さん、音楽の井上さん、右がインタビュアーの高野麻里佳

――アドリブパートについてお聞かせください。あれは完全にアドリブなんでしょうか?

石舘:いえ、基本的にはラジオと同じ録り方です。ざっくりした構成台本があって、まずキャストひとりひとりと個別に簡単なネタを打ち合わせをします。そこで担当キャラクターが言いそうなネタもいくつかお持ちして、「そのまま使ってもいいですし、思いつくならアドリブでバンバン言ってもいいですよ」とお伝えして。大体1週目はみなさん様子を見ていますが、キャラクターの立ち位置を掴んだら、アドリブが多くなっていきますね。

――それにしてはかなり自然に聞こえます。

石舘:収録した音声は「素材」だと思って、全セリフを細切れにして編集しています。テンポを詰めたり、セリフの順番も入れ替えたり。もうボカロを作っているのと同じくらいの気合いでやっています(笑)。『てさぐれ!』だと収録をして数日以内にその編集作業を2本分して、プロデューサー陣からOKをもらったらアニメ班に投げて。仕上げまで2週間くらいかかりますが、今回は2班あるからどうにか間に合っています。

――前回キャストと話をしてキャラクターを作っているという話がありましたが、そうした部分は配役に関係してきますか?

石舘:どちらかと言うと、声以外のほうが大事ですね。べつにいい声優さんがいれば、その人の声に合いそうなルックスにキャラクターを変えればいいだけですし(笑)。アドリブになった途端、何も喋られなくなっちゃう人だと、僕の場合は作品として成立しません。重要なのはアドリブ対応能力と、キャスト同士のバランスです。「一緒にラジオをやって盛り上がりそうなバランスにする」というのを心がけています。なので、みなさんの生年月日から四柱推命でそれぞれの相性を調べたりもしますしね。

――そうした視点で声優さんを選ばれているのも珍しい気がします。

石舘:女性声優さんだと明坂聡美さんや大橋彩香さん、声優じゃないけど荻野可鈴さんみたいな我が道を行く面白い人タイプは多いのですが、西明日香さんみたいなそういう人を活かして、バランスを取れるタイプが圧倒的に少ないようで。しかも上から目線ではなく、それができるのが素晴らしいですね。

――『てさぐれ!』の場合はどういった意図がありますか?

石舘:今回は部活ものなので「先輩と後輩」がテーマのひとつで。明坂さんと西さんという経験者であり同い年のふたりを3年生にして、初々しい10代のふたりを1、2年生にしています。今までと違って全員が横並びではなく、部内で上下関係があるのが大きな違いですね。

――それはアドリブ部分の収録にも活かされていますか?

井上:収録現場は和気藹々としていますよ。悪い意味での上下関係の緊張感はなく、今の10代の子たちの堂々とした感じを、先輩ふたりが受け止める心の広さもあるし。僕は楽しく見ていました。

石舘:やはり3年生組が年上だし経験値も高いので、キャラクターの上下関係がそのまま反映されるようにはなっています。唯一、荻野さんが大橋彩香さんの1個下なので、学年的に逆になっていますけど。


アドリブの話は声優を目指す高野にとって非常に参考になる。

――アドリブ収録時に「こういう風にしてほしい」など、キャストに言うことはありますか。

石舘:ほとんどないですね。今回は明坂さんと西さんを完全に信頼しています。「もし僕ならこういう風に広げるな、こういう風に突っ込むかな」と思うことはありますけど、意図しないミラクルが起きることも多いんです。なのでアドリブパートはすごい長回しするんですよ。『てさぐれ!』でも本編では3分くらいしか使ってないですが、30分は収録していて。

井上:スタジオの外にいる僕たちは笑って聞いているだけですけど、声優さん達は後半になるとグデっとしています(笑)

石舘:ブースに長時間閉じ込められると麻痺してくるのか、早く楽になりたい気持ちが勝るのか、徐々に下ネタに走る傾向がありますね。「え、女性声優さんがこんなこと言っちゃうの」みたいな下ネタは今回も多々ありますけど。基本的にあまりカットはしません。あくまで声優として言った発言ではなく、キャラクターが言ったセリフですから(笑)

――大変そうですね……。今後アドリブパートを観るときに、ありがたみが増します。

石舘:Blu-rayの特典で各話のアドリブパートを12〜15分くらいに編集し直したロングバージョンを収録するので、そちらをお楽しみください!

――ちなみに今まで作った作品で、手応えのあった話数はありますか?

石舘:『バックステージ・アイドル・ストーリー』の第6話や最終回は個人的にすごく気に入っていますが、作品自体があまりアニメファン向けではないんですよね。やはり『直球表題ロボットアニメ』(以下『直ロボ』)の最終回ですかね。あれをやりたくて『直ロボ』をああいう風に作ったので。まったく同じことをやっても『gdgd妖精s』(以下『gdgd』)のただの焼く直しになってしまうので。

――『直ロボ』についてもうひとつ。エンディング曲はZAQさんが作詞作曲されていましたが、本当に資料なしで発注されたんでしょうか?

石舘:まず1回お会いして「番組の内容については特に説明しません。この感じを歌にしてください」とお伝えしたら、ああなりました(笑)。あとは「7話から2番を使いたいので、初めて放送を観た時の印象を歌ってください」と2番も追加でお願いして。わりと放送直前でしたけど(笑)

――『直ロボ』では井上さんも歌われていますね。

井上:キャラソン3曲を作ったのと、オープニング曲『Break the war』を歌う4人組のうちのひとりとして参加もさせてもらいました。

石舘:あれ?一応、井上じゃないっていう設定なんだけどな(笑)


あの話題のOPを作った張本人。音楽担当の井上さん

――一瞬、JAM Projectじゃないかと思うくらいの熱い曲ですよね。

石舘:バンド名がコンフィチュール企画というのですが、コンフィチュールがフランス語でJAM、企画がProjectで、思い切りパロディです(笑)

――映像に出てくるロボットが、いかにもアニメに出てきそうなロボットばかりで笑いました。あれは石舘さんのアニメ好きが発揮された部分でしょうか?

石舘:いや、あれは全部お任せで発注しました(笑)。アニメーション監督のcort君が「MMDモデラーでロボットのデザインが大好きな奴がたくさんいる」と言うので、「大したギャラも払えないので、好きに作っていいよ。機体番号とか設定とかも勝手に決めていいよ」と言って。一応、主人公っぽいのと敵のエース機っぽいのと、中距離支援っぽいの、みたいなざっくりした指定だけ出しましたけど。

――それを1話からローションで滑らせるというのも面白かったです。

石舘:オープニング映像を作ったビームマンくんとアニメーションの和菜さんに「この映像にひと手間加えて大事件になっちゃう、なんてのは簡単に作れるの?」って聞いたら、「そこまで大変じゃないですよ」って言ってもらえて。序盤から飛ばし過ぎて、後半はめちゃくちゃでしたね(笑)。最初のうちはAパートが微妙な雰囲気になるのがわかっていたし、アドリブのパートも手探り状態だったので、Bパート最初のあのコーナーだけはインパクトのあるものにしようと思って、1話でいきなりローションを使いました。

 今回はここまで。次回はいよいよ『てさぐれ!』について、成り立ちから狙い、オープニングやエンディングの秘密、そして次回作(?)まで、た~っぷりと聞いてみます!

(インタビュアー=高野麻里佳、編集=はるのおと、撮影=橋本商店)

てさぐれ!部活もの

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■インタビュアー紹介

<高野麻里佳>

2月22日生まれのA型。マウスプロモーション附属養成所に所属。代々木アニメーション卒。憧れの声優は大谷育江さん。

・高野麻里佳 twitter
https://twitter.com/marika_0222

©てさぐれ!製作委員会