京極夏彦、“4形態同時発売”を語る

新刊著者インタビュー

更新日:2013/8/9

京極夏彦の新刊『ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』は、10月14日、出版史上初となる「単行本」「ノベルス」「文庫」「電子書籍」の4形態が同時発売となった。
この試みの意図と、10年ぶりのシリーズ2作目の読みどころを、著者インタビューとともにお届けする。

読み手の読書スタイルを考慮した結果の四形態同時発売

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「現在の出版形態が本当に読者よりのものかということについては、疑問がありますよね。単行本の鮮度が落ちたから値段が安くなって文庫になるわけじゃないし、文庫を買ってくださるお客さんは、単に安いから文庫を待っているわけでもないですね。文庫ファンは最初から文庫で読みたいんです。単行本が買えないわけじゃない。でも文庫待ちの人が読めるのは3年後ですよ。同じ読者なのに、そんなに待たされるっておかしいじゃないですか。

同じようにノベルスにも固定読者がいる。ノベルスで読みたいという人もいるんです。
要するに四形態同時発売というのは、奇をてらったわけでも何でもなくて、お客さまに自分に合った読書スタイルで選んでいただこう、”お好きなのをどうぞ” ということですね」

京極夏彦
きょうごく・なつひこ●1963年北海道生まれ。小説家、意匠家。2004年『後巷説百物語』で直木賞を受賞のほか、受賞多数。著書に『姑獲鳥の夏』『冥談』『死ねばいいのに』『おじいサン』『虚言少年』など多数。