ラノベ作家を目指そう! ライトノベルの登竜門である新人賞を比較してみた

アニメ

更新日:2014/5/14


毎週のように新刊が書店に並ぶライトノベル。コミックやアニメに、ラノベ関連のメディアミックスが溢れる時代になりました。

そんなラノベブームに魅せられて、自分も将来はライトノべル作家になりたい! と思って、自分なりに物語を考えたり、すでに小説を書いたりしている方も多いのでは?

しかし、いざ原稿を書いたけれど作品募集をしている出版社が多くて、「いったい、どこに送ったらいいの?」と悩んでしまうこともあるでしょう。

今回はそんなライトノベル作家を目指す方々や、ライトノベル作家に興味がある! という方へ向けて、大手出版社が主催しているライトノベル新人賞の比較をしてみました。

近年の受賞作から読み取れるレーベルの傾向を意識し執筆をすれば、作家デビューも夢じゃないかも?


■電撃小説大賞
http://asciimw.jp/award/taisyo/novel_top.html

出版元:電撃文庫(アスキー・メディアワークス)
募集規程:42字×34行(長編80~130枚 短編15~30枚)
応募総数:6,554作(第20回)
賞金:大賞300万円 金賞100万円 銀賞50万円 メディアワークス文庫賞100万円 電撃MAGAZINE賞30万円

最大手のレーベルだけに応募総数も最多の難関だが、大賞以下の金賞銀賞は2作品以上選ばれる。最終選考まで残れば担当編集が付いて「拾い上げ」でデビューする作家も少なくない。倍率は高いが期待も高い。
最近の受賞作では『ゼロから始める魔法の書』のような王道ファンタジーから、『韻が織り成す召喚魔法』、『思春期ボーイズ&ガールズ戦争』のような斬新な発想の作品が受賞している傾向が見受けられる。


■角川スニーカー大賞
http://sneakerbunko.jp/award/

出版元:角川スニーカー文庫(角川書店)
募集規程:40字×32行(80~120枚)
応募総数:非公開
賞金:大賞300万円 優秀賞50万円 特別賞20万円

出版業界でも歴史の古い老舗レーベル。近年、リニューアルを果たし、新人賞も賞金アップ、春期秋期の年二回の開催でチャンス倍増、選考作業も改善されて迅速に公式サイト上で結果発表が行われるようになった。
『涼宮ハルヒの憂鬱』に代表されるような学園ものが比較的多い傾向にある。最近では『終焉世界の天災姫』のように学園ものにラブコメディやファンタジー色を加えた作品が受賞している。


■富士見書房ファンタジア大賞
http://www.fantasiataisho.com/

出版元:富士見ファンタジア文庫(富士見書房)
募集規程:40字×16行(200~250枚)
応募総数:1849作(第26回通期)
賞金:大賞300万円 金賞50万円 銀賞30万円 最終選考10万円

過去の受賞作はラノベの代名詞といっていい錚々たる名作が揃う大御所。夏期冬期の年二回の開催。大賞投稿用サイトをオープンし、オンライン上でのデータ応募、評価シートの受け取りが可能。利便性が高い。
伝統的にファンタジーが主流だが、近年になるにつれて『心空管レトロアクタ』、『ブルークロニクル』のようなファンタジーとSFが融合した先進的な作品が多く見受けられるようになってきている。


■MF文庫Jライトノベル新人賞
http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/rookie/index

出版元:MF文庫J(メディアファクトリー)
募集規程:40字×34行(80~150枚)
応募総数:1956作(第9回通期)
賞金:最優秀賞100万円 優秀賞50万円 佳作10万円

コミック化、アニメ化、関連グッズ化などメディアミックス力の高いレーベル。一年間で第一~第四期の〆切りがあり、いつでも応募が可能。各期ごとに佳作が選出され、通期で最優秀賞、優秀賞を決定する。
MF文庫Jは萌え×学園のイメージが強いかもしれないが、最近の受賞作は『MONSTER DAYS』、『穢れ聖者のエク・セ・レスタ』、『ストライプ・ザ・パンツァー』など、幅広いジャンルから作品を受け入れており、迷ったら、まずはMF文庫Jに応募してみるのもいいだろう。


■GA文庫大賞
http://ga.sbcr.jp/novel/taisyo/

出版元:GA文庫(SBクリエイティブ)
募集規程:42字×34行(80~130枚)
応募総数:1064作(第6回)
賞金:大賞100万円 優秀賞50万円 奨励賞10万円

他レーベルと比べると歴史は浅いが、それだけに従来のライトノベルの既成概念にとらわれない若くて勢いのある成長中のレーベル。前期後期の奨励賞の中からGA文庫大賞と優秀賞を選定している。
『這いよれ! ニャル子さん』に代表されるような、王道やお約束を打ち壊す型破りな作風、コミカルで読みやすく、気軽に楽しめる、独自のユーモアを含んだ作品が多いのが特徴に挙げられる。


■えんため大賞
http://www.enterbrain.co.jp/entertainment/

出版元:ファミ通文庫(エンターブレイン)
募集規程:39字×34行(85~165枚)
応募総数:737作(第15回)
賞金:大賞100万円 優秀賞50万円 特別賞5万円

人気ゲームのノベライズやTRPGのリプレイを手がけていたが、現在ではオリジナル作品をメインに自社ブランドを確立したレーベル。ライトノベル学科のある東放学園に特別賞枠を設け人材育成にも貢献している。
作品傾向としては『ココロコネクト』、『犬とハサミは使いよう』、『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』など、世界観の設定やストーリーの展開に工夫や趣向を凝らした作品が多い特色が見受けられる。


■集英社ライトノベル新人賞
http://dash.shueisha.co.jp/award/

出版元:集英社スーパーダッシュ文庫(集英社)
募集規程:42字×34行(50~200枚)
応募総数:985作(第12回)
賞金:大賞300万円 優秀賞100万円 特別賞50万円

第12回まで続いた旧「スーパーダッシュ小説新人賞」がリニューアルし、今回が第1回の開催となる。それに伴って賞金額もアップ。編集部全体が新体制に移行し、今後の動向が注目される。
募集規程で受け入れる原稿量の枚数が多く、過去の受賞作も『覇道鋼鉄テッカイオー』や『くずばこに箒星』など分量が厚めの作品が目立つ。スケール観の壮大な大作巨編が求められていると考えていいだろう。

以上が大手出版社の新人賞の特徴です。ここでレーベルの傾向に沿わない作品を投稿したら駄目? と疑問に思った方もいるかもしれません。しかし、裏を返せば、それだけ他の応募作と被らない=ライバルが少ないということでもあります。作品が本当に面白ければどこの出版社に送ってもちゃんと評価してもらえますのでご心配なさらず。

もちろん、自分の好きな出版社だから、憧れている作家さんがデビューしたから、アニメ化が期待できそうという理由で選ぶのもよいでしょう。とにかく原稿が完成したら勇気をもって新人賞に挑戦してみよう。

文:愛咲優詩(ラノベ365日)