Cover Model 岡田准一 2014年1月号

Cover Model 紹介

公開日:2013/12/6

Cover Model 岡田准一 2014年1月号

Cover Model 岡田准一
惚れられる人じゃなければいけなかった

冲方丁の本屋大賞受賞作『天地明察』、
有川浩のベストセラーシリーズ『図書館戦争』、
葉室麟の直木賞受賞作『蜩ノ記』(2014年公開予定)……。
岡田准一はこの2年あまり、小説の実写映画化作品への主演が相次いだ。

12月21日公開の映画『永遠の0』は、百田尚樹のベストセラー小説が原作だ。
演じたのは、零戦の特攻で亡くなった宮部久蔵。
終戦60年目の夏、孫の健太郎(三浦春馬)は、実の祖父の人生を調べ始める。
「奴は海軍航空隊一の臆病者だった」。証言者によって異なる、彼の肖像。
「生きて帰りたい」が口癖の天才パイロットは、なぜ特攻を志願したのか――。

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「ハードルの高い役でした」と岡田は言う。
「宮部久蔵は、見た目がどうこうではなく、
〝人として惚れる〞という基準でかっこいい男だと思うんです。
女性だけではなく、いろんな方々に〝惚れられる〞キャラクターを
演じなければいけない。
そこが成立しなければ、映画自体が成立しませんからね(苦笑)」

台本上は「優しく」と指示のあったセリフを、
厳しい顔で叫んだシーンもある。
「……」としか書かれていなかったシーンを、
「糸が切れる瞬間」と解釈して涙をぽろっとこぼしたりもした。
「相手が一生、忘れられなくなる言葉の伝え方とは?」。
事前の計算はほとんどなかったそうだ。
その時代の、その場所に、その人として生きることを、
現場でただひたすら実行した。

「実際の搭乗員の方、戦争経験者の方々に納得していただけるものを
という意識も強かったです。
それもまた僕らの責務だと思っていたから、撮影中も寝れなかったし、
重たいものを背負っている感覚はずっとありました。
この時代って、近いようで遠いんですよ。
偏らずに、ニュートラルに見つめていかなければいけない時代だと思う。
この映画が〝偏らずに知る〞きっかけになれたなら、
役目を果たせたことになるのかもしれない。
百田さんの原作も、その部分を大事にしていると思うんですよ」

そんな岡田准一さんが選んだ本は——
『対訳 五輪書』
対訳 五輪書
宮本武蔵/著 ウィリアム・スコット・ウィルソン/英訳
松本道弘/現代語訳 講談社 1890円

勝つことが全てである──。「地之巻」「水之巻」「火の巻」「風之巻」「空の巻」の全5巻構成で、晩年の宮本武蔵が自ら記した兵法の書。勝つために何よりも大事なことは? 日々の鍛練だ。「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす、能々、吟味有べきもの也」。英訳者による序文、現代語訳者による解説も収録されている。
「毎年、正月に読み返しています。もう10年以上続けてますね。剣術の本ではあるんですが、実は技術的なことはあまり書いてないんです。心のあり方を教えてくれる本なんです」(岡田准一 談)